航空万能論 2/9
大義のない戦いに放り込まれたロシア軍兵士は士気が低く、祖国を守るという大義の下で団結するウクライナ軍兵士は士気が高いというのが定説だが、実際にはウクライナ軍側も動員した新兵の増加で命令不服従、戦場からの逃亡、上官への暴力などが横行しており、最高議会は軍人に対する刑事責任を大幅に強化する法案(法律8271号)を昨年末に採択、この法案が成立すると起訴された軍人は上訴権が剥奪されるため「基本的な人権が守られていない」という批判が集中。
2万5,000人以上の国民が「あまりにも厳しい法律8271号に署名しないでほしい=大統領権限で法案成立を阻止して欲しい」と請願したが、ゼレンスキー大統領は「軍の戦闘能力を高めてロシア軍に勝利するためには規律を守ることが重要だ」と主張して1月に同法案に署名した。
ウクライナ軍上層部は法律8271号の成立を歓迎しているものの、末端の兵士、弁護士、人権団体は軍紀が乱れる根本的な原因について「適切な休息や交代を兵士に提供しない軍の作戦運用に問題があり、罰則を強化して兵士に全ての負担を押し付けてもやる気を奪うだけだ」と主張している