自由吟
◆6点句:
・廃業に勝手ながらと書く無念 団扇
⇒"勝手ながら"という言葉に辛い思いが伝わってくる。でもこれが現実という悔しさも伝
わってくる。 今回のベスト。無念さが伝わる。まるで鶴彬のような鋭さ
◆4点句:
・処理水の次はデブリを海に捨て 今明
⇒現実かも。ぞっとする。なるほど、次はデブリか、想像力のすばらしさ、恐ろしさ
◆3点句:
・同性婚俺が許すと憲法くん 白眞弓
⇒先日の画期的な判決と松元ヒロの一人芝居もひっかけて、うまい。テレビにでない、松
元ヒロくん
◆2点句:
・輪が五つ手枷足枷首の枷 J・ポンド
⇒輪が枷 首の枷の止め、お見事。むかし「輪が三つ」という石鹸がありました。その懐
かしさに引き込みながら、両手、両足、首でちょうど五つ。でき過ぎなほどうまい。
・東京に勝ったやないか感染者 斗周
⇒大阪人の東京へのライバル意識。 皮肉っておもしろい。この諧謔、素晴らしい
・骨材にされてたまるか戦没者 駒田紋太
⇒辺野古の埋め立てに使われる土の事
・ゴリ押しの五輪へ聖火ピエロめき かずさ紀柳
⇒本当にくだらない聖火リレーのことを柔らかな表現だが、うまく句にしたと思う
◆1点句:
・ジョー談もヨシと言われりゃ浮かれ顔 祐民
⇒少し狂句臭めくが面白い句と思う。私も決してこのような句を選ばないわけではない。
・璃花子ちゃん五輪背負うの早すぎる 祐民
⇒誰もが思ってることだと思います。メディアは決して言えないけれど。
・国軍よ叛乱せよとポチョムキン すなふきん
⇒そう、それが正義!
・よく聞けば聞かなかったと同じこと 笑い茸
⇒国会の答弁にみる、意味のない言葉の羅列を「よく聞く」と「聞かなかった」であらわ
している
・汚染水菅さん毎日飲めますか 八金
⇒「毎日」がミソ。一回だけのパフォーマンスでは許しません
・聖火リレー合図にコロナも走り出し 笑い茸
⇒五輪にコロナがくっついて来ているような面白い表現
・日米は遠くの海に波を立て 奥徒
⇒遠くの海に「波を立て」を呼応させてうまい
・打つ手なく頼みの綱は神と民 今明
⇒困り果てた政府の今の状況。まさに、神と民
◆乱鬼龍の全体の講評
まだまだ説明句、報告句が多い。昔から川柳がうまくなるためには、秀句をたくさん読む
こととあるが、そのような句と自句を比べてみるのも勉強になる。
◆斗周の全体の講評
投句全体としては、政治的発言が単なるスローガンや標語になっている例が多く見られた。
また、すでに誰もが知っているニュースの後追いや、ニュースの説明に過ぎない句も散見
された。