拓也に散々暴言を吐いて帰ったものの家に戻るのが嫌で土手でボーっとしてた。


親友かぁ。。。どんなんなんやろ。

信用が出来て?何でも話せる?一緒に居ると寂しくない同姓の友達??

居ないや。。。

まず誰かを信用することは無いし。

自分の過去を話したことは今まで一度も無い。

一緒に居ると寂しくない?と言うか苦痛やし。

1人が一番楽で好き。


親友なんて居なくても生きてけるし、寂しいなんて思わない。


でももしも?

親友ってものが自分に居たら。

何でも話せる友達か。。。

出来ないだろうけど居たら。。。どんなけ嬉しいやろう。それが自分の素直な気持ちやった。

私は拓也らと出会い、何かが変わってきてた。

前の私なら確実にそんなことさえ考えなかっただろう。


気付いたら近くの公衆電話でダイアルしてた。

親友になったげる。


こうゆうのが精一杯やった。

自分なりの精一杯の慰めやった。

元気になって欲しかったから。


ただそれだけやった。


電話越しに声をあげて泣く拓也。

いったいこの人は何を抱えてるんやろう?

黙ってると突然電話が切れた。


あーめんどくせーーーーーーー。


ムカムカしながら土手に戻りタバコに火をつける。

かーえろっと。


もう周りは暗くなってた。


家に着いてドアを開ける。


いつものようにテレビをつけて静まり返った部屋に音をあげる。

お風呂に入り、ジャージに着替えベッドへ入った私はトモの事を考えてた。


そういえば最近面会に行ってないなぁ。。。

と言うかトモの事を思い出すのも久々だ。。。

好き。じゃないんかな?

いやそんなはずはないな。

明日はトモの所へ行こう。

顔を見れば実感沸くやろうから。

そしてあることに気付いた私は寝れなくなった。


無理矢理トモを思い出そうとしてる自分と

無理矢理拓也の涙の訳を考えないようにしてる自分。


どうしちゃったんだ?うちは?








泣きながら起きた俺は朝から頭が痛かった。

グルグルとクロが最後に言った言葉を思い出しては涙ぐんだ。


「来るなあああああああああああああああああああああああ」


頭が痛い。

しかし亜由美の事が気になった俺は橋の下へ行く。

居た。

ホッとした俺は腰を下ろす暇も無く亜由美に呼び出された。


「どないしたん?」亜由美が言う。

「お前親友っておるか?」

今まで誰にも話そうと思ったことがなかったのに亜由美なら話せる気がしたんだ。

亜由美になら話出きると思ったんだ。

しばらく無言の後、亜由美は「いねーよ」と答えた。

そして自分だけしか信じないと言い切った亜由美。


俺は情けなかった。

だからつい。「寂しいな」と言ってしまった。

待て。違う。こいつは好きで寂しい思いをしてる訳じゃない。

誤解を生みやすいんだ。昨日気付いたってのに何言ってんだ><


チラっと亜由美を見ると唇を噛んでる。

あ~こいつこれ癖だな。

こいつ悔しかったり悲しかったり。。。

我慢する時、唇カムんだ。


しまった!


またこいつに考えさせてしもてる。

「わりー」と謝ったものの亜由美は怒り暴言を吐き続ける。


亜由美の目を見て暴言を聞いてると亜由美の怒りがピタッと止った。

まだ唇を噛んでる。

うつむいて何かを言いたそうだ。

「亜由美?」


「帰る」


え。。。


あいかわらず突拍子の無い女だ。。。

そのまま亜由美は帰ってしまい、結局俺も家へ帰った。


家へ帰りまたクロの事を思い出す。

亜由美と時間を共有するたびにクロへの申し訳さが先立つのはなぜか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


