安西水丸さんがお亡くなりになりました。

かつて連載でお仕事ご一緒させていただいたり飲み友達としてすこしおつきあいがありました。

水丸さんはよくお酒を召し上がったけれどもそこには美学と哲学があった。

 

いつも美しい男の人であった。

去年、青山のいつもの展覧会で初めて1枚だけ水丸さんの絵を買いました。

この絵買おうと思いますと、画伯に話すと、

「それぐらいいつでも描いてあげますよ。」とおっしゃった。

だけど一枚ぐらい持っておいてもいいと思ったので買った。

今も壁にある。

アポリネールの詩集の言葉を絵にしたものだ。

アポリネールという詩人をわたしは知らなかった。

 

つまり彼女の薔薇の木には蕾が一つもありません。

 

つまり彼女の衣服には釦が一つもありません。

ぼくの着ている背広にも釦が二つ足りません。

ぼくとあの貴婦人は同じ教義の信者です。

アポリネール詩集 アンニーの一節より

 

水丸さんが好きでした。

今だって少しも変わるもんか。

 

水丸さん、お空の上からにこにこにやにやしてみんなのことを見ているのでしょう。

いくつも書き残しておきたい記憶があるのでおいおい書いていくことにします。

水丸さん、すこし上を見上げれば見守ってくれていると思って

わたしもう少しちゃんと生きていくからね。

合掌。

あゆみ