●2011年3月10日(木)
この日は、次男の第一志望の高校受験筆記試験本番の日だった。
そして同じ日の午後1時、東大合格発表。
予想通り不合格だった
ネットで不合格を確認後すぐに、私は明日からの北海道大学後期受験の為の旅行準備にとりかかった。
長男も覚悟はできていた。
●2011年3月11日(金)
その日も次男の第一志望高校の面接試験の日だった。
次男を送り出してすぐ、長男と私は、飛行機に乗って北に飛んだ。
日本中の誰もがそうだったように、その日の午後、あの大きな震災が起こるとは全く予期せぬまま・・
雪がまだ残る街に到着すると、私たち親子は北大正門の斜め筋向いにあるビジネスホテル東横インに直行した。
到着後すぐに荷物をホテルに預け、2人で北大受験会場に下見に行った。
北大は、キャンパス内の道の両脇に、私たちの背の高さよりもうんと高い雪が見事に積み上げられていた。
寒い中、学生たちが下見に来ている受験生を案内する為、それぞれに道案内のプラカードを持って立っていてくれた。
優しく声をかけてくれる学生さんがいたので、途中まで案内してもらった。
キャンパス内の坂を利用して、近くの幼稚園児たちがソリ滑りをしている のどかな風景が見えた。
ほどなく行くと、リヤカーを引っ張った、ぼろぼろの格好をした多分応援団サークルと思われる受験の神様の一団が、息子の合格を祈念してお祓いしてくれた(笑)
更に歩くと、建物の横に何台もの自転車が雪に埋もれてハンドル部分だけが何とか見える風景が見えた。
3月だというのに、そんな雪深い所は最悪の印象を持つ人もいるだろうが、まだ子供っぽい息子は、その雪を見て、うきうきしていた。
受験会場を確認して帰る途中、今度は温かい飲み物やスープを用意してくれている学生さん達から、飲み物を頂いた。
正直言って、合格枠人数が少ない地味な印象のある後期日程で、こんなにウエルカムしてくれるとは思ってもいなかった♡
寒い中の学生さん達の温かいおもてなしが、私たち母子には、緊張をほぐしてくれて、とても嬉しいものだった。ありがとう。
息子はというと、広いキャンパスだということ以外、まったく北大の情報を持たずにいたが、実際に行ってみると、その立地の良さと、その広大で自然豊かなキャンパス、温かい人々に、思いのほか好印象を持ったようだった。
ホテルに戻ると、チェックインまでには1時間ほど時間があった。
さほど大きくないロビーには、小さなテーブルとイスがいくつか置いてあって、サービスで置かれた無料のドリンクコーナーがあり、自由に使えるパソコンも2台置いてあった。
徐々に受験生が集まり始め、チェックイン待ちの学生と保護者でテーブルとイスはほぼ埋まっていった。
ここには、私立の滑り止めを確保している者、確保できていない者、国公立受験のみの崖っぷちの者など、様々な事情の人たちが日本中から集まっているのであろう、と私はぼんやり考えながら、椅子に座っていた。
ロビーでは、受験生たちが皆一様に、最後の悪あがき追い込みで、参考書、まとめノート、問題集と格闘していた。
息子も他の受験生と同様に勉強しながら、チェックインの時間を待った。
保護者達は、そんな受験生たちの邪魔をしないように、新聞を読んだりドリンクを飲んだりしながら静かに座っていた。
大学のすぐ前のホテルだけに、受験生以外の泊り客はほとんどいないという事情もあったと思うが、こんな静かで緊張感漂うホテルのロビーは珍しいと思った。
私はトイレに行った。一瞬、頭がぐらっとした。座っているのに立ちくらみのようになって、自分の身体がどうかなったかと思ったが、すぐに揺れているのは自分ではなく、周りが揺れていることに気付いた。
大きな横揺れだった。急いでロビーに戻ると、いつまでも収まらない長い揺れに、これは大きいなと思った。
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長くなったので次につづけます