要約のつづきです。

 

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【 新制度以前の学閥】

 

出身大学は新臨床研修制度以前には

水戸黄門の印籠並みの破壊力をもっていました。

 

今でも東京大学、京都大学、その他の旧帝大学、

慶應義塾大学などは経歴として十分意味がありますが、それでも昔ほどの効果はなくなってしまいました。

 

新臨床研修制度以前は、

出身大学に医師が研修医として残る傾向が今よりずっと強くみられました。


多くの医師は自分の大学を卒業してすぐに自分の出身大学の中の特定の診療科の医局に所属しました。

 

当時は学閥があり、外部の大学出身者は医局内で差別的に扱われる傾向が顕著に見られました。

 

出身大学の医局にいたほうが条件の良い関連病院に派遣され、研究ポストも与えられやすい状況にありました。

 

歴史の深い旧帝大やそれに準ずる大学(準旧帝大などと呼ばれていました)が

 

※参考 ↓

http://juken.y-sapix.com/igakubu/igakubu-shiryo/igakubu-keifu/

 

先行参入者の利点で

大きな市中の関連病院を抑えていましたし、

研究機関も長い年月を経て発達していました

 

つまり学閥が強かった時代は

出身大学がその後のキャリア形成に直結していました。

 

マイナーな大学を出ると

自分の大学の医局では研修病院も良くないため臨床能力が磨けず、研究も大したものができませんでした。

 

旧帝大の場合、そのまま出身大学医局に残れ、臨床も研究も比較的よいポストが得られたのです。

 

この状況下では出身大学で医師キャリアが分かれますから、出身大学がその後の医師の実力を確かに反映していたのです。

 

大学で差別するなという気持ちは昔からありましたが、出身大学によってもともとの能力よりも、むしろその後のキャリアに開きが生じて実力に差が出たため、差別するのにも根拠がなかったわけではありませんでした。

 

そういう時代に育った年配医師には、今でも差別意識が強く残っています。

 

 

【 新臨床研修制度以降の変化】

 

しかしながら新臨床研修制度になり大きな変化がありました。

 

医学生は卒業後自由に医局を選べるようになり、医師の医局間の移動がしやすくなったため、個人の実力次第で主要なポストにも就けるようになりました。

 

出身大学は今でも肩書きとして多少の意味はありますが、昔のように圧倒的に価値のある存在ではなくなり、医師としてキャリアが上がるほど実力評価の世界になるのでその価値は薄れます

 

努力もしないで実力をつけていかなければ、高偏差値大学を出ているだけでは、10年目くらいになると誰も認めてくれません。

 

確かに優秀な人はやはり良い大学の出身者に多い傾向があります。受験を勝ち抜いた人は純粋に知能が高く、自身を律してコツコツと勉強することができ、自負心の強い人が多いので目標が高く積極的な傾向があります。

 

しかし、それ以外の大学でも非常に優秀な人はいます。


山中教授は神戸大学出身であり旧帝大ではありませんし、天皇陛下の手術を執刀した天野篤教授は三浪してようやく日本大学に入りましたので、大学受験段階ではお世辞にも抜きん出た存在ではありませんでした。

 

お二人の時代はまだ学閥の時代でしたが、二人とも早い段階で学閥の世界を飛び出していたことが大きな成功の要因になっています。

 

そのまま大学医局に残っていれば成功はしなかったかもしれません。

 

お二人による出身大学と無関係の成功は、医師になってからの意識や努力のほうが卒業後のキャリアにおいて遥かに重要であるということを示す好例です。

 


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これで最後の要約にするつもりでしたが、

長くなるので続きは次にします(^_^メ)

 

余談ですが、

大学の序列めいたことに少しでも触れると牙を向けられることがあるので、コメント欄は閉じさせて頂きますˊㅿˋ


今回は本の要約でしかないことをご承知おきください。

 

リンクしてある大学の系譜も設置された時代の歴史でしかありません!

 

ところで、2chや掲示板などを現在私は全く見ることはないのですが、息子が現役受験生の頃は、少しでも情報収集できればと、私も見ていたことがありました。

 

そこでは医学部受験となるとなぜか、古い大学ほどもてはやされ、新しい大学は「駅弁大学」などと貶められることが多いようでした。

 

駅弁大学ってなに?と思い、言葉の由来を調べたこともありました。

 

なぜそこまで、優越感に浸りたい人々がいるのか?私にはそれが不思議でなりませんでしたが、「医局」やら「学閥」やら、昔の時代のことを未だに強く引きずっている人たちがいるのか…と思えば、納得がいくような気もしました。

 

そして、本の中に書かれていた市中病院を古い大学の医局ほど広く傘下にしているという「先行参入者の利点」という言葉で、なるほどとも納得はしました。

 

各都道府県に一つは大学の医学部があるようになるまでは、古い時代に設置された大学が近隣県の病院にまで医局の触手を伸ばしていたということなのでしょうか。

 

けれど、それも今はあまり気にしなくて良くなったと思えば、やはり昔よりも、医師一人一人にとっては良い時代になったのではないか?!

と感じました。

 

現実の医師たちの現状は私にはわかりませんが、

努力が報われる環境って大切だと思います。