大江健三郎さん、あいまいな国で難しい自然死 死因は老衰との発表
ZAKZAK 長尾和宏(ながお・かずひろ)
「『老衰』は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用います」
つまり神様に与えられた寿命を全うされたということ。徐々に食べられなくなり、わずかな水分で数週間。樹木が枯れるように痩せ細っていく、穏やかな最期です。
家族や介護者は、その自然な経過を見守ることが大切なのですが、本人がまだ80代の場合は、家族が「まだ死なせたくない!」とさまざまな医療処置を求めるケースがままあります。家族に求められたら医者も何かしなければとなり、点滴や胃ろうで多くの水分とエネルギーを入れることも。すると枯れて穏やかな最期はかなわなくなり、多少命は延びても心不全や肺水腫による呼吸困難など、苦しい最期になってしまうのです。
米寿で旅立った大江さんのご家族は上手に見守ることができたのでしょう。もしくは「リビングウイル」つまり「医療に関する遺書」を残していたのかも。