この道を通ると、もうすぐ、あそこに着く。

あ、見えた!満月荘!

4年前と、変わってないなぁ。


「あ、来た来た!お〜い、ウルフ一郎、ネルぅ〜!」


ん?2階から手をを振ってるのは……。


「紅葉!」


「久しぶりねぇ。ベビーカー、持ってやろうか!」


ありがとう、紅葉。助かるよ。




「うふふ。困った時は、お互い様よ。さ、早く上がって!テレサが待ちくたびれてるわよ。」


おう。

がチャッ。


「おじゃましま〜す。」


「あ、二人が来た!」


ん?向こうからドタバタと、足音が聞こえてきて……あ!あの、双子は!


「ソラ!」


「いや、あたし、アキだよ。」


「じゃ、じゃあ、アキ。」


「ちがうよぉ。私、ソラだよぉ。」


アキ、ソラ!久しぶりだなぁ。





「しかも、4年前はこんなに小さかったのに、今はこんなに大きくなって!」


「えへへへへ。」


「私達、ピッカピカの小学生になったんだよ!」


「この二人、あなた達にずっと、会いたがってたのよ。」


その声は……。


「クリス!」


「二人とも、元気?」


あぁ、元気だ!


「うふふ。結婚式以来ね。あれっ?その子はまさか……。」


そう。あたしのお腹の中にいた子だ。


「うわぁ〜。ウルフ一郎にそっくりね〜。名前はなんていうの?」


「……ガオン。」


「ガオンくん!かっわいいわねぇ〜!って、ネル。ネルがだっこしているのは、まさか……。」


あぁ。あたしとウルフ一郎の娘、リオンだ。


「リオンちゃん!まあかわいい〜♡」


三人が、あたしのところに集まってきた。


「リオンちゃ〜ん、初めまちて〜。お父さんとお母さんのお友達の、クリスでちゅよぉ〜。」


「う、う〜!」


「うふふふふ。ネルにそっくりね!」


よく言われるんだよぉ。


「でしょでしょ〜?俺様の、自慢の娘だよ〜ん♡」


「キャラの変わり具合が、真莉亜の時と同じね。」


「久しぶりだねぇ、バカップル。」




むかむか!その声は……。


「テレサ!」


久しぶりだなぁ、おい!


「元気にしてたか?」


「あぁ。してたよ。ささ、早くリビングに上がっておいで。暑かったろ。冷たい麦茶を、用意してやるよ。」


ありがとう、テレサ。

うわぁ〜。リビングも、昔とあんまり、変わんないや。


「ねぇ!これ、真莉亜おばちゃんと、ジュンブライトおじちゃんと、リリアおばさんと、ギロおじさんと、マドレーヌお姉ちゃんと、ルクトじいやさんだよね!?」


ガオンが棚の上にある写真を見つけて、指さしている。

ん?うん、そうだよ。


「お父さんとお母さん、どこ〜?」


あたしはここで、お父さんが、ここだよぉ。


「お母さん、顔、こわーい。」


今もそうだよ。


「ネル、母親になって、ちょっと笑顔になってきたんじゃないか?」


テレサが、麦茶が3つ乗ってあるお盆を、テーブルに置いた。

そ、そうかなぁ〜?


「4年前はあんなにムスッとしてたのに、今では女の子らしく、笑ってるじゃないか。」


ち、ちげーよ!

あたしは、顔を赤くした。


「アハハハハ。ネルは4年前と変わらず、ツンデレだねぇ。」


「テレサ。最近どうだ。彼氏、できたか?」


「うっさいね!あたしはまだ独身だよ!」


今度、あたしの親友を紹介してやろっか。女だけど、お前と同じ、彼氏募集中なんだよ。

そいつも独身だし、気が合うぞ。


「リオンちゃ〜ん、おいでおいでぇ〜。」


「う、う、う!」


「あら?ママのところに来まちたねぇ〜。」


「お母さんのことが、大好きなんだねっ。」


「う、う〜!」


うふふふふ。


「紅葉、今何歳だ。」


「18よ。」


「クリスは?」


「紅葉と同じ。」


「じゃあ、もうあれだな。高校卒業したら、何をするんだ?」


「あたしはトリマーの専門学校に行く〜!」


「そうか。頑張れよ!」


「うん!」


クリスが笑顔でうなずいた。


「紅葉は何をするんだ?高校卒業したら。」


「私はお城の図書館の司書になるの。真莉亜から、図書館の司書がやめたから、司書の仕事、してくれる?って、連絡が来て、今は夏休みと冬休みだけ、働いてるの。」


「へぇー。全然、気付かなかったなぁ〜。紅葉がいること。」


「えへへへへ。」


ところで、満月荘は、どんな感じなんだ?

