泣きながら起きた俺は朝から頭が痛かった。
グルグルとクロが最後に言った言葉を思い出しては涙ぐんだ。
「来るなあああああああああああああああああああああああ」
頭が痛い。
しかし亜由美の事が気になった俺は橋の下へ行く。
居た。
ホッとした俺は腰を下ろす暇も無く亜由美に呼び出された。
「どないしたん?」亜由美が言う。
「お前親友っておるか?」
今まで誰にも話そうと思ったことがなかったのに亜由美なら話せる気がしたんだ。
亜由美になら話出きると思ったんだ。
しばらく無言の後、亜由美は「いねーよ」と答えた。
そして自分だけしか信じないと言い切った亜由美。
俺は情けなかった。
だからつい。「寂しいな」と言ってしまった。
待て。違う。こいつは好きで寂しい思いをしてる訳じゃない。
誤解を生みやすいんだ。昨日気付いたってのに何言ってんだ><
チラっと亜由美を見ると唇を噛んでる。
あ~こいつこれ癖だな。
こいつ悔しかったり悲しかったり。。。
我慢する時、唇カムんだ。
しまった!
またこいつに考えさせてしもてる。
「わりー」と謝ったものの亜由美は怒り暴言を吐き続ける。
亜由美の目を見て暴言を聞いてると亜由美の怒りがピタッと止った。
まだ唇を噛んでる。
うつむいて何かを言いたそうだ。
「亜由美?」
「帰る」
え。。。
あいかわらず突拍子の無い女だ。。。
そのまま亜由美は帰ってしまい、結局俺も家へ帰った。
家へ帰りまたクロの事を思い出す。
亜由美と時間を共有するたびにクロへの申し訳さが先立つのはなぜか?
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16歳の夏。 8月30日
俺らは皆で川へ泳ぎに行った。
いつも通り、クロは俺のケツ。
全ていつも通りだったんだ。
だけど一つだけ違ったのはいつも穏やかな川が前日は雨だったので増水し流れも早かった。
俺達は調子に乗りその川へと飛び込んだ。
流れが早く油断すると体を持ってかれた。
それが又楽しくて川中央にある岩まで泳ぐことにしたんだ。
俺が一番に行く。
カズが行く。
中ちゃんが行く。
シゲが行く。
クロの番だ。
クロは「やべーって。俺泳ぎ苦手やしやめとくわー」と言った。
俺は「大丈夫やって。へたれかお前はw」
クロ「こえー><流れはえーし><」
俺「何かあったら助けたるやんけー」
クロ「おー。。。」
クロは察知したのかもしれない。
これから降りかかる自分の不幸を。
なのに俺が言った助ける。と言う言葉を信じ飛び込んだんだ。
クロが泳ぎ俺達の居る岩へ向かう。
後もう少し。
手を思いきり伸ばす俺。
クロも伸ばす。
とその時大木が流されて来てクロがそれにブチ当たった。
一瞬クロを見失い、探すともうすでに10mは流されてる。
俺は飛び込んだ。
クロの元へ行こうと必死に泳いだ。
流れは中腹へ行けば行く程、人の手で泳げるようなものではなかった。
溺れるような形でクロへと近づく。
遠くでカズや中ちゃんの声がする。
「拓也あああああああああクロおおおおおおおおおおお」
そしてクロが「助けて」と必死で顔を水面へ出そうとしてる。
もう少しで届く。クロに届く。
その時クロが言ったんだ。
溺れそうになり苦しいはずのクロが。
「来るなあああああああああああああああああああああああああ」
そしてその言葉を最後にクロは沈んで行った。。。
その瞬間に俺は気力を失い同じくして沈んだ。
川底へと一気に体が沈み、川底の石を背に水面を見てた。
流れのまま体が動く。
ザザッ。
むせる俺。体中から血が出てる。木や草で切ったんだろう。
気付いたら俺は岸に流されてた。
カズとシゲも助けようと飛び込んだらしく近くの木に必死にしがみついてた。
中ちゃんが呼んだ救助隊のヘリが到着する。上が騒がしい。
15分もすると救助隊の人が来て俺を連れて行こうとする。
「クロが!クロがおるんや!まだ生きてるんや!」
俺は半狂乱だった。
狂ったようにもう一度川へ飛び込もうとしてた。
そんな俺をシゲもカズも全員で止めた。
「お前まで失ったら俺らどないしたらええねん!」
「お前ら諦めてるやんけ!まだクロは生きてる!!!」
そんなやり取りをした。
みんな泣いてた。
苦しんだ。
病院でクロが助かったという朗報は届かなかった。
届いたのは次の日
死体が上がった。との連絡だった。。。
息が出来なかった。
俺が殺した。。。
あの時俺がコイと言わなければ。
葬式でクロの母親に言われた「人殺し!あんたが死ねばよかったんだ!」
涙は出なかった。泣いたらいけないと思った。
家へ帰り糞程泣いた。
俺が。。死ぬべきだったんだ。
俺はずっと苦しみ続ける事がクロへの思いの強さだと強調してたんだ。
俺がクロを殺したんだ。
俺は誰も幸せには出来ない。
助けることなんてできねーんだ。
苦しかった。苦しくて苦しくて悲しくて悲しくて。
クロが居ない寂しさと自己嫌悪。
クロの存在の大きさが俺を支えてたのに。
亜由美の存在が大きくなるにつれてクロを忘れそうな気がして怖かったんだ。
突然、電話が鳴った。
ビクッとした俺はしばらく鳴り止まない電話を見つめ「もしもし?」と無愛想に出た。
すると亜由美がいきなり話しだす。
「さっきはごめん。あんなうちには親友とかゆうのわからへんねん。だから何もゆえへんかった。ほんま分からんから。。。でもあんたが元気なるんやったらさ。うちがあんたの親友なったげる。」
涙が出た。
声をあげて泣いた。
こいつ何言ってんだよ。
そんな簡単なもんじゃねーんだよ。
泣き続ける俺との電話で亜由美は何も言葉を発しなかった。
無愛想な電話での会話の中に本当の優しさが見えた。
親友になったげる。
こいつなりの精一杯の優しさを感じたんだ。
俺は一方的に電話を切り、落ち着きを取り戻すと亜由美の家へと単車を走らせた。
今すぐ会いたい。
会いたいんだ。