16歳の夏。 8月30日


俺らは皆で川へ泳ぎに行った。

いつも通り、クロは俺のケツ。

全ていつも通りだったんだ。

だけど一つだけ違ったのはいつも穏やかな川が前日は雨だったので増水し流れも早かった。

俺達は調子に乗りその川へと飛び込んだ。

流れが早く油断すると体を持ってかれた。

それが又楽しくて川中央にある岩まで泳ぐことにしたんだ。

俺が一番に行く。

カズが行く。

中ちゃんが行く。

シゲが行く。

クロの番だ。


クロは「やべーって。俺泳ぎ苦手やしやめとくわー」と言った。

俺は「大丈夫やって。へたれかお前はw」

クロ「こえー><流れはえーし><」

俺「何かあったら助けたるやんけー」

クロ「おー。。。」

クロは察知したのかもしれない。

これから降りかかる自分の不幸を。

なのに俺が言った助ける。と言う言葉を信じ飛び込んだんだ。


クロが泳ぎ俺達の居る岩へ向かう。

後もう少し。

手を思いきり伸ばす俺。

クロも伸ばす。


とその時大木が流されて来てクロがそれにブチ当たった。

一瞬クロを見失い、探すともうすでに10mは流されてる。


俺は飛び込んだ。

クロの元へ行こうと必死に泳いだ。

流れは中腹へ行けば行く程、人の手で泳げるようなものではなかった。

溺れるような形でクロへと近づく。

遠くでカズや中ちゃんの声がする。


「拓也あああああああああクロおおおおおおおおおおお」


そしてクロが「助けて」と必死で顔を水面へ出そうとしてる。

もう少しで届く。クロに届く。


その時クロが言ったんだ。

溺れそうになり苦しいはずのクロが。


「来るなあああああああああああああああああああああああああ」


そしてその言葉を最後にクロは沈んで行った。。。

その瞬間に俺は気力を失い同じくして沈んだ。


川底へと一気に体が沈み、川底の石を背に水面を見てた。

流れのまま体が動く。

ザザッ。

むせる俺。体中から血が出てる。木や草で切ったんだろう。


気付いたら俺は岸に流されてた。

カズとシゲも助けようと飛び込んだらしく近くの木に必死にしがみついてた。


中ちゃんが呼んだ救助隊のヘリが到着する。上が騒がしい。

15分もすると救助隊の人が来て俺を連れて行こうとする。

「クロが!クロがおるんや!まだ生きてるんや!」

俺は半狂乱だった。

狂ったようにもう一度川へ飛び込もうとしてた。

そんな俺をシゲもカズも全員で止めた。

「お前まで失ったら俺らどないしたらええねん!」

「お前ら諦めてるやんけ!まだクロは生きてる!!!」

そんなやり取りをした。

みんな泣いてた。

苦しんだ。

病院でクロが助かったという朗報は届かなかった。

届いたのは次の日

死体が上がった。との連絡だった。。。

息が出来なかった。


俺が殺した。。。

あの時俺がコイと言わなければ。


葬式でクロの母親に言われた「人殺し!あんたが死ねばよかったんだ!」

涙は出なかった。泣いたらいけないと思った。

家へ帰り糞程泣いた。


俺が。。死ぬべきだったんだ。


俺はずっと苦しみ続ける事がクロへの思いの強さだと強調してたんだ。


俺がクロを殺したんだ。


俺は誰も幸せには出来ない。

助けることなんてできねーんだ。


苦しかった。苦しくて苦しくて悲しくて悲しくて。

クロが居ない寂しさと自己嫌悪。

クロの存在の大きさが俺を支えてたのに。

亜由美の存在が大きくなるにつれてクロを忘れそうな気がして怖かったんだ。


突然、電話が鳴った。

ビクッとした俺はしばらく鳴り止まない電話を見つめ「もしもし?」と無愛想に出た。

すると亜由美がいきなり話しだす。


「さっきはごめん。あんなうちには親友とかゆうのわからへんねん。だから何もゆえへんかった。ほんま分からんから。。。でもあんたが元気なるんやったらさ。うちがあんたの親友なったげる。」


涙が出た。


声をあげて泣いた。


こいつ何言ってんだよ。

そんな簡単なもんじゃねーんだよ。


泣き続ける俺との電話で亜由美は何も言葉を発しなかった。


無愛想な電話での会話の中に本当の優しさが見えた。


親友になったげる。


こいつなりの精一杯の優しさを感じたんだ。

俺は一方的に電話を切り、落ち着きを取り戻すと亜由美の家へと単車を走らせた。


今すぐ会いたい。

会いたいんだ。












昼頃起きた私は橋の下へ行こうかどうか悩んでた。

今までの私なら絶対に行かない。

なぜなら傷つくかもしれないようなことには踏み入らないから。

行って誰も居なかったら?

「帰れ」といわれたら?

あーうぜぇぇぇぇぇぇ!!!!!!

原付を飛ばし行ってみる。

声がする。

橋の下へ行くとカズとシゲが居た。

いつもの笑顔で「おーっす」と言う二人。怪訝そうな顔をしてると2人は「前はごめん。俺らどーかしてたわ」

と謝ってきた。

「いや。。。気にしてないから」と無愛想な返事をしてしまった。

シノブはあの日以来来ていないと聞き、ホッとした。

何故ならあの日以来シノブから電話も無いし絶縁状態だったから。

結局友達なんてそんなもんでしょ。

都合が悪くなると離れていく。

今までであった友達というものは全てそれだった。

都合が悪くなると裏切る。嘘を付く、それでもダメだったら離れる。

でもどうして私は拓也の言葉を信じここへ来た?

