『まりあへ じゆうよんさい、おめでとー。

これからもずつと、おれのそばにいてくれよな。あと、おれをあいしてくれて、ありがとー。

じゆんぶらいとより』

 

「字きたなっ!」

 

ウルフ一郎が、俺の書いた手紙をたたきつけた。

 

「なにすんだよぉ!」

 

「先輩、カタカナと漢字を使ってください。」

 

「小っちゃい『ゆ』も、『つ』も。」

 

うっせぇー!手紙など、書きと―なくなって来たじゃねぇか!

 

「出た。親父さんに負けない、頑固パワー。」

 

「なんだかさわがしいなぁ。」

 

その声は・・・・・・。

 

「ネル!」

 

ちょうどいいところに来た!

 

「?」

 

俺はネルに、真莉亜の誕生日パーティーのことを、話した。

 

「なるほどぉ。で、あたしはなにをするんですか?」

 

「う―ん・・・・・・そうだ!鼻を買って来てくれ!真莉亜が喜ぶ花を!」

 

ネルは、目をハートにした。

 

「ジュンブライト様のためなら、なんでもやりまーす♡」

 

「ちょっとまったぁ!」

 

ウルフ一郎が、部屋を出て行こうとするネルを止めた。

 

「なんだよ。」

 

ネルの目、ぎろりとなってる・・・・・・。

 

「俺様も行く。」

 

「はぁ!?あたし一人で、充分だよ!」

 

「お前じゃ迷子になるから、一緒に買いに行こう。」

 

「・・・・・・わかったよ。」

 

ネルがそう言うと、ウルフ一郎が、ネルの手をにぎった。

そのとたん、ネルの顔が、真っ赤になった。

 

「ちょっ、離せよ!子供じゃあるまいし。」

 

「こーしてにぎっていれば、迷子にならないんだよ。」

 

「・・・・・・。」

 

いってらっしゃ―い。

 

(ちっくしょ―!ジュンブライト様と、買いに行きたかったぁ!よりによって、この、サングラスオオカミとなんか・・・・・・。)

 

ガチャン。

さあてと、パーティーの準備をすっか。

 

 

                            ☆

 

今日の夜ご飯は、えびフライ・・・・・・か。

お母さんにたのまれて、『ラビットスーパー』まで、買いに行ったんだ。

早くしないと、夕方になってしまう・・・・・・ん?

あのオオカミさんと、刀をもっている、女の人は・・・・・・。

ネルさんと、ウルフ一郎さんだ。

しかも二人とも、手をつないでるし!

ん?ウルフ一郎さんが、手にしているのは・・・・・・真っ赤なバラの花束だ!

 

「ネルさ―ん、ウルフ一郎さ―ん!」

 

私は、二人のところまで走った。

 

「春間真莉亜!」

 

ぐ―然ですねっ。

 

「今日、会えないかと思ったよ―ん♡」

 

うふふふふ。

 

「ところでウルフ一郎さん、そのバラの花束、どーしたんですか?」

 

「ぎくぅ!」

 

ぎくぅ?

 

「お前に教える筋合いはない。」

 

・・・・・・?

 

「俺様、こいつと結婚するんだよ。」

 

「!?」

 

ネルさんが、ウルフ一郎さんの方を、くるりと振り向いた。

えっ?

ウルフ一郎さん、私のこと、好きじゃなかったんですか?

 

「好きだったけど・・・・・・俺様の頭ん中が変わってさ、今日、こいつにプロポーズしたんだよ。」

 

えぇ―っ!?

私は大きな声で驚いた。

 

(うそだ、うそだぁ!)

 

おめでとうございますっ。ネルさん、本命の人が見つかって、よかったですねっ。

 

(あたしの本命の人は、ジュンブライト様だ!)

 

「子供は何人つくる?」

 

(こいつ、なにがしたいんだ?)

