前回のブログからの続きです⇒

 

 

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 定食屋の暖簾をくぐると、私を迎え入れてくれたのは、「いらっしゃい」という温かい声。その声の主は、穏やかな笑顔のおかみさん。もうお店に入った瞬間に、家庭料理を食べた時のような心地よさを私は感じました。

 席に着くと、奥にいた若い男性も「いらっしゃいませ!」と明るく声をかけてくれました。彼はおかみさんの息子で、ずっと一緒に定食屋を切り盛りしているそう。

 私は松下村塾に行ってきたことを話し、中学生の時から幕末の志士、特に長州藩士に魅せられてきたことをおかみさんに伝えました。

 「本当にこの小さな萩から日本が変わったって信じられない話よねぇ」

 おかみさんは、感慨深そうに話を続けました。

 「萩の子ども達は、小さい頃から松陰先生や長州藩の志士について教えられるのよ。一番今でも心に残っているのは、小学校を卒業する前に担任の先生からもらった言葉。先生はこう言っていたの。

 『もしかしたら、皆は自分達のことを“ちっぽけな存在“”と思っているかもしれない。

 ですが、この小さな萩から日本が変わっていったように、大きな変化はいつも小さな存在から始まっていきます。

 何か社会のためにできることを考えたら、“どうせ自分の考えなんか・・・”と絶対に思わないでほしい。

 自信を持って、どんどん周りに言ってみてください。そして、動いてみてください。もしかしたら、それがとんでもなく多くの人を幸せにする、変化の第一歩かもしれません。』

 って。本当に子ども想いの、いい先生だった。」

 



 おかみさんはさらに話を続けます。

 「『志』というものは、その達成までに『種をまく人』『芽を出す人』『花を咲かせる人』、三つのタイプの人間がいると思うの。幕末に松陰先生が蒔いた『種』が、その弟子に引き継がれて『芽』を出し、『花』を咲かせたようにね。

 私は彼らのような能力もないけど、この食堂は私が蒔いた『種』だと思ってるの。昔ずっと専業主婦していたんだけど、友達や親戚を家に招いて、料理を振舞う時が一番幸せだったのよね。自分の料理を褒められて、『おいしい』って言ってくれる時の人の顔を見るのが本当に嬉しくて。

 そこで私は『小さくてもいい。萩の人達を温かく包み込めるような、美味しい料理とくつろぎを提供できるお店を持ちたい』っていう強い想いを抱き始めた。人生で初めての『志』だったと思う。大変なこともあったけど、なんだかんだこうやって続けてこれて、感謝しかないわよ。

 今はこうやって、息子が手伝ってくれているじゃない。彼はずっと料理人だったから、私が考えなかったような色々なメニューも考案してくれるのよね。だから、私が蒔いた『種』が、彼によって『芽』を出してくれているような気がするの。今から、どんな『花』が咲くか楽しみで。

 どんなに小さなことでも、周りの人達のために何かを達成したい信念があるなら、それは立派な志よね。どの時代も、個人の小さな志の積み重ねが、いつも大きな変革を生むものだと思うのよ。

 『欲望』は一人で終わってしまうものだけど、『志』は多くの人を巻き込み、世界を動かす力があるから。」

 

 


 いただいた料理は、彼女の「志」がたっぷり詰まっていました。食べた瞬間に、まるで家に帰ってきた時の穏やかな幸せになるような品々。その後もおかみさんと息子さんと楽しい時間を過ごし、私は帰路につきました。

 

 自分が人生で『種』、『芽』、『花』のどれになるかは、人生を全うした時にしかわからないでしょう。また、人生を全うする瞬間がいつ来るかもわかりません。だからこそ、自分の中にある情熱や興味に対して「なぜ?」を問いかけながら、「小さな志」を見つけて育てていく姿勢を毎日忘れずに生きていきたいと思っています。

 その積み重ねが、やがて世界を彩る百色(ももいろ)の虹となるかもしれない、と信じて。
 

 

(終わり)

 

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