シゲやカズを信じたから?


「誤解解いとくから」

拓也の言葉を信じたからだ。


人の言葉を信じるとか本当に今まで踏み入れたことがない世界だった。

付き合いが長い訳でもない。

私の素性を話した事も無い。

何でだろう?

ボーっとしてると拓也が来た。

珍しい。心配してたんやろうな。


でも顔が暗い。


「どうしてん?」とカズが聞く。

「何もねーよ」と拓也が答える。

しかし明かに表情が暗い。


「拓也、ちょい上来てや。」と私が言うと「おう」と威勢の良い返事でついてきた。

橋の上で「何かあったん?寝不足か?」と私が言うと拓也はこういった。


「お前親友っておるか?」

突然の質問。


・・・・・・


うちに親友は居ない。ましてや友達さえ居ない。うちの周りに居る人全て知り合いやから。

遊ぶのが友達ならたくさん居る。

でも親友って何?そんなのいねーよ。。。


その時は気付いて居なかった。

親友の存在。


加奈子


今でも鮮明に覚えてるあいつとの出会い。

ココロの傷をなめ合い広げ合い喧嘩しながらすごした日々。


加奈子を失った時にこの時の拓也の気持ちが分かった。

この頃はまだまだ拓也の辛さを理解出来るような女じゃなかったんだ。。。


「いねーよ」冷たく言った。


「そうかぁ」苦笑いを浮かべた拓也。

「親友なんてもんはうちには必要ない。うちは自分だけ信じてるから。そんなものに頼ったりしない」

「お前寂しいな。。。」


ムカついた。


「寂しくなんかねーし、ましてや男が親友とかくだらねーこと言ってんじゃねーよ!」

きっとこの時、自分の寂しい思いを拓也に気付かれたくなかったんだ。

だから強がって拓也に暴言吐いた。

拓也はうちの怒りようにビックリして「わりー」と言いうつむいた。

様子がおかしい。

でも親友とかうちには全く分からない世界。


助けてやりてぇ。


でもわかんねーんだよ。

親友ってなんだよ。


加奈子に教えてもらった、親友ってもんをこの時、うちはまだ知らなかった。

加奈子との出会いは突然だった。

この話の次の日。

近所の大型スーパーの4階。


金髪の髪に赤いメッシュの入ったゴツイ女が話かけてきた。

「あんた強そうやな~。タイマンしてくれん?」


はぁ?

