この間、抽選に外れた村上春樹さん(5月6日に京都大学での)公開インタビューですが、
主催した河合隼雄財団の俊雄さんから以下のようなお手紙がとどきました。(イープラスを通じたメール)

会場での場の雰囲気や、河合隼雄さん村上春樹さんの空気や思いに触れたようで読んでいてしみじみし、なんともじんわり嬉しくなりました。
ううう~ん、またもや一層ファンでいることがやめられないじゃないかぁ~。
皆さまにもご紹介したくなりました。



【<河合隼雄物語賞・学芸賞 創設記念>
『村上春樹 公開インタビュー in 京都─魂を観る、魂を書く─』】
抽選受付にてご応募いただいた方へ主催者からの御礼のメッセージを、
イープラスよりお送りしています。

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河合隼雄財団代表理事の河合俊雄です。

先日は5月6日に京都大学百周年記念ホールで行われた
「村上春樹 公開インタビュー in 京都 ─ 魂を観る、魂を書く ─」に
ご応募いただき、誠にありがとうございました。

おかげさまで本当に多数の方に応募いただきましたが、
そのために多くの方は抽選に外れ、チケットが行き渡らない結果になったことを
お詫び申し上げます。

参加することができなかった方も、多くの報道を通じてご存じかもしれませんが、
簡単に報告させていただきます。

村上春樹さんはインタビューに先立って25分のスピーチを行いました。
そこでは、村上春樹さんが河合隼雄と「物語」というコンセプトを
共有していたこと、それを「本当に正確な形で丸ごと受けとめられたのは、
河合先生以外なかった」ことが語られ、二人の深い結びつきと河合隼雄に対する
村上春樹さんの熱い思いが伝わってきて、感動的でした。
最後の挨拶で私が申し上げたように、村上春樹さんは前日に
河合隼雄の家を訪ねて下さいましたが、村上春樹さんにとっても今回のことが、
まさに「村上春樹、河合隼雄に再び会いにいく」という巡礼になっていたのだな
という思いがしました。

今回の公開インタビューは、河合隼雄物語賞・学芸賞の設立を記念して
行われたものです。村上春樹さんの話を通じて、河合隼雄のキーワードとして
「物語」に焦点を当てて河合隼雄財団が活動していることに間違いはなかった
という気持ちになりました。同時に、「魂の奥底にあるもの」とか
「人と人とをつなぐもの」と言われた「物語」とは何かというのを、
今後も追求していく必要性を感じました。
特に「自分の物語を相対化する」という考え方は新鮮で、物語も簡単に
同一化できる「安酒」になってはいけないということと思われました。

湯川豊さんによるインタビューでは、自分の作品の変遷について、
最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』についてなど、
多岐にわたって語られていました。自分がデタッチメントからコミットメントに
変わっていったこと、そして最新作ではさらに、それぞれの登場人物の
ミクロコスモスを描こうとしたことなども印象的でした。
コミットメントというのが、独りよがりのものでない、
他者の存在を認めるものに変化してきているように思いました。

湯川さんによるインタビューの後では、みなさんから送っていただいた質問が
いくつか披露され、それにも村上春樹さんは率直に答えてくれていました。
創作について、走ることについて、ビールについて等々、時間の許す限り
やり取りが行われました。

村上春樹さんには、河合隼雄との間で共有したものを元に、
これからもすばらしい作品をいくつも書いていかれることを祈念します。
また河合隼雄財団としては、来週5月20日に発表される
第1回河合隼雄物語賞・学芸賞をはじめとして、今後も「物語」ということを
考える場を提供していければと考えています。
アンケートにも、講演を聴きたい人として、多くの名前があがっていました。
今後の財団の活動に引き続き注目していただき、温かいご支援をお願いします。

2013/05/15 (河合隼雄財団代表理事・河合俊雄)

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読んだ感想。
アフターケアって大事ですね。
聴講する抽選にまざまざと外れ、はじき飛ばされたようで少なからず悔しくなっていたところへ来て、今日になってこのようにフォローされ、ああ見捨てられたわけではなかったのか~と嬉しくなり即効手放しで喜んでしまう心理を全部見透かされているのか~。見透かされて嬉しい。
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ベジアナ@あゆ