相澤 冬樹氏の“赤木ファイル”に関わる告発 | 社会の裏を晒すブログ

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森友問題「どういう過程で改ざんをやったのかが全部わかる」元上司が明かした“赤木ファイル”の存在とその行方
相澤 冬樹 2021/05/25 11:10   文春

森友学園との土地取引を巡り、公文書書き換えを上司に強制されたことを苦に自ら命を絶った財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さん(享年54)。妻の雅子さんは真実を明らかにするため国などを提訴し、重要証拠である赤木ファイルの開示を繰り返し求めてきた。存在するかどうかも「明らかにできない」としてきた国が一転、今月6日に赤木ファイルの存在を認め、6月23日の次回口頭弁論までに地裁に提出する方針を明らかにした。

 妻の赤木雅子さんとジャーナリスト・相澤冬樹氏による『 私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ? 』(文藝春秋)の一部を抜粋。俊夫さんの上司による赤木ファイルについての証言を紹介する。(全2回の1回目/ #2を読む )

知られざる重要証拠
 俊夫さんは、一連の土地取引が終わった後に担当部署に来た。どういう経緯か知らされないまま、経緯を記した公文書を改ざんさせられた。雅子さんは池田氏を問い詰めた。

「なんで改ざんなんか受け入れたんですか?」

「手放しでは受け入れてはないです。抵抗はしました。やる必要もないと思っていましたし。僕自身もあの当時、かなり追い詰められているところもあって、赤木さんと同じように、遅くまで仕事をして、僕の場合は売り払いをした当事者ですから。もう朝方まで本省から……もちろん嘘はいけないですけど、我々近畿財務局の仲間、それと東京のメンバー……奥さんには怒られるかもしれないけど、何人けがするかわからない状況の中で、少しでも野党から突っ込まれるようなことを消したいということでやりました」

 池田氏は、俊夫さんが終始改ざんに反対していたと明かした。

「初めから赤木さんは抵抗していました。でも、ちょっとしたところだけ、野党から聞かれたことに関連するところ、大勢に影響のないところ、みたいにどんどんどんどんエスカレートして、それはもう耐えられない。だから赤木さんもその下の部下も、正直涙を流しながら抵抗していた。それを僕自身、課長という立場で改ざんを止めきれなかった。だから僕は改ざんを主導したメンバーに間違いなく入ります」

 ここで池田氏は、改ざんの実態を示す、知られざる重要証拠を俊夫さんが残していたことを、初めて明かした。

「改ざんなんかする必要はまったくなかった」
「赤木さんはきっちりしているから、文書の修正、改ざんについて、ファイルにして、きちっと整理していたんです。パソコンのデスクトップかなにかにあって。検察がガサ入れに来た時(注・実際は捜索は受けていないので任意提出と思われる)、赤木さんは『これも出していいですか?』と聞いてきた。パラッと見たら、めっちゃきれいに整理してある。全部書いてある。どこがどうで、何がどういう本省の指示かって。修正前と修正後、何回かやり取りしたような奴がファイリングされていて、パッと見ただけでわかるように整理されている。これを見たら我々がどういう過程で改ざんをやったのかが全部わかる。赤木さんもそこは相手が検察なんで気になって『出しますか?』って。僕は『出しましょう、全部出してください』と言って持っていってもらったんです。全部見てもらって全部判断してもらったらいいという思いですから。僕ら的には改ざんなんかする必要はまったくなかったですし」

「じゃあ、佐川さんの勇み足なんですか?」

「もちろん佐川さんの判断です」

 では、現場が「ありのままに書けばいい」と思っていた安倍昭恵さんや政治家の名前について、佐川氏はなぜ改ざんを指示したのか? その疑問は、やはり佐川氏本人にぶつけるしかない。そのために起こした裁判である。

 そしてもう一つ、この証言で重要な事実が浮かび上がっている。赤木さんが残したという改ざんについての詳細なファイルの存在だ。これまで一切知られていなかった“新事実”だ。

“官邸の守護神”黒川弘務氏の存在
 池田氏の言うとおりなら、それは大阪地検特捜部に提出されたはずだ。そんな“決定的証拠”があったにも関わらず、そして心ならずも改ざんの“実行犯”にさせられた赤木俊夫さん本人が「自分は犯罪者だ。もう逃げられない」と認識していたにも関わらず、大阪地検特捜部は公文書変造罪にも公用文書毀棄罪にもあたらないとして、佐川氏をはじめ財務省の関係者ら38人全員を不起訴にした。検察審査会は「不起訴は不当だ」と議決したが、それでも大阪地検特捜部は再び不起訴にした。これは一体なぜなのか?

 特捜部がこの事件の捜査を行っていた当時、私はNHK大阪報道部で司法担当として検察庁を取材していた。当時の特捜部長は山本真千子氏。2018年5月にすべてを不起訴にした山本氏は、まもなく函館地検検事正に栄転。翌年、大阪地検ナンバー2の次席検事として戻ってきた。このポストは、いずれ天皇陛下の認証官たる「検事長」就任の可能性が高いと言われる出世コースだ。「不起訴のご褒美か」としばしば揶揄される。

 だが一方で私は、現場の検事たちがギリギリまで捜査を続けていたことを知っている。当時の私のメモ帳には、18年5月上旬になってもまだ関係者の事情聴取を行っていたことが記されている。不起訴ありきではなく、何とかこれを事件にできないか模索する動きが現場には確かにあった。山本特捜部長も、それを圧力をかけてつぶすようなことはしていなかったように見えた。

 これに対し終始一貫、事件をつぶして不起訴にする方向で圧力を加えていたのは、東京の法務省・最高検サイドだ。そして当時の法務省事務方トップの事務次官は黒川弘務氏。“官邸の守護神”の異名を受け、その後、東京高検検事長の時に政権の意向と言われる無理筋の定年延長で、検察トップの検事総長を目指すかと思われたが、記者との賭けマージャンを週刊文春にスクープされて辞任に追い込まれた。

雅子さんから届いたLINE
 そういえば、俊夫さんの手記で「すべて虚偽答弁」と断罪された財務省の太田(充)理財局長(当時)は今や主計局長で、次期財務事務次官と目されている。森友事件で政権に貢献すると官僚トップに上りつめられるのだろうか?

 俊夫さんの墓参の翌日の3月23日、国会では参議院予算委員会で、俊夫さんの手記と雅子さんが起こした裁判をめぐり質疑が行われていた。そこに雅子さんからLINEが届いた。