いきなりですかぃ。


昨日の拓也の親友話にむしゃくしゃしてたうちは

(と言うか売られた喧嘩はいつでも買ってましたが^^;)タイマンを受けた。


初めて、疲れるまで喧嘩した。

今までの喧嘩の相手とは明かに違った。


お互い疲れ果てて「もうええやろ」と笑いこけた。


「うち加奈子言うねん!あんたは!?」

「うちは亜由美」


そんな始まりだった。

一生に一人の親友。加奈子との出会いは。






亜由美の話を聞いてやろうと思って呼び出した俺。

なのに何も話そうとしない亜由美。

それがこいつの性格なんだろうな、と思うと今までずっとこうやって我慢し続けてきたのかと思った。

普段あまり話さない亜由美がベラベラと俺に話しをしてくる。

照れくさいのか?まさかな。


とっさにコーヒー買ってくると言い離れた。

コーヒーを渡すと「あったけー」と笑顔を見せる。

マジやべぇ。触れたい。

そんな事を考えてると亜由美の手が俺へ伸びてきた。

ビクッ。

後ずさりしてしまった。

ヤバイ。俺は何してんだ。話を聞きに来てドキドキしてる場合じゃねーだろ。

茶化して誤魔化したが亜由美は不思議そうな顔をしてた。

隣に座り、ボーっとしてる俺。

横目でチラチラ亜由美の方を見るが亜由美は本気でボーっとしてる。

おもしれーやつ。

さっきまで泣きそうな顔してたのに。


何か俺舞い上がってた。俺の事信用してんだなって。安心してくれたんだなって思ったんだ。

ガサッ。

亜由美が俺のジャンパーに手を入れて来た時、俺は無心だった。

同じく手を入れて亜由美の手を握ってた。

抜こうとする亜由美の手をグッと握った。

離したくない。


逃げんなよ。


本音が出た。


シーンとした。亜由美はうつむいたまま困った顔をしてる。

やべっ。


「今日は帰れw俺は女にでも電話したらんとw」茶化した感じで手を離した。

亜由美は「今日はありがとう。おやすみ~」と言ってそそくさと帰っていった。

亜由美の顔は赤くなってた。

カズやらは亜由美を元ヤンはやりまんだとか言ってたが、手を握った位で赤くなる亜由美はもしかして。。。


何かすげぇ嬉しかったな。


家へ帰り、何で女に電話するとか言ったんだろうと考えた。

きっと亜由美に言う事で自分にブレーキかけたんだろう。

初めての恋なんだ。

分からねーことだらけなんだ。


俺は急に自分の感情のコントロールが出来ない事が怖くなった。


カズや中ちゃん、ミッキーやシゲ。ツレ連中に電話をかけ亜由美の誤解を解いた。

奴らは反省した様子で明日亜由美が来たら謝ると言っていた。

ただ1人カズは違ったが。。。


電話の内容

カズ「おい。お前の言ってることは分かった。ちゃんと亜由美に謝っとくよ。。。ただ、お前亜由美の事好きなんか?」

拓也「何で?」

カズ「妙に亜由美にかまってるやろ?普段のお前ならぜってー言わない事とかさ。亜由美に言ったりするやん?」

拓也「おー。俺も謎や」

カズ「お前なぁ。。。あの女はやめとけって。。。どうみてもヤバイ系やんけ。可愛い彼女もおるのにお前どーかしてんぞ」

拓也「やめとくも何も、俺と亜由美はそんな関係じゃねーから」

カズ「そうかー?」

拓也「おう」


カズは気付いてたな。俺の異変に。

普段の俺ならまず電話したりもしねーし関わらない。

カズだけが気付いてた。

亜由美への恋心。

この頃の俺はまだその恋心を自分で認めてはいなかった。

わかってたんだろうけど認めるわけにいかなかった。


知美が居るから。。。

違うな。


そんなこと正直どうでも良かったかもしれない。


俺は

幸せになっちゃいけないんだ。

俺は

クロを殺したんだ。

恋なんてできねーんだ。

本気の恋なんて。


誰かを幸せにすることなんて出来ない。

人殺しの俺が。。。


又クロが死ぬ時の夢を見た。

起きると泣いてた。











シノブを殴り家へ戻りテレビを見てるとポケベルが鳴った。

「へいわそうこい」

誰やねん。。。

しかし平和荘は橋の近くにあるアパート。

そしてこの無愛想なメッセージ。

拓也しか居ない。


そう確信した私はお風呂へ入った。

行かない。そう決めたから。少しでも気分を変えようとお風呂に入ったんだ。


髪の毛を乾かしジャージを着る。ゴロゴロしながらテレビを見る。

落ち着かない。。。

時計を見ると二時間もたってる。

あ~チクショー。行って見るか。。。


ジャンパーをはおり原付に乗り込み平和荘へ向かう。

平和荘が見えてきた。

見覚えのあるチャリが置いてある。

まさか。。。


居るし!!!!


「よっ」

私はビックリして言葉が出なかった。

「寒かったやろ。座れや」

そう言う拓也の肩には雪が積もってた。

私は拓也の肩に積もってる雪を払いのけると自分の着ていたジャンパーを羽織らせた。

「アホ!逆やろ!お前が着とけ!」と言われたが少し離れ「ええからきときーな」と言った。

だって拓也、鼻水たれてんねんもんwwww

今思い出すとわらける。思い出の一場面なのにさw


そして拓也の前に立ち「何よ」と言った。

拓也が淡々と話をしだした。

「お前の誤解を解きたい。お前の気持ちを話してくれ。俺からちゃんと奴らに言うし、お前が帰ってこれるようにしとくから。」

そんな事でうちを呼び出して2時間も待ってたんか。

「アホちゃう」私は帰ろうとした。

嬉しくて何か照れくさかったんだ。

「アホ!逃がさんって」と原付のキーを取られた。

私はため息をついて「別にみたまんま。うちがシノブを殴ったんや」と言った。

そんなやりとりを続けるうちにバカみたいな話になってきた。

なぜかあまり関わりの無い拓也にうちはベラベラと話をしてた。

完全にココロを許したような。そんな雰囲気の中で拓也は言った。

「誤解といとくから。安心して明日からも橋の下コイ」

「うん」


沈黙になり拓也が立ち上がる。コーヒーおごったるわ!