 

「じゅっ、11人ぐらい、つくりたいなぁ。」

 

 

「アハハハハハ。できれば、お前にそっくりな女の子が欲しいなっ。」

 

あ、あやしい・・・・・。

 

「じゃあ真莉亜ちゃん、バイバーイ!」

 

ウルフ一郎さんは手を振りながら、ネルさんのてをひいて、去った。

あの二人、おかしかったなぁ。

 

「ふぅ、なんとか助かった。」

 

「助かったじゃね―よ!春間真莉亜に向かって、よくもあんなうそが、つけたなぁ!」

 

「いいか!真莉亜ちゃんにはナイショにしてるんだ!」

 

「なにを?」

 

「パーティーだっ!」

 

「それを最初から言えや!」

 

「てか、俺様はお前のことが、大大大大大大大っ嫌いだっ!」

 

「あたしも!お前のことが、大大大大大大大っ嫌いだっ!」

 

 

                  ☆

 

 

誕生日まで、あと一日になった。

私は、家の手伝いをしていた、

 

「潤くんのところに、行かなくていいの?」

 

お母さんが、野菜を切りながら、聞いてきた。

 

「ちょっと、よってこよっかな?」

 

 

                ☆

 

 

今週、ジュンブライトに会ってないもん。

久しぶりに、満月荘に行くことにしたけど・・・・・・。

ん?あのイケメンで、天然パーマは・・・・・。

 

「ジュンブライト!」

 

「!」

 

ちょっとまって!なんで逃げるのよ!」

 

「ひぃぃぃぃぃ!」

 

ねぇってばぁ!

はぁ、はぁ、はぁ。走るたび、息切れするよぉ。

少し、休憩しよっ。

ジュンブライトは、私の前に立った。

 

「真莉亜。」

 

ジュンブライト、一つ、質問していい?

 

「あぁ。」

 

私は、ジュンブライトの顔を見上げた。

 

「私のこと、嫌いなの?」

 

「はぁ?嫌いなわけ、ねぇ―だろ?」

 

本当のこと、言ってよ!

 

「つーか、なんでそんな話になるんだよぉ。」

 

あんた、私が声をかけた時、とっさに逃げたじゃない!

 

「・・・・・・!」

 

ほーら、マズイ顔になってるじゃない!

 

「お、俺は・・・・・・あやしいやつかと思って、逃げただけだ。後ろを振り向いたら、お前だったんだ・・・・・・。」

 

「うそつき!」

 

私は大きな声でさけんだ。

 

「最近、変だよ!私が近づこうとしたら、みーんな、避けて!あんたも、ルクトさんも、マドレーヌちゃんも、リリアさんも、道華も、テレサさんも、紅葉も、クリスさんも、アキちゃんも、ソラちゃんも、ネルさんも、ギロさんも、ウルフ一郎さんも、み―んな!私、なにか悪いことでもした?」

 

「あ・・・・・・あ―・・・・・・。」

 

ジュンブライトは、とまどっている。

 

「してないでしょ?私、みんなが嫌がること、一つもしてないのに・・・・・・もう、明日の誕生日、祝ってあげなくてもいい!最悪な誕生日を迎えるよ!もう、あんたなんか、大っ嫌い!」

 

私は、ぱっと走り出して、ジュンブライトの横を通りすぎた。

 

「真莉亜・・・・・・。」

 

 

                         ☆

 

 

私は部屋のすみっこで、体操座りをしていた。

今日は9月14日・・・・・・最悪な誕生日です。

もう、あの人達とは、関わりたくない。

 

「『真莉亜!』」

 

私の頭の中で、ジュンブライトの声が響く。

私、あんなこと、言っちゃった・・・・・・。

 

「お母さん!」

 

道華が入ってきた。

 

「どうしたの?」

 

「満月荘に行こっ。」

 

は?なに言ってるの?

 

「い―から行くの!」

 

道華が私の両手をにぎって、私を立ち上がらせた。

 

「あ―!」

 

今度はなに?

 

「外に出たら、目、つぶってて!」

 

はぁ?なんで目をつぶらなきゃならないのよぉ!

 

「あたしがいいよって言うまでねっ!」

 

と、道華がウインクをした。

・・・・・・わかったよ。

目をつぶればいいんでしょ、目をつぶればぁ!

 

「やったぁ!」

 

道華が大喜びして、ピョンピョンっと、跳ね上がった。

 

 

                          ☆