質問:

このブログをお読み頂いている方々は、うつ病は「心の病」だと思いますか?

 

“真面目な人”がうつ病になりやすいと聞いたことはありませんか?

 

「考えすぎるから良くないんだ。くよくよ悩むのをやめて、考え方や思考の癖を変えてみたらどうでしょう?」

と患者に言ってあげたくなりますか?

 

 

夫の親族の精神科付き添いをしていて思うのは、もっと医者は患者に、わかりやすく『うつ病発症のメカニズム』について解説してくれてもいいのにな…あせる ということです。

 

時間がなければ、せめて患者向けのうつ病発症のメカニズムが書いてある冊子でもあれば…と思います。

 

 

うつ病患者の中には、

自分は弱い人間なのだろうか…

 

と自責の念に駆られている患者が多いことを知ってほしい。

 

 

だからこそ、

 

心が弱いからうつ病になったのではないのですよ!

 

うつ病は脳の病気なんですよ!真顔

 

 

と医師は、患者にはっきりと伝えてあげてほしいのです!

 

 

 

 

ブログ①のつづきです。

 

 

【生物進化の過程】

 

魚類  5億2000万年前
は虫類  3億4000万年前
哺乳瓶   2億2000万年前
 
実は生物が進化する中で、扁桃体が極めて重要な役割を担っていたことが分かってきた。
 

生物進化の過程で最初に脳を持った人類の祖先である魚類は、約5億2000万年前に誕生した。

 
その「脳」には扁桃体が既に存在していた。
古代の魚は立場的に最も弱い種であり、周りは天敵ばかりであった。
 
扁桃体は敵が近づくと、ストレスホルモンを分泌させて全身の筋肉を活性化させるすると運動能力が高まり、天敵から素早く逃げられるようになる。このため魚は生き延びることができる。
 
天敵から身を守るために発展したのが扁桃体だったのだ。
 
危険が遠ざかればストレスホルモンは減少する。
 
こうした扁桃体の働きによって、ストレスホルモンは増減を繰り返しているわけだが、このことがうつ病の原因となることが魚の研究から分かってきた。
 
 
 
 
【実験】
 
こうした扁桃体の働きによって、ストレスホルモンは増減を繰り返しているわけだが、このことがうつ病の原因となることが魚の研究から分かってきた。
 
ゼブラフィッシュという魚を、二組に分けて水槽に入れる。一組は通常の状態で飼育し、もう一組は自然界では有り得ない1ヶ月間も天敵がいる恐怖にさらされ続ける水槽に入れられていた。
 
一ヶ月の観察結果は、天敵のいる水槽の魚は、最初こそ逃げ回っていたが、ある時を境に身体の動きが緩慢になり、やがて全く動かなくなるという「うつ状態」になってしまった。
 
 
つまり、ストレスホルモンが適度に出ている時は、魚にとってそれは生き残るアイテムになるが、過剰になると、逆に過ぎたるは及ばざるが如く、「脳」にダメージを与える。
 
扁桃体を含む脳細胞は神経系統に「逃げろ」という指令を与えられず魚は動けなくなったのだ。
そして天敵がいなくなっても動かなくなった魚は元に戻らなかった。
 
 
 
【扁桃体から分泌される過剰なストレスホルモン】
 
扁桃体は大きな恐怖や不安が続くと暴走し、ストレスホルモンが過剰に分泌される。
 
ストレスホルモンを調べてみると、うつ状態の魚は大量にストレスホルモンを出し続け、正常な魚の2.2倍量のストレスホルモンが検出された。
 
ストレスホルモンの分泌が止まらなくなるとうつ状態になってしまう、ということがこの実験結果からも明らかとなった。
 
 
人間も実験でうつ状態になった魚と同じで、番組に協力してくれたうつ病に悩む男性も、検査の結果ストレスホルモンが健常者の2倍以上という極めて高い値を示しており、これが脳の神経細胞にダメージを与えていた。
 
 
 

番組に協力してくれた男性はIT関連の会社で営業の仕事をしていた。しかし大きなプロジェクトを任され、重圧からうつ病を発症。会社を辞めざるを得なかった。

 

男性は7年前にうつ病を発症し、常にザワザワするような不安感につきまとわれ社会復帰できずに家の中に引きこもる日々だった。7年経った今も、大量の抗うつ薬と抗不安薬を飲み続けている。「鉛のよろいを着せられているというか、ずっしり感でいっぱいですね。本当に辛いです」と語る。

 
具体的に健康な人のストレスホルモンの量が3.0ug/dlだとすると、男性は6.7ug/dlだった。
 
 
偏桃体は恐怖、不安、悲しみなどの危険を察知して魚のように敵から危険回避する機能を司ってきた原始的な部位
 

扁桃体が活動すると、恐怖や不安、悲しみなどの感情が生まれる。うつ病になると強く活動するのが扁桃体だったのだ。

 

 

 

 

 

【脳の萎縮】

 

この状態が長く続くと脳はダメージを受けて萎縮し、結果意欲や行動力が低下する。


男性の脳の構造や働きをMRIで詳しく調べると、異変が起きている場所が見つかった。少し軽度に脳の一部が萎縮しているのが見つかったのだ。

 

 

脳の神経細胞は突起を伸ばして情報伝達する場所を形成するが、そういう機能が扁桃体から過剰に分泌されるストレスホルモンによって障害されることが原因で脳の萎縮が始まる。

 
 
左が健康な人の脳 右が男性(仮名)の脳
 
 

また、下記添付写真は番組内の写真ではないですが、うつ病を発症している脳は、血流や代謝も悪くなっていることが分かります。

 

 

 

萎縮は記憶を司る海馬にも影響を与え記憶力の低下を招いたり、前頭葉に影響が及ぶと思考力が低下し、多くのうつ病患者が考えること自体が億劫になってくるという。脳の血流の悪さからも同様の不調を訴える原因はここにある。

 

このことから医者からは、うつ病のときは正常な判断ができにくいから、転職や引っ越しなどといった大きな決断をしないようにと指導が入る。

 

 

 
このように、生き物が天敵から生き延びてこられたのは、扁桃体のおかげなのだが、皮肉なものだ。
 
何らかの原因でストレスホルモンが過剰になりすぎてしまうと、脳にダメージを与えることになり「うつ病」となる。
 
魚類は人類の祖先なのだから、人類が誕生した時、既に魚類と同じ扁桃体の動きを備えていたと言える。
 
 
うつ病とは、人間が本来もつ防衛本能が正しく発揮された結果であり、ある条件下では、精神の強弱に関わらず誰にでも起こりうる病なのだということがわかる。
 
うつ病は「脳の病気」だったのだ。