チャリで走って行き缶コーヒーを私に手渡す。

「あったけー」と私が言い、ほれwと温まった手を拓也の顔に添える。

ビクッと拓也が私から離れる。

そしてウツムキ顔を上げたと思ったら「俺の手はつめてーぞー!」とつめたい手で私の顔をパンパン叩いた。

ビックリしたぁ。。。何か雰囲気違ったから。。。

散々コーヒーで遊んだ後、座り込み無言でボーっとしてた。

「さみぃな~」と無意識のうちに拓也のジャンパーのポッケに手を入れると拓也も手を入れて来た。

手をつなぐ形になりハッとした私は手を抜こうとした。

「逃がさんってゆうとるやろ」


拓也が真顔で言った。

「何でうちにそんな優しくするんや?」と聞いた。

「しらねー」と無愛想な返事をする拓也。

ムスッとすると「お前なんでいつも泣いてるんや?」と言ってきた。

「はぁぁぁぁぁ??wうちのどこが泣いてるねん」と言うとつないでた拓也の手にグッと力が入り「無理すんなや」と言われた。


そしてスッと手を離し「今日は帰り。風邪引くで~。俺も帰って女に電話でもしたらんとww」と笑う拓也。

「今日はありがとう」私はそう言い家に帰った。


何でうちこいつの前では素直になれるんやろ?

何でありがとうとかごめんとか。。。言えるんやろう?

何甘えてるんやろう。。。


気持ちわり。。。そう思いながら寝た。









知美に泣かれてから俺はバイトを思いっきりつめて入った。

知美ともあまり会ってない。

バイトが終わり9時過ぎ毎日橋を通る。

下から笑い声が聞こえる。

今日も来てるな。。。

そう思うと安心して家に帰る。

そんな毎日だったが橋の下から聞こえる声を聞くのが日課になってた俺。

そして楽しみだった。


そんなある日、知美と久々のデート。家でギターを弾いてるとおかんが階段を上がってきた。

「拓也さん。居たのね。良かった。何か橋の方で暴走族が来てるって言ってたから心配しちゃったわ」


え?


急いでチャリにまたがると知美は「私も行く」と着いてきた。

橋に着き降りると亜由美が上がってきた。

無視して行こうとするので腕を掴んだ。

思いっきり睨まれたが顔は泣いてるように見えたんだ。


亜由美は腕を振り切り帰ってしまった。

下へ行きカズから話を聞く。


亜由美が一方的にシノブを殴った?

はぁ?


そんなバカな話ねーだろ。何が原因だ?

それ以上誰も口にしない。

「お前ら何やってん!亜由美泣きそうな顔しとったやんけ!何があったんや!」

俺は珍しく声を荒げた。


するとシノブが泣きながら話出した。

カズやらはそんなシノブを見て「シノブちゃんは悪くないよ」だの慰めの言葉を言っている。

シノブの話を聞き俺は納得が行かなかった。

亜由美が泣きそうな顔になり帰る理由が見当たらなかったからだ。

友達であるシノブを俺らが見てる前で殴った亜由美。

苦しかっただろう。


そしてその場面を目の当たりにし攻め立てたカズらの暴言。

悲しかっただろう。


「お前らシノブを好きなんは分かる。でも良し悪しってのがあるやろ。この状況で誰が悪いとか誰が良いとかじゃなくお前らが今ここにおるのは亜由美が守ってくれたんちゃうんか?確かに亜由美がシノブを殴ったのは悪いことやけどそれは亜由美とシノブの問題であって俺らは立ち入れんやろ。

見た目では亜由美が暴力的であっても傷ついたんはどっちや?お前ら頭冷やしてよく考えろ!」


みんなシーンとなりシノブから離れた。俺の言ってる意味が通じたとは思えないけど自分らのした事がどれだけ白状なことかってのは理解したのかもしれない。


俺は奴らに散々文句を言った後、知美が途中で帰ってしまったのにも気付かず家に帰り連絡をするべきかどうか悩んだ。

亜由美にあいてぇな。

知美への申し訳なさが俺の感情を止めさせてた。

だけど俺が話を聞いてやらなきゃ誰があいつを守るんだ。

誰があいつの誤解を解くんだよ。と言い訳を見つけた俺は打ったことのないポケベルを打ってみた。

ちゃんと届いたやろうか?


待ち合わせ場所へとチャリで行く。

雪が降りめちゃくちゃさみぃ。


1時間立っても来ない。


でも俺は確信してた。あいつは来ると。

凍ったココロを持つあいつのあたたけー部分を信じて俺は待つことにした。

何時間でも。


うるさい原付が近づいて来た。亜由美だ!

