今日は9月9日。誕生日まで、あと5日。

 

「お母さん、何歳になるの?」

 

14歳だよ。

はぁ。14日まで、まちきれないよ~。

胸がドキドキする。

 

「お母さん、誕生日プレゼント、なにが欲しいの?」

 

えっ?

 

「あたしが買ってあげる!」

 

ありがとう、道華。でも、気持ちだけで、充分だよ。

 

「ふーん。」

 

 

                        ☆

 

9月14日・・・・・・そういやあ、真莉亜の誕生日だったなぁ。

 

「じいや、じいや!」

 

「は、は~い、ただいまぁ。」

 

じいやが、俺のところに、やって来た。

 

「なんでしょうか。」

 

「9月14日が何の日か、知ってるか?」

 

「9月14日・・・・・・さぁ、知りません。」

 

真莉亜の誕生日だよ、真莉亜の。

 

「あ―、そうでした。わたくしとしたことが、すっかり忘れてしまって・・・・・・で、それがどーしたんですか?」

 

「真莉亜の誕生日パーティーを、開こうと思うんだ。」

 

俺がそう言うと、じいやは顔をきょとんとした。

 

「ここでですか?」

 

あったりめぇだぁ!

 

「俺、真莉亜を楽しませてーんだ!」

 

俺がにっこり笑うと、じいやもにっこり笑った。

 

「それは王子らしい提案ですねぇ。では・・・・・・。」

 

あー、真莉亜に言うなよ。サプライズでやるから。

 

「みなさんを、お呼びしましょうか?」

 

あぁ、呼んでくれ。

 

 

                         ☆

 

 

「真莉亜お姉様の誕生日会・・・・・・それ、いいですね!」

 

マドレーヌが、笑顔で言った。

 

「だろ?真莉亜には、ナイショだぞ。」

 

「はい!」

 

「私、真莉亜のプレゼント、作るわ。クリスもどう?」

 

「さんせ―、さんせーい!」

 

じゃあ、よろしくな。

 

「あたしは反対よ。」

 

アキ!

 

「バカ女のバースデーなんか、祝いたくないもん!」

 

「あら。おいしいおいしいケーキも買うけど?」

 

「しっ、仕方ないわね!やっぱ、祝うわよ!」

 

顔、赤くなりやがって。

 

「ジュンブライト様!からかわないでくださいっ!」

 

ごめん。

 

「ソラ。お前はどーするんだ?」

 

「私?私は、真莉亜お姉ちゃんに、好きな物を聞いてこようと思うんです。」

 

でも、ソラだけじゃなぁ。

ガチャッ。

 

「ただいまぁ。」

 

その声は・・・・・・。

 

「オオカミヤロー!」

 

「どうしたんだよ。みんな集まって。」

 

9月14日、なんの日かわかるか?

 

「つ・・・・・・月見の日だろ?」

 

それはまだ先だよ。

 

「真莉亜の誕生日なんだ!」

 

「えっ、え―っ!?真莉亜ちゃんの、誕生日~!?」

 

サングラス、ずれてっぞ。

 

「・・・・・・で、それがどーした。」

 

「真莉亜の好きなものを聞いてくれ。」

 

「はぁ?そんなもん、おめぇが聞きに行けば、いいだろ?」

 

俺じゃあ、聞きにくいんだ。

たのむ!聞きに行ってくれ!

俺は、両手を前にパンッとたたいて、お願いした。

 

「わかったよ。聞きに行けばいいんだろ、聞きに行けば。」

 

ありがとう、ウルフ一郎!

 

「今回は特別だ。」

 

そう言いながら、ウルフ一郎は、たばこを吸った。

 

「私、聞きに行きたかった。」

 

「ソラ、一緒にかざりつけをしましょう!」

 

「ケーキも買いに行こっ。」

 

「うん!」

 

「かざりつけの準備、よろしくたのむぞ。」

 

「みんな、なに話してるの?」

 

道華。

 

「真莉亜の誕生日パーティーをやろうとしてるんだよ。」

 

「お母さんの誕生日パーティー・・・・・・いいね、それ!あたしも手伝う!」

 

けど、お母さんには、ナイショだぞ。

 

「うん!」

 

さあてと、みんな!必ずパーティーを、成功すんぞ―!

 

「オー!」

 

 

                      ☆

 

塾、やっと終わったぁ。

しかも宿題の量、多すぎるよ。

もう少し、減らして~。

 

「真莉亜ちゅわ~ん♡」

 

ん?後ろから、男の人の声が、聞こえるぞ。

振り返ると・・・・・・。

 

「ウルフ一郎さん!」

 

ウルフ一郎さんが、目をハートにして、足を竜巻のように速く動かして、こっちへ走って来るのが、見える。

 

「どうしたんですか?」

 

「実はぁ、話があってぇ。」

 

話?

