今、私達はネルさんの後ろに気付かれないよう、着いて行ってます。


「ん?」


ひぃぃぃぃ!

あ、また歩き出した。


「ん?」


ひぃぃぃぃ!

あ、また歩き出した。


「ん?」


ひぃぃぃぃ!


「……おい、まだいたのか、未来からやってきたヤローども。あたしのあとを着いて行くなんて、お前ら、ストーカーか。」


「お母さん!そんなこと、言わないでよぉ。未来のお母さんは、そういうこと、全然言わないのにぃ。」


「てめぇ、さっきも言ったろ?お前に「お母さん」と呼ばれる筋合いはねぇって。」


ネ、ネルさん、子供大人関係なく、刀をつきつけてますっ!


「ひぃぃぃぃ!」


ガオンくんはリリアさんの背後に隠れちゃった。


「……おい、お前らと会った時、一つ思ったことがある。」


思ったこと?なんですか、それ。


「……あたしは、誰と結婚してるんだ?」


そ、それは……。

その時、ウルフ一郎さんが、口笛を吹きながら、私達の横を通って行った。


「お、おい、ま、まさか、あたしの未来の旦那って……。」


「そう。ウルフ一郎よ。」


「!?」


「で、ガオンくんのお父さんです。」


「!?ジュ、ジュンブライト様じゃないのか!」


「ジュンブライトは、真莉亜と結婚してるのよ。」


「ア……ア……アハハハハ、アハハハハ……。」


ネルさんは、そのまま後ろへ、ばたりとたおれた。

ネルさん!大丈夫ですか!?


「お、おい、気絶してっぞ!」


「お母さん!」


「おい、どーしたんだ!」


あ、ウルフ一郎さん。


「!?おい、ネル!しっかりしろ!ネル、ネル!」


ウルフさんが、体を揺すっても、ネルさんは、なかなか目覚めない。


「ったく、仕方ねぇなぁ。」


キャーッ!ウルフ一郎さんが、気絶してるネルさんをお姫様抱っこをしたよぉ!


「世話が焼けるやつだぜ。」



                          ☆



懐かしの満月荘。中は昔のまま。

私達は、寝ているネルさんのまわりを、かこんでいた。


「……う、う〜ん。」


あ、ネルさん!よかったぁ、目が覚めて!


「お母さ〜ん!」


「わ!ちょっと!くっつくなっ!」


「えへへへへ。」


「えへへへへじゃねぇ!」


ガラッ。


「おい、大丈夫か?」


ウルフ一郎さんの、ご登場ですっ!


「!?」


ネルさん、ウルフ一郎さんを見て、ビビッてます。


「く、来るんじゃねぇ!近づくなっ!」



ネルさん、体を横に向いちゃって。


「は?なに言ってんだ?こいつ。」


ネルさん、さっきのショックで、ウルフ一郎さんをこわがってます。


「ま、とりあえず、無事でよかったな。お前ら、ずっと見てくれて、ありがとう。」


あ、いえ!どういたしまして!


「さ……さっさと出て行け!お前の顔なんて、見たくもねぇ!」


「はいはい、わかりました。出て行けばいーんだろ?出て行けば。」


ウルフ一郎さんは立ち上がって、和室を出た。


「……ふぅ。こわかったぁ。」


そんなにこわがらなくても、いーじゃないですか。


「う、うっせぇ!未来のあたしは、なんであの、サングラスクソオオカミじじいと結婚したんだ?」


するとその時。ドアがガラッと開いた。




「ネル〜、大丈夫〜?」


「もう、よくなった〜?」


あ!アキちゃん、ソラちゃん!


「ん?そこのおばさん達、誰?」


むかむか!おばさんとは、失礼ですっ!


「ただいまぁ〜。はぁ、お買い物、楽しかった♡」


ん?その、ロングポニーテールは、10歳の道華!?


「ん?」


道華は、ガオンくんのところへ、近寄った。


「ねぇ、お名前、なんていうの?」


「ガ……ガオンです。」


「ガオンくん!かっこいい名前だね!あたしは黒月道華!よろしくねっ。」



「え〜!?道華ぁ〜!?」


「ん?あたしこと、知ってるの?」


「う、ううん!知らない!」


ガオンくん、すっかり顔を赤くしちゃって。


「……10歳の道華は、かわいいな。」


「あん?お前、なんか言ったか。」


「う、ううん!なにも言ってない!」


「みなさ〜ん、お昼ご飯のお時間ですよぉ〜。」


「は〜い!」


「ガオンも、一緒にどう?」


「うん!食べる!」



                                 ☆