12/16はベートーヴェンの誕生日。4年前に再訪したウィーン郊外ハイリゲンシュタットの「ベートーヴェンの遺書の家」では、難聴と孤独への絶望を乗り越えて、生まれ変わっていくベートーヴェンに出会えました。
32歳の時に芸術のために生きる決意を綴った《ハイリゲンシュタットの遺書》を書いたこの家は、現在博物館となっていて、直筆の楽譜や遺書の複製、肖像画や身の回りの愛用品、ライフ&デスマスク、髪の毛などが展示され、ベートーヴェン好きにはたまらぬ聖地となっています。





















ベートーヴェンがこの家に住んだのは温泉治療のため1802年5月から10月の期間で、10月6日に遺書をしたためています。この家では、ピアノソナタ第17番『テンペスト』、『プロメテウスの創造物』や交響曲第3番『英雄』の一部が作曲されました。





2004年に初訪問した時は、展示物が雑然と置かれていてベートーヴェンが住んでいた時の状態が保たれている雰囲気でしたが、2017年に改装され面白い音仕掛けの展示もできていました。ベートーヴェンの名前を音名にした5つの音「レ・ミ・ソ・ラ・シ♭」を弾くと『幻想曲Op.77』が流れたり、ベートーヴェンがしていたように骨伝導で音を聴くことを体感できたり、目でも耳でもベートーヴェンの生涯や音楽を楽しめるようになっていました。





中でも目が釘付けとなったのがベートーヴェンが愛用した5本ペダルのナネッテ・シュトライヒャー製のピアノ。耳の聞こえないベートーヴェンのために集音ボックスが取り付けられていて、必死に音を聴き取りながら作曲する様子が浮かびます。

このピアノは、以前にパスクヴァラティハウスのベートーヴェン博物館で見ましたがその時は、集音ボックスは取り外すされていました。このような貴重なピアノでも手が届く距離で鑑賞できるのは、ヨーロッパならではですね。




この家で作曲した交響曲『英雄』が1803年に作曲自身の指揮で初演されたロプコヴィッツ侯爵邸内エロイカ・ザールの模型が展示されていましたが、前日にこの歴史的空間で演奏できたことはかけがいのない思い出。床もベートーヴェンが歩いた当時のままのサロンでした。






当時から時間が止まっているかのような中庭で動画撮影していると鐘の音が鳴り始めました。ベートーヴェンも聴いた響きかもしれないですし、教会の鐘の音がいつもの時間になっても聞えないことで耳の異変に気づいたので感慨深くなりました。



楽聖の人となりを肌で感じにまた訪れたい名所です。
その後は、ベートーヴェンの散歩道へ。




クリスマスの12月25日(日)は「広島県民文化センターふくやま」にてクリスマスコンサートを行わせていただきます🎄🎶
ベートーヴェンの『第九』より『歓喜の歌』も連弾で演奏します。録音もない貴重なラヴィーナ編曲版での演奏‼️ JR福山駅すぐ側のホールです。