 

「そう!真莉亜ちゃん。好きなものは、なに?」

 

好きなもの・・・・・・そうだねぇ。

『ОNEPICE』もあるし、本もあるし。

 

「いろいろですよ。」

 

「いろいろ?」

 

ウルフ一郎さんは、首をかしげた。

 

「私、なんでも好きです。けど、気持ちだけで、充分です。」

 

「ふーん。」

 

なにか書いてる。

なんだろ。

 

「あ―!見ないでぇ!」

 

 

「あっ、急な用事を思い出して・・・・・・じゃあね、真莉亜ちゃんっ。」

 

ウルフ一郎さんは、手を振りながら、走って行っちゃった。

今日のウルフ一郎さん、おかしかったなぁ。

 

 

                     ☆

 

 

気持ちだけで充分だとぉ?

 

「そうだ。」

 

あいつ、変わってるな。

 

「先輩。俺、出し物がしたいッス。」

 

おぉ!いいじゃねぇか。で、なにをやるんだ?

 

「弾き語りをやりますっ。」

 

自信満々じゃねぇか。

お前、ギターが得意だったな。

 

「病院の同僚達と、バンドを組んでます。」

 

「すげーな。」

 

ギロはジャンっと、ギターを弾いた。

 

「♪Happy Birthday to you 今日はステキなSpecial day 贈る言葉はILove you 僕のプレゼント受け取ってMyLove Song♪」

 

パチパチパチ。

 

「ギロ!お前、歌がうめぇじゃねぇか!」

 

「えへへへへ。」

 

「作詞もよかった。けど・・・・・・。」

 

「けど?」

 

俺の彼女だから、『I Love you』とか、『My Love Song』とか、そーゆー言葉、使わないで欲しいんだ。

せめて、『おめでとう』とか、『永遠に』の方が、いいんじゃねぇの?

 

「ほうほう。いいアドバイス、ありがとうございますっ。」

 

出し物、がんばれよ。

 

「はいっ。」

 

「かざりつけの材料、買って来たよぉ。」

 

サンキュー、テレサ。

 

「お―い、ガキども。作業を始めろ~。」

 

「は―い!」

 

子供達は、テレサが買って来たおり紙や画用紙で、早速作業に取り組んだ。

 

「で、真莉亜のプレゼント、なんにするの?」

 

まだ、はっきりしてないんだ。

 

「私達は、マスコットをつくるわよ。」

 

マスコット・・・・・・いいねぇ、それ。

そうだ!俺もなにか、つくればいいんだ!

 

「でもあんた、さいほうするの、初めてじゃないのかい?」

 

初めてでも、やってみなきゃ、わかんないだろ?

これも、真莉亜を喜ばすためだ。

 

「人のことを想う王子の姿、初めて見ました。」

 

じいや、感動しないでくれ。

 

「心配だねぇ。」

 

クリス。さいほう道具を持って来い。

 

「はいは―い。」

 

クリスは、猫のキャラクターがのってあるさいほう道具を持って来た。

 

「これでいいんですか?」

 

あぁ。ありがとな。

 

「どういたしまして。」

 

さあてと、始めるか。

 

 

                         ☆

 

できたぁ!

 

「どれどれ?」

 

みんながのぞきこんだ。

 

「・・・・・・。」

 

なんだよ。そんなにまずい顔をして。

 

「なんだ、これ。」

 

「犬ですか?」

 

ぶったおすぞ、てめぇ!

 

「うさぎだ。」

 

「いや、どー見ても、犬にしか見えん・・・・・・。」

 

「ジュンブライト、あなた、さいほうもできないのね。」

 

あ―も―!さいほう、あきた。物をつくるの、めんどくせー。

 

「感謝の手紙を書けば?」

 

手紙・・・・・・いいなぁ、それ!

 

「よーし!手紙を書くぞぉ!じいや!えんぴつと便せんを持って来い!」

 

「はいはい、ただいまぁ。」

 

じいやは、寝室に走って行った。

 

 

                        ☆

 

 

私の誕生日まで、あと4日。

今日の昼休み、紅葉とクリスさんと一緒に、図書館に行こっかな?

 

「紅葉ぁ、クリスさ―ん。」

 

「わ!」

 

なんでびっくりするのよ。

 

「い、いや、なんでもないわ!」

 

「そ、そうよ!」

 

なにか、隠してるね。

 

「・・・・・・!」

 

ほ―ら、汗が出てる。

 

「今から図書室に行こう。」

 

「ご、ごめんね~。」

 

「あたし達、勉強しているから、一人で行って。」

 

え―っ?

・・・・・・しょうがないなぁ。

私達は教室を出た。

あの二人、最近私のこと、避けるようになったもんね。

 

 

                                ☆