俺はニット帽に積もってる雪を払いのけ、亜由美に声をかけた。

「よっ!」

亜由美は何も言わない。

普通2時間待たせたら「ごめんねー」とか言うだろ><

でも俺はそんな事より亜由美が来たことだけで嬉しかったんだ。


知美への言い訳を作りつつも

初めて女を守りたいと思った雪の日だった。








その後、シノブに誘われ橋の下へ行く日が多くなっていった。

私はCDウォークマンをポッケに入れて洋楽を聴きながらボーっとする日々。

しかしそんな私でもいつの間にか皆の輪の中に入り話をする時間が楽しくなってた。

拓也は全然来なくなってた。

シノブはその頃、シゲと付き合い始めたので拓也が来ないことは大して気にしてなかった。


そんな私達にとんでもない事件が起きた。


いつものように私は橋の下で、シノブ、シゲ、中ちゃん、カズ、と話をしてた。

1時間程たっただろうか。橋の上でボンボンと騒がしい車の音やバイクの音がしだした。

皆が私の顔を見る。

「い。いや。うちちゃうし、、、」と言ったが疑いの目は消えない。

すると階段を降りる足音がした。

「シノブ~何してんだー」


「げ。。。高ちゃんきてしもた><あゆちゃんどうしよう><」


私は訳が分からない。

カズにシゲ、中ちゃんが男達に連れて行かれようとしてる。

殴られうずくまる。

知らない男が「お前もこいや」と私の腕を引っ張る。

シノブは泣き「やめてー><」と叫んでる。


どーゆうことや。。。シノブ!!どーなっとんねや!!!!


私が叫ぶとリーダー格らしき男が「離したり」と言い私の拘束を解いた。

「あんたが亜由美か。いつもシノブが世話なっとるらしいな」

????

シノブが話し出す。


このゴツイリーダー格の男は大阪の走り屋チームのリーダーでありシノブの彼氏だと。

そう二股かけてたのだ。本命はもちろんこの男。

シゲの事は遊び程度だったんだろう。


そんな事はどうでもいい。

そんな下らない理由でシゲや中ちゃん。カズまでもが巻き込まれ殴られた。

くそがっ。


仕方無くその場でトモの名前を出し、今日の所は帰ってくれと頼んだ。

その時のカズ、中ちゃん、シゲの怯えきった顔。。。

私を見る目を一生忘れないだろう。


奴らが帰りシノブが皆に「ごめんね。。。」と言うと皆は「気にしんでええよ^^」と笑顔だった。

うちは黙ってシノブに立つように命じた。

シノブは「何?何??どうしたん?」とヘラヘラしてた。


皆の見てる前で私は始めて友達を殴った。

顔にワンパンくらして腹に蹴りを入れただけでシノブは崩れ落ちた。

げぇげぇ吐きながらゴメンナサイを連呼してた。

「うちが怖いかシノブ。。。」と私は言った。

もうこいつとはつるめない。そう思った。

京都で唯一友達やと思ってた女だったけど。どうしても許せなかったんだ。。。


その時私は確かに中ちゃんやシゲ、カズを友達やと思ってたから。

その友達を傷つけ、迷惑をかけたシノブがどうしても許せなかったんだ。

いや違うな。。。

いつの間にか私はこの場所がとても好きになってた。

薄暗いけどいつも誰かが居て寂しくなかったんだ。

今まで何度も友達ってものも出来たけどココロから笑える場所ってのは無かった。どこでも喧嘩がつきまとってたから。

でもここでは尖ることもしなくても良かったから。好きだったんだ。。。


しかし、中ちゃんもカズもシゲもシノブの所へ駆け寄り「やりすぎやろ!!」「糞ヤンキーが!」「帰れ!!」と私に言った。

わかってる。そんなもんやってこと位、今まで何度も経験してきた。私は強い女。いつでもそうやった。

泣くことはしない。ただ歯を食いしばり階段を上がった。悔しかった。


「どうしてん」

聞き覚えのある声が聞こえた。

自転車にまたがった拓也と彼女だった。騒ぎを聞きつけて来たんだろう。

とっさに目をソラシ原付にまたがる。

「ちょっと!待てよ」

腕を掴まれる。拓也を思いっきり睨んだ。

「何泣きそうな顔してんねん。。。」拓也が言った。

今にも涙が出そうやった。

何でや。今まで我慢できてたのに。いつからうちはこの男に涙を見せる程弱くなったんや。。。

悔しい。絶対泣かない。

歯をグッと食いしばりつかまれてた腕を振り払い走り去った







電車に乗り込んだ俺は真っ赤な顔をしてたと思う。

スッピンの亜由美はめちゃくちゃ可愛くて笑顔が頭から離れずドキドキしてた。

普通に装ったつもりやけど。。。

学校へ行き、いつも通りつまらない授業を終える。

今日は知美とデートの約束をしてた。

めんどくせーなーと思いながら駅で待ち合わせた。

電車を降りると知美が改札口で待ってた。

朝の件を思い出しワラってしまった俺に知美は「どうしたの?」と聞く。

「いや。何も」とごまかしたが知美は怪訝そうな顔をしてたっけ。

いつも通り家に行こうと橋を渡ろうとするとにぎやかな声がした。

「あいつらおるんかな?」と言うと知美が「もう~早く行こうよ~」と言うので挨拶だけしてくるわーと駆け寄った。

「よっ」

うぇ!?何で亜由美がいるんだ????