すると、みんなはしゅんとして。


「……実は、一年後、満月荘が、なくなるの。」


「えっ!?」


なんで!?


「見てわかるように、オンボロアパートだし。管理人の人、病気で亡くなったから。」


そう……。


「みんなで、さよなら会を、やんねぇとな。」


あぁ。


「だから今、新しい住居を探してるの。」


「けど、どこ行っても、高いところばっかり。」


「テレサが高級なマンションばっかり、探すからよ!」


「あ、あたしのせいにするなっ。」


テレサ達、ヴァンパイア界に戻って来ればいーのに。


「帰りたいけど、こいつらが……。」


「やだ!」


「せっかくお友達ができたのに!ヴァンパイア界になんて、行きたくないっ!」


そうだよねぇ〜。

お前らの大好きな、ジュンブライト様がいるのに。


「やだ!」


「それでも行きたくないっ。」


だよね〜。


「ところで、あんたら、これからどーするんだい?」


「ネズミーランドに行くの!」


「ネズミーランド!?あたしも行きた〜い!」


「私も私も〜!」


「だめよ。四人の初めての家族旅行だから。じゃましたらだめよ。」


「え〜?」


「ズル〜イ。」


「また今度、連れてってやるよ。」


「お父さ〜ん。早く行こうよ〜。ネズミーランド!」


「はいはい。わかったよ。じゃ、行って来る。ネル、行くぞ。」


あぁ。


「いってらっしゃ〜い。」


「おみやげ、よろしくね〜。」


行ってきま〜す。



                                  ☆



「えっとぉ、確か、ここらへんだったのよなぁ、俺様達が出会った場所。」


あぁ。


「何もないじゃん。」


「お父さんとお母さんは、お父さんが作った予備用の落とし穴に、お母さんが落っこちて、出会ったんだ。」


「へぇ〜。お母さん、バカだねぇ。」


ボカッ、ボカッ!

バカ言うなっ!


「うぇ〜ん、痛いよぉ〜。」


ガオンの頭の上には、たんこぶが付いている。

ウルフ一郎!あたしはまだ、あの時のこと、ゆるしてないから!


「そ、そんなぁ〜。ネルぅ〜。」



                            ☆


そして、あたし達は、ネズミーランドに着いた。


「うわ〜。人いっぱ〜い!あ、ネズミくんだぁ〜!」


ちょっとガオン!まて!


「リオンちゃんは、パパと買い物しましょうねぇ〜。」


「う、う〜!」



            ★リオンHappy birthday!★


「今日はリオンの誕生日だよね!」


「ああ。」


「リオン、お誕生日おめでとう!」


「よかったねぇ。リオン。お兄ちゃんに祝ってもらって。衣装も、お姫様のドレスを着れてよかったねぇ。」


「う〜!」


「リオンちゅわ〜ん♡♡お姫様なリオンちゃんもかわいいよぉ〜♡♡はあ、マジ天使。」


「写真ばっか撮ってねぇで、早くケーキを用意しろ!」


「はいはい。イ○スタの写真を撮らされたり、ケーキの用意をされたりして……パシリかよ。」


「なんか言ったかぁ?」


「いいえ!何にも!今、冷蔵庫から出しま〜す!」


「ケーキ、ケーキ!」


「リオン用のケーキだからな。ガオンのは別にあるよ。」


「やったぁ!」


「リオンちゃんは、ケーキ食べるの、初めてだねぇ。」


「う〜!」


「あんなに小さかったリオンちゃんが、あっという間に大きくなって……。」


「子供の成長って、早いな。」


「ああ。ほら、リオンちゃん、ケーキだぞぉ〜。」


「う、う〜!」


「あ、ウルフ一郎!今のかわいかったから、撮ってくれ!イ○スタの写真用にするから!あ、ガオンも入って!」 


「俺様もゆっくり、娘の初めての誕生日、祝いたい……。ガオンの時も、そんな感じだったっけ……?」


        ★6月26日はリオンの誕生日ですっ!

           盛大にお祝いしましょう!

           Happy birthday!リオン!★