数年前にフランスの骨董店で入手した、この左手の複製を家宝として飾っています。1900年初頭のものです。
ショパンの手にぴったりなコレクションケースを見つけ、ポーランド旧紙幣も、一緒に飾っています。横は、ショパンの友人フランツ・リストの手。
ちなみにワルシャワのショパン博物館の売店で購入したお土産用の左手は、実寸より大きかったり小さかったりしました・・。
ショパンの手を眺めると細い指であるけども、指の先や手の腹は肉厚で美しい筋肉を帯びています。
コルトーは「ピアノの要求に従事できる理想の手」と称え、「この手の構造は、ショパンの新しい音楽の特殊性と無関係なものではない」と語っています。
革新的なピアノテクニックが施された名作誕生には、この手あり!なのでしょう。
また、ショパンの弟子たちは「ショパンの手は大きくなかったが、極めて柔軟な手をしていた。特に広いパッセージを弾く時には、その極端なまでの手首の柔らかさを用いて、素晴らしい効果を生み出した」と証言しています。
レッスンでは、弟子たちに向かって「柔らかく、柔らかく」という言葉を口癖にしていたとも。
クレサンジェはその後、パリのペール・ラシェーズ墓地にあるショパンのお墓の記念碑をはじめ、12以上のショパン作品を制作していて、手も数点制作しています。
ワルシャワのショパン博物館、パリのロマン派美術館、パリのポーランド歴史文芸協会図書館で、展示されている左手を見ましたが、指の角度などそれぞれ異なる手の形でした。
我が家の左手は、ポーランド歴史文芸協会図書館に展示されている同型のものです。
このオリジナルと考えられるものが、今年7月にオークションも兼ねたロンドンのArt Week美術展で初展示されていました。
それは、クレサンジェのサインが刻まれた唯一のブロンズ製の左手で、個人コレクターが所有し約300万の価格で出品されたようです。
こちらでその左手の写真が見れます。
ロンドンArt Week美術展: ショパンのブロンズ製左手の出展について。
https://www.thefirstnews.com/article/bronze-cast-of-chopins-hand-made-seconds-after-he-died-goes-on-sale-for-18000-31499
世の中には、個人コレクターが所有するショパン関連のお宝がまだ眠っているのかもしれませんね。
クレサンジェの存在は、ショパンとサンドが別れる発端ともなっているのですが(サンドの娘ソランジェと
クレサンジェの結婚を巡っての問題が、二人の破局を決定づけたと言われています)、ショパンの息吹を伝える偉大な左手を遺してくれたクレサンジェに感謝です。