とっさに彼女を見られたくない。そう思った。


挨拶だけして知美の元へ行ったがなぜか亜由美が上がってきてた。

知美「誰?」

拓也「ツレ」

知美「フーン。。。何か挨拶した方がいいかなー?」

拓也「いや。いいよ」

するとシノブが走ってきた。

突然知美に挑戦状のようなことを口走るのでハッキリ断った。

女に興味はない。

知美だけでも面倒くさいのに。。。


そこでなぜか俺はしのぶに祭りに行こうと誘った。

知美は「はっ!?」と言う顔をしてた。

当然だろうな。俺にこくってきた女を誘ってんだから。

でも俺が誘ってるのはシノブじゃないんだ。

後ろに立ってる亜由美に言ったんだ。

彼女の見てる前で他の女を誘う。。。

何やってんだろ俺。


ただ今この場に亜由美が居るのに他の女と手をつないでるのが苦痛だった。

なんでだ?

大好きな彼女のはずやのに何で俺は知美を気遣う訳でもなく違う女の事ばかり気にしてるんだろう。


その場から離れ家に着くと知美に泣かれた。

知美「何で?なんでお祭り行くの私じゃないの?」

拓也「なんとなく。。。」困った俺はこう答えた。

知美「シノブちゃん可愛いよね。好きなんでしょ」

拓也「違う!」

知美「じゃぁ知美の事好き?」

拓也「好きやで」

知美「じゃぁHしようよ。付き合ってもう4ヶ月立つのに手も出して来ないじゃん」

そういわれて俺は。。。

キスをして抱き寄せた。


でも。。。「ごめん。帰ってくれね?」途中で俺は言った。

知美はぐちゃぐちゃになった顔で俺に言った。


「拓也が私の事好きじゃないこと位分かってるんだから!!」


怒らせてしまったな。。。

夜電話して謝ると知美も謝ってきた。

「別れたくない」と泣くから。俺何やってんだろ。。。って。


亜由美とシノブは所詮ナンパで出合ったツレ。

それ以下でもそれ以上でも無いと言い聞かせ続けることにした。



家に帰ると疲れてたのか少し寝た。

起きると雑誌を片手にシノブが座ってる。

「あゆちゃん起きた?」

「起きた」そう言うとたばこに火をつけてボーっとする。

「明日の朝、張り込みついてきてー!」

何の話か分からなかったので「暇やしええよ~」と答えるとシノブが話出した。

「実はうち、拓也クンええな~と思ってw告白しようと思うねんけど家も知らんし最寄の駅位やもん聞いたんwそやし張り込みww明日は学校もあるやろうし。」

告白ですか。。。

「またか」とボソッと答えると又寝た。

シノブは惚れやすく飽きやすい典型的美人パターンの恋愛しかしない子だ。

シノブと私の付き合いはまだ4ヶ月程だがその間に何度男が変わったか。。。


そして次起きた時は早朝4時。

シノブに叩き起こされた。

面倒くさい。。。


駅についたのは5時。「寒い。。。」

シノブはきちんと化粧をし服もきめてきてるが私ときたらスエット上下の化粧も中途半端。

パーカーの帽子をスッポリかぶり座り込み待ってると8時頃。

奴が来た。


シノブが何か話してる。

チラッと見ると拓也と目が合った。

そして近づいて来て私はおはようも言わず文句を言ったのに「すまんw」と謝ってきたので笑った。


コートをがばっと私にかぶせると拓也は足早にホームへ行ってしまった。

シノブが横でムスッとした顔をしてる。


その後をシゲが通った。

シノブが話かける。

そして拓也を待ってたことを言うと、シゲが


「拓也には彼女がおるから。俺にしときーなw」とシノブに言った。


拓也には彼女がいる。その時初めて知った。

そしてシゲが「そんじゃぁ今日の夕方、俺らの家の近所にたまり場があるからそこおいでw拓也も来るかもやし」

と誘われた。

シノブは大乗り気。

うちは「やめとく」と言ったがシノブが許してくれるはずもなく夕方になり駅でシゲと待ち合わせ、小さな橋の下へ行った。


するとマサとカズが居た。

2人はシノブを見て大喜び。

ワイワイと話をしだす。私は1人ボーっとしてる。


「よっ」

拓也が顔を見せる。


でもビックリとした顔をするとすぐに行ってしまった。

何となく気になった私は階段をのぼり後ろ姿を見た。


2人の。


そう拓也と彼女のだ。

振り向いた彼女は拓也に「誰?」と聞いている。

2人は立ち止まりこちらを見る。

拓也が私を紹介してるっぽいしぐさを見せる。

