2年ほど前の調査結果では
うつ病の罹患(りかん)率は非常に高く、日本では100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているとされている。


ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の遺伝子SITH-1(シスワン)

東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授の近藤一博医師らが発表した論文は、2020年6月アメリカの権威ある科学誌『iScience(アイサイエンス)』(Cell Press)に掲載され、日本のマスコミも大々的に報じた。その内容は下記(青字)のようなもの。

報じられた内容を見る前に、先にヘルペスウイルスについての基礎知識
   ↓
(川崎医科大学 総合医療センターHPより)
ヘルペスウイルスは、ヘルペスウイルス科として9種類存在します。一般的には、口唇ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウイルス(HSV)と、いわゆる「胴巻き」といわれる帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の2種類を「ヘルペス」と呼ぶことが多いです。

口唇ヘルペスも帯状疱疹もストレス負荷がかかると発症しやすいことは有名ですね。

そして、ストレス過剰蓄積による事で引き起こされる「うつ病」もやはり9種類のうちの1つであるヒトヘルペス6の特定遺伝子が関わっていた…というニュースだった。
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「ほとんど全ての人に潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の遺伝子SITH-1(シスワン)を発見し、これがストレスレジリエンス(ストレスを跳ね返す力)を低下させて、うつ病を発症させることを見いだした。

SITH-1を持っている人がうつ病を発症する確率は持っていない人の12.2倍患者5人中4人はSITH-1を持っているというデータを示した。」


このニュースは私もよく覚えているが、コロナ禍に入ってからの新しい情報だった。最近、カズレーザーのTV番組でも取り上げていた。

ウイルス説で勘違いしてはいけないのは、HHV-6がうつ病の原因とは言っておらず、HHV-6がやっているのはストレスを増幅する働きであり、ストレスを増幅することによって起こる病気の代表格がうつ病、というメカニズムを解明したということらしいです。

リスクファクターの大きな要因となるウイルス説で発症メカニズムが解明されれば、薬の開発に繋がります。そこが
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の遺伝子SITH-1(シスワン)を発見
の意義として大きいということのようですが、まだ薬の開発は途上のようです。


■母親からの遺伝を実感した義妹

ヒトヘルペスウイルス6は親から幼少期の子にうつすウイルスですから、年齢と共に姑に似たとこが目立ってきた夫にも抗体検査して欲しいですキョロキョロ

姑が劇的に改善に向かった薬の事を、親子だから体質が似ていると考え、姑のかかりつけとは別の病院に入院中だった妹の主治医に私の方から情報提供し、同じ薬を処方して頂いたらやはり劇的に改善した。

こうして義妹は一年以上に渡る入院生活を終えることが出来た。義妹の病室にはうつ病で5年間入院している患者さんもいてそこまで長引かせるのは辛すぎると義妹も怯えていたので、本当に良かった。

「怖いほど私は症状もお母さんにそっくりだ。遺伝だと思った。今ならあの時のお母さんの気持ちが分かるよ。気のせいだ。気のもちようだと責めてばかりいて可哀想な事いっぱい言ってきたなと思うショボーン」と話していた。


■通院付き添いを拒む人、そもそも、病院に行かない人たち

一方、私の知人にも、何年も前からうつ病で家から外に出られないお義母様が一人暮らししている事を聞いていたが、コロナ禍で開業していたご主人は元気だったらまだまだ仕事を続けられたはずなのにうつ病になってしまい閉じてしまった。そして母親を引き取った。なので現在その友人は、うつ病のお義母様と夫と3人で暮らしている。そして、一人っ子のお子さんまで昨年は軽い適応障害になりかけて会社を休んでいた時期があった。

知人は、「何年間も家の中で塞ぎ込んでいる母親を、夫が病院に繋げようとしない」と嘆いている。夫自身も自分のうつ病で精神科にかかろうとしないからだ。

このように、精神科不信で、病院に繋がろうとしない事例は案外あるのだろうと推測する。


もうひとつ、長年親子関係がうまくいっていなかった別の知り合いの話。その人の老いた親も、話を聞いていると明らかに精神疾患になっているのに、肝心の親自身が、断固として通院を拒否しているという。親子の信頼関係があってはじめて親も子の声に耳を傾けてくれる。



■世間の誤解はなかなか解けない

うつ病は、性格的な事に起因する心の病という認識が人々の間に根強くあり、うつ病は「脳の病気」である!と伝えても、その場では「そうなの!?」と何となく分かってもらえたようでも、実はなかなか理解され難いという現実がある。

それはやはり、脳の病気であると言われても、うつ病患者の周囲の者達にとって、性格的なものもうつ病のリスクファクターの1つであることに間違いない気が強くしてしまい、実感としてうつ病は性格的なものに起因する「心の病」に見えてしまうからだと思う。

事実、義妹に関して義妹の兄と姉は「あの子は甘えている。甘えに際限がないから怖い」として、いくら「脳の病気」だと分かっていても、義妹のサポートからフェイドアウトしていた。

