20日~22日までの3日間、名古屋で

第24回日本臨床精神神経薬理学会

第44回日本神経精神薬理学会

が行われたようです。

 

今日は学会の市民公開講座に

友人2人と足を運んできました。

 

会場では、多くの分科会が行われていました。

 

 

司会は、

藤田保健衛生大学医学部精神神経科学

岩田仲生先生

 

講師は、前半が 

理化学研究所脳科学総合センター

精神科医加藤忠史先生

「双極性障害とつきあうために」

 

後半が 

名古屋大学大学院医学系研究科精神医学

親と子どもの心療学分野

尾崎紀夫先生 

「眠れない、眠たい、どうすれば良いか?」

 

尾崎先生は、塾生と保護者向けの

10月にあった河合塾での医学科ガイダンスの日に

教室で特別講演をしてくださいました。

 

その中で、統合失調症、自閉症スペクトラム症、

摂食障害等について

ざっくりとレクチャーしていただきました。

 

気さくで優しい雰囲気の先生で

講演内容もとても良かったので、

是非もう一度お話を聴いてみたいと思い、

今日足を運んだ訳です。

 

息子も今日の講演にとても行きたがっていましたが

予備校の完成シリーズ授業終了日のため

講演には行くことができませんでした。

 

300人入る会場は満席に近い状態でした。

 

演者の先生の患者さんと

その家族もいらしていたようです。

 

今日お聞きした専門的な内容は頂いた資料もなく

素人の私がここで書くと

中途半端な誤った内容になり得るので控えますが

素人目線で印象的だった部分についてのみ

講演内容の記憶を頼りに

私なりに書いてみたいと思います。

 

 

◆双極性障害(躁うつ病)

 

先程まで、泣いたり怒ったりしていたと思ったら、

今度は笑い出したりするような人のことを

「あの人は躁鬱が激しい」などという言い方をします。

 

つまり、比較的短時間の間に

感情の躁状態とうつ状態の

気分の起伏が激しい人のことを

このように表現したりします。

 

しかし、精神疾患の一つである躁うつ病は、

それとは違うようです。

 

躁状態とうつ状態が、

数年以上の感覚で繰り返されることを

双極性障害(躁うつ病)と言うのだそうです。

 

また、一般的に躁状態と言うと、

げらげら笑ったりやたらハイになっていて

ちょっと情緒不安定気味に感じるときに

「今日はあなた躁だね」と言うこともあります。

 

しかし、双極性障害の躁とは

大きな気分になって

買い物への浪費・性的無分別・ばかげた商売への投資など

後で困ったことになるのが明らかなのに、

つい自分が楽しいことに熱中してしまうような

社会的後遺症を残しやすいことが

問題になるようです。

 

双極性障害の場合、

うつ症状が先に数年間表れることがある為

うつ病とだけ診断されたり、

躁の状態に長くあると

本人のみならず、家族や周りが病気だと思わない為に

家族崩壊が起こり、家族を失う患者さんも多いのだとか。

 

そして、本人は「自分は病気ではない」と思っているのと

実は病気のせいで病院にかかることを極端に拒むため

双極性障害を発症してから予防療法が開始されるまでに

平均 9.6年もかかってしまっているそうです。

 

そして、私が一番驚き怖いと思ったのは、

双極性障害にかかる人の割合は

人口のおよそ0.8%が罹患するという数字です。

 

1000人に8人が双極性障害を発症する

という計算になります。

 

遺伝に関しては、

1人の双極性障害に罹患している親が

10人子どもを産んだら

1人双極性障害の子どもがいるということになります。

 

つまり、遺伝割合は10%ということです。

 

 

◆どこで治療するか?

 

うつ病の場合は

一般医心療内科でも対応するようですし

家族も病気に気がつきやすいですが、

 

双極性障害の場合は、先の両者では対応が難しく、

やはり精神科にかかってほしいそうです。

 

海外では不眠だけでも

気軽に精神科にかかるのに比べ

日本国民の精神科に対する誤認と偏見は酷く

 

世界的に見ても、日本国民は

精神科に足を運ぶ人が極端に低いのが現状です。

 

その為、うつ病の早期発見が遅れ、

そのことが症状を悪化させてしまう

要因の一つになっています。

 

治療に欠かせない心構えは

患者が病気を受容し、本人と家族、

あるいは会社や学校など周りの人間の

病気に対する理解が必要不可欠なのです。

 

 

◆薬の副作用

 

これまでの精神科医療の診断は、問診が主流です。

 

しかし、問診だけだと、正確な病名診断は

医者の知識や経験値に左右されることが多く

誤診も問題視されています。

 

また、リチウムを筆頭とする薬は、副作用も多く

その服用には、

血中濃度をしっかりと測ってきちんと用量を管理しないと

とても危険なものなのです。

 

その為に「副作用被害救済制度」というものがあることも

覚えておくと良いでしょう。

 

副作用被害救済制度とは、

その副作用により入院治療が必要になるほどの

 

重篤な健康被害が生じた場合に、

医療費や年金などの給付を行う公的な制度のことです。

 

 

◆新しい治療法開発の為に:完治を目指して

 

うつ病、双極性障害は、心の病気と捉えられがちです。

 

うつ病になってしまったら、

人はどこに救いを求めるのでしょう?

 

心の持ちようを書いた本でしょうか?

宗教でしょうか?

果たして心とは一体どこにあるのでしょうか?

 

いろいろと試す人はいるのかもしれませんが、

やはり、うつ病を含む精神疾患は、

脳の病気なのです。

 

そういう意味では、

胃が悪い、肝臓が悪いという

内臓疾患となんら変わらないのです。

 

脳という体の一部が悪いだけなのです。

 

決して平たんな道のりではありませんが

精神科医療も

科学的な知見を通して明確な病因を突き止め

完治をめざして研究を続けています。

 

従来型の問診だけに頼らない

新たな治療法の確立には

精神疾患が脳の病気である以上、

脳の研究は欠かせません。

 

精神疾患で亡くなる人の直接的な死因は、

薬の過剰投与など

誤った薬の服用の副作用による内臓疾患

あるいは、自殺などがその多くを占めています。

 

その為、お亡くなりになった精神疾患の患者さんの

脳の解剖を行い、詳細に研究することは

今までほとんどなされてきませんでした。

 

しかし、お亡くなりになった

罹患患者さんの脳の研究なくして、

精神疾患の根本的な原因の解明と

薬を含む新たな治療法の開発は有り得ません。

 

その為には患者さんを協力者とする

「ブレインバンク」を作ることの必要が欠かせないと

加藤先生は訴えていらっしゃいました。

 

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以上、内容が内容なだけに

詳細を知るには、

先生方の書かれた本を読むのが一番ですが

とりあえず、かなり乱暴になってしまいましたが

素人目線でまとめてみました。

 

【書籍紹介】 

 

本 加藤忠史著 「うつ病治療の基礎知識」

ツイッター https://twitter.com/katotadafumi

 

加藤先生は双極性障害研究の世界的な権威であり

最新情報を得る為にもツイートする価値はあると思います。

      

本 水島弘子著 「対人関係でなおす双極性障害」

他著書多数

※アマゾンで水島弘子と検索してみてください。