ある日、私の元に一本の電話が--。
プルルルル
「はい、もしもし秋川です。」
「警察署の者です。今朝、下柄信吾さんと思われる死体が蓮公園で発見されました。彼の携帯のメモリ-にはあなたの名前と実家の名前しか入っていなかったので、電話をかけさせていただきました。」
「えっ、信吾が?」
「他殺と思われます。鋭利な刃物で一突きでした。話を聞かせていただきたいので、署までおこしいただけませんか?」
「わかりました。」
警察に着くと、早速会議室らしきところに案内されました。
「わざわざありがとうございます。これは下柄信吾さんで間違いありませんか?実家は留守で電話に誰もでなかったので、あなたにかけたんですよ。本物の死体を見て倒れてしまう方もいらっしゃるので、写真で確認していただいてます。どうですか?」
「間違いありません。信吾です。どうしてこんな事に…?」
「あなたと下柄さんのご関係は?」
「元彼です。一度は別れたんですけど、やり直したいって言われてまた付き合いました。浮気はしないというのと私と実家以外の電話番号のメモリーを消すという条件で。だけど彼、浮気したんです。だから別れました。その後は音信不通だったので、彼の消息はわかりませんでした。刑事さん、私を疑ってらっしゃるんでしょう?私は今付き合っている人がいるんです。夕べもずっと一緒でした。」
「いえ、そんな疑うなんてめっそうもない。ただメモリーにあなたの名前が入っていたので、誰かにうらまれていたのかとかをご存知かと思いまして。誰か心あたりはいませんかねぇ?」
「信吾は女癖が悪かったので、うらんでる女性は多いと思います。」
トントン.カチャ
「警部、これが…。」
「ああ。わかった。」
「失礼します。」
「たった今、下柄さんの握った手の中から紙切れがでてきたそうです。紙切れには血で、30とかかれていたそうです。30という数字で心辺りは?」
「ないですよ。もう帰っていいですか?バイトがあるので。」
「すいません、ではおかえりいただいて結構です。」
「警部、葉子さんに任せた方がいいですよ。」
「そうだな。折辺君、電話してくれ。」
「はい。」
葉子探偵をよんだらしい。
カチャ.
「父さん、殺人事件だっていうけど、詳しい話、きかせてくれる?」
「ああ。」
葉子は話を聞いた後、
「その秋川美緒があやしいわ。紙切れの30は美緒ってよめるし。」
と言いました。折辺さんは
「そんな簡単なものじゃ犯人にばれてしまいますよ。」
と反論しました。とりあえず聞き込みをする事になりました。
「松史家蘭子さん、下柄信吾さんが殺されたのはご存知ですよね。秋川美緒さんと下柄さんはどんな感じでしたか?」
「美緒を疑ってるんですか?美緒はいい子ですよ。里菜に彼をとられて落ち込んでて、だけど愚痴一ついわず、二人を見守って。彼がよりを戻したがった時も何も怒らず受け入れたし。なのにあの男ときたら浮気ばっかり。最低なやつだわ。そんなわけで、美緒が人殺しなんてするわけないです。」
「里菜さんというのは?」
「里菜は美緒の友達だった子。今は大学辞めて実家に帰ったみたいです。」
「実家、教えていただけますか?」
「いいですよ。」
葉子と折辺は里菜の実家に向かった。
「屋岸魔里菜さんですよね?」
「はい。」
「先日殺された下柄信吾さんについて知っている事をすべて教えて下さい。捜査に必要なんです。」
「信吾を特別好きだったわけじゃないんです。美緒の彼氏だから奪ってやろうと思って彼に近づきました。彼は交際範囲が広くてクラブ行っても、ガソリンスタンド行っても、ファミレスに行っても誰か一人は話し掛けてきました。しかも女ばっかり。その中で特別仲が良さそうだったのは、美澪さんと白湯樹さんと初美さんでした。三人とも一度・彼と付き合って、別れてるみたいでした。後は…金遣いが荒くてしょっちゅう友達や私にお金を借りていました。私は返してもらいましたけど。」
「美緒さんにも借りていたんでしょうか?」
「それはないと思います。美緒は母子家庭でそんなにお金は持っていないと思うので。」
「そうですか。ありがとうございました。」
「借金絡みで殺されたという可能性もでてきたわ。」
「そうですね。」
「保険金をかけられていたかどうか調べてくれない?」
「わかりました。」
葉子は一人で聞き込みをし、下柄信吾の性格や殺された動機などを考えてみた。
《女癖が悪くお金にだらしない。自信過剰でプライド高し。わがままで短気。わぁ~、最悪じゃん。こんな顔だけ男なんかいらないわ。動機は借金か女性問題が考えられるわね。》
葉子は美緒のバイト先に行きました。美緒のアリバイを確かめる為に。
「牧原由彦さんですね。下柄信吾さんが殺された夜、どこに誰といましたか?」
「美緒とラブホテルに行ってとまりました。エンジェルっていうラブホテルです。」
「美緒さんと朝までいたんですか?」
「はい。疑うならホテルの従業員に聞いて下さい。朝九時にチェックアウトしましたから。」「そうですか。わかりました。」
葉子は署に戻りました。
《美緒のアリバイは成立したから、やっぱり犯人はほかにいるのね。》
「あ、和臣さん、わかった?」
「保険金はかけられていなかったよ。でも一つわかった事があるよ。凶器の刃物が見つかったんだ。公園の木の下に埋めてあったんだ。」
「被害者の血液がついていたの?」
「ああ。それと、秋川美緒の指紋もね。」
「じゃあやっぱり彼女が犯人?」
「それが、他の人の指紋もついていて。美緒さんに罪を着せようとしてファミレスから盗んだんだと思うんだ。」
「なるほど。じゃあ誰が犯人?難しいわねぇ。」
二人はダイイングメッセージの謎を解こうと考え始めました。
「あ~、わかんない。」
「休憩しよう。お茶いれてくるね。」
「うん、ありがとう。」
《30か。30わかったわ。あの人のアリバイはたしか…。これを崩さないとね。》
「はい。」
「和臣さん、わかったの、犯人が。」
「本当かい。」
「でね、この人の身辺調査をするから協力して。」
「OK」