私がペコッとお辞儀をすると彼女は笑顔を見せた。

階段を上がってきたシノブが走って二人の所へ行く。

「私拓也クンの事好きなんですよー。別れてもらえます?」

彼女はビックリして拓也の顔を見る。

拓也は「見て分からん?俺彼女おるから。」とシノブをフッタ。

彼女は泣きそうな顔をしながらも拓也の手を離さない。

当然と言えば当然。


しかしその直後、拓也がシノブに言った。


明日お祭りいかへん?


はぁあああああああ!?


この修羅場に何言ってんのこいつ><

彼女もギョッとした顔をしている。

シノブは喜んでたけど。。。


そして「お前も行こうな!」と言うので「アホか!!!!」と叫んだ。

拓也は笑ってた。


この男。。。変だ。。。。。。_| ̄|○











「何であんたの横に座らなあかんの」私は言った。

無愛想な私に苦笑いを浮かべる周りの人達に対し拓也は違った。

真顔だった。

そしてもう一度「ええからこっちきぃ」と言われサキに「空気ヨメコノヤロー」とちゃかされたので

むっとしながらも隣に座った。

みんなは自己紹介を始め、盛り上がり話に夢中になってる中、もくもくとギターを弾いてる拓也。

そして手を止め、「お前尾崎って好きか?」と聞いてきたので「知らん」と答えると「じゃぁ聞け」と言われた。

この男、、、私が怖くないのか?と思った。

普通の男はって言うかその頃の私の見た目では一般の人は引く。

金髪にダボダボの服。顔や体は傷だらけ。一発でヤンチャしてるのは分かるはず。

距離をあけるとか目を合わさないようにするとかそんな風な素振りを全く見せない拓也に少しビックリしながら平静を装ってた。

でも周りが盛り上がってる中、私が浮かなかったのは拓也も同じくして輪に入ってなかったからだろう。

後になって分かった拓也の優しさ。


そして拓也も酒を飲みすぎたのかいきなり私に「I LOVE YOU」歌ってやる。

と言い出した。

シノブが「えええええええ」と言う。シノブはこの男を気に入ってる様子。

私が「いらん」とソッポ向いても拓也は歌いだした。


皆聞き入る。そして歌が終わった時、カズが「いい雰囲気になったところで王様げええええむ!」と叫んだ。

みんなもノリノリ。


そして王様ゲームが始まり10回はやったかな。

そのうちの7回か8回は私と拓也が当たるという奇妙なゲーム。

皆は「またかよw」とそれはそれで盛り上がる。


しかし内容は少しずつエスカレートして行き、キスをするというものまで。

私から拓也にするというものだった。

「分かった」と言い、しようとすると「やめてー><」とシノブがマジで嫌がってるので「じゃぁ変わる」と言うとそれじゃぁゲームにならない~とブーイングの嵐のおかげで取り消しになった。


その後バックドロップをするというのに当たってしまった。

それは拓也から私にだ。

「痛そう。。。」と思ったけど覚悟決めてみんなから離れた位置まで行った。

すると拓也が「バックドロップしたように見せるから体任せて」と言われたのでうなずいた。

後ろから抱えられ持ち上げられた瞬間、拓也の手が止まった。

そしてクルッと向きを変えられ拓也の顔がまん前に。

きっと私はビックリした顔をしてただろう。

拓也はジーっと私の顔を見てた。

そしてソッと私を地面に立たせると「戻れば?」と言うのでムッとし「あっそ」と言ってしまった。


戻りまた王様ゲームを再開させた。

今度はカズと私が当たり、カズが私の胸を触るというものだった。

すると拓也が「やめっやめやめ」と言うので全員「え?w」状態。

「やっぱ女の乳触るとかゲームであかんやろ」と真顔で言うので大爆笑。


そしてゲームが終了しみんなは疲れ果てたのか寝てしまった。


私は川を見てた。皆が起きるまでずっと。

何か気持ち良くて。


そして朝になりみんな寝ぼけた顔で解散モードに。

シノブは拓也に話かけようとしてたけれど単車に乗った拓也は早いのなんのって(笑)

「ほなっw」とすぐに行ってしまった。


シノブは何やら計画を立ててたけれどうちには関係ないと思ってた。

まさか次の日の早朝に一緒に待ち伏せするハメになるとは。。。^^;


だって私は「あの男嫌い。もうつるみたくない」と豪語してたから。

ココロのどこかで拒んでた。