それは家族である娘さん達でも同じで、精神的な支えを親から求められても重すぎて抱えきれない実態が私には見えていた。

私は義妹とは血縁のきょうだいや子たちから比べたら遠い存在のはずの兄嫁だが、私が義妹を見捨てたら義妹はどうなってしまうの?というのが私のジレンマだった。

それでも、その兄や姉、娘さん達の気持ちも私には少しは理解出来た。血縁者のほうがサポートするにも関係性が近すぎるとストレス負荷が大きいのかもしれないとも思った。

調べたところ、保険適用外の自費診療では、脳波や血液検査など、独自にうつ病を数値化しているクリニックはあるようだが、一般の保険適用の医療では、医師からもうつ病に関する客観的な数字データは示されないし、脳のMRI画像も家族は見せて貰ったこともなく、親族にとって「脳の中は見えない分」うつ病を脳の病気と捉えにくく「性格起因の心の病気」と思えてきてしまいがちなのもマズイ(>_<)

確かに理屈では「脳の病気なのね」と分かっていても、実感として性格的なものとして周囲の目には映ってしまうからこそうつ病は厄介で、患者は「誰もこの苦しみを理解してくれない」とますます孤独に陥っていくように思えてならない。


偉そうに書いているが、私も、姑の症状は「脳の病気」と理解している一方で、元々持ち合わせている「依存傾向」や「拘りが強い」「(自分は出来ないくせに)他者は出来るだろう」と平気で考え要求してくる性格等々もかなり本人の言動に反映されている気がしていて、全てを「病気だから」と受け止められるか?と言うとそれは未だにかなり怪しいあせる

「勿論、姑にはいいところも沢山あるから、お世話できるんですよ…」と、悪口書いてしまったフォローもしときます(笑)


けれど、うつ病は脳内の異常が大きく起因していることは間違いないのだから、「自責の念」に陥りがちな患者を更に追い詰めない為に「あなたは悪くないんだよ。うつ病は脳の神経細胞が傷ついた病気なんだからね」と伝えている医療者の姿勢は当然だし、患者家族もそのような気持ちでなるべく接してあげた方が、患者だけでなく家族も心理的に患者を責めなくて済むので楽だと思う。


■セロトニン説は正しいのか?

うつ病発症リスク要因には、ストレス蓄積、生まれついての性格、遺伝因子、など様々に言われているが、迅速かつ正確な情報発信が求められる厚生労働省提供のウェブサイト「みんなのメンタルヘルス」にさえ、「発症の原因は今のところ分かっていません」と記載されたまま。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が劇的に効いたことを根拠に、うつ病はセロトニン不足が原因とする説も根強くあり、私が「うつ病家族の会」に参加した時も、「うつ病の原因はセロトニン不足による」と会場で説明されていた。

幸福物質とも言われるセロトニンホルモンは身体だけでなく脳内でも神経細胞の間を行き来している。そもそも、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」とは、セロトニンの再取り込みを阻害、つまり遮断することで脳内に減っていたセロトニンを溜めるというメカニズムの薬らしい。

事実、姑と義妹は共に、それまで様々な薬を試したが一向によくなる気配がなかったのが、SSRI服薬でうつの症状は劇的に改善された。これを見てしまうと、やっぱりセロトニン不足だったのか‼️と素人は思う^^;

けれど、前出の近藤医師曰く、うつ病の原因が全てセロトニン不足と言い切るのは誤りらしいキョロキョロ  一つはSSRIを抗うつ薬として投与し、セロトニンを補っても半分近くの人は治らないこと。もう一つは、うつ病患者の脳内物質を測った結果、セロトニンは減っていなかったことなどが、その理由とのこと。

うーん、分からなくなってきます(>_<)

ならば、何故、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、投与した人の半数とはいえ こんなに患者に効くの?

理由は、SSRIには脳内のドーパミンなどの働きを活性化することで全体的に気分を上げる働きがあり、SSRIで少し気分が明るくなると、正しい現実が認識できるようになって、「認知行動療法」のような心理療法も効くようになり病気も改善に向かうと考えられているからだそうです。

そう考えると、やはり現状は、SSRIは有効な薬のひとつとしての位置づけは当分続きますよね。

義妹はSSRIでうつの症状が劇的に改善してきた時に、私に言いました。「やっと人間に戻れました」と。私は「お帰りなさい」と返答しました。


■うつ病予防対策はシンプル

色々書いてきましたが、
うつ病発症メカニズムの解明が進みつつあっても、現状、うつ病予防で我々に出来ることは、従来から言われている下記のようなことを普通に意識していくというシンプルなことのようです。

ストレッチや有酸素運動を生活に、楽しく無理せず取り入れる。

◉自分にとって心地よいリラックス方法を見つける(アロマ、入浴、旅行、趣味、質の良い睡眠、マインドフルネスetc)

◉思考の改善(見方を変えるリフレーミング=例えば、仕事を嫌だ嫌だと思うだけの自分から、これも1つの経験で自分の血肉になっていくチャンスと考えるなど) 

思考の改善は、 自分で自分の脳を良い方に騙すとも言えます(笑)


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うつ病リスクは誰にでもあります。
今は五月病の季節

一旦大きく傷ついた脳は元に戻るのに年数を要するからこそ、厄介なうつ病にならないように、自分で自分をメンテナンスしていきたいものですねニヤリ