登山靴について話そうと思う。



筆者には巷で熱い議論が繰り広げられているハイカット・ローカット論争に一石を投じるつもりは全くない。

昔、登山用品店で働いていた時はやはりハイカットを勧めることが比較的多かったが、あくまで初心者にとってである。


正直、山に慣れていて体力があり、歩き方も熟練していればハイカットだろうがローカットだろうがしっかり歩けるんじゃないだろうか。

筆者も両方使うしね。


大事なのはハイカット・ローカットの利点を考慮した上で自分の登山スタイルにどっちが適しているのかじゃないだろうか。


ミッドカットの登山靴に関してはここでは一旦離して考えましょう。個人的には一番バランスはいいと思うけど、中途半端っていう意見もあるからね。


ハイカットの登山靴はソールが固く、足首まで保護されることで安定性が増すことだと思う。


捻挫云々の論争が数多く言われているが、ハイカットでも捻挫はするしローカットでも捻挫はする。多少固定される分小さな捻挫は減るのかもしれないけど、大きな違いはそこまで感じてない。

ただ、長距離のテント泊縦走に関しては完全にハイカットを推奨する。


登山道具の軽量化が進んで以前に比べて格段に重量を減らすことが出来てはいるけど、テント泊の縦走とかだと荷物が重くてフラフラしてる人はよく見る。要は自分の限界近い重さを持っているからだ。ハイカットの利点はそうした時に足首が固定されてる分余計な足の屈強を防いでくれて疲れを最小限にしてくれることだと思う。歩幅も制限される分無駄な体力の浪費も防げるし岩稜帯の小さなフットホールドにも乗りやすい。

そうした面がハイカットの利点だ。


よくローカット推しの人達がハイカットを否定する時は、歩く時の自由性の低さや軽さを論点に挙げる事が多いけど、それは当たり前じゃないだろうか。それは靴の構造や求められるものが違うのだから論点に挙がる事がまず間違いのように思う。


でも、だからといってローカットを否定するのは大きな間違いだ。


筆者もローカットシューズはよく使うし、なんだったら歩きやすさだけみたらハイカットより断然いいと思う。最近はローカットでも足をしっかり固定出来るものも増えてきたしグリップも良いものが増えている。

ただ、クライミング要素が多い岩稜帯やテント泊縦走など日帰り以外では基本的には使わないようにしている。

どうしても重い荷物を背負う時や爪先を多用する場面だとローカットシューズのソールの硬さだと足裏のダメージが大きすぎるように感じるからだ。


ローカットで何泊する人は軽量化をしっかりしていて荷物が軽い人・体力や筋力が十分で歩き方がちゃんとしている人に限るような気がする。


登山用品店時代もアルプスにテント泊行くけどローカットが良いってネットで見たからローカットを買う!っていうお客様多かったけど、話を聞いてみると特に軽量化にこだわっているわけでも山慣れしている訳でもない人が大半だったように思う。


ハイカット・ローカット論争の怖いところは山に慣れていない人がローカット派の意見を見て、ローカットが1番良いって盲信しちゃうことじゃないだろうか。


ちなみに、とあるローカット派の方のブログで3シーズンのハイカットシューズ(保温材の入っていない固いアルパインブーツのこと)を酷評して日本には不要って言っていたけど、どう見ても足に合っていない登山靴を買ってしまったからのように感じてしまうんだよな…。

アイゼン対応が日本だとほぼ必要ない所は確かに劔岳の雪渓とかじゃないと夏必要ないし分かるんだけど、ブログを見る限り、柔らかいミッドカットやローカットシューズ向きの素早い歩き方をする人が足に合わないハイカットを履いたらそりゃ痛みも出るし向かないよ。


あくまでハイカットとローカットは別物だし歩き方も変わります。何よりも大事なのは足型に合った靴を履くこと。そして自分のスタイルに合った靴を選ぶことじゃないでしょうか。

登山用品店でもしっかり試し履きして自分の足型に合った靴を選びましょって話です。だいたいの店員は長時間の接客は時間潰せて楽ですから気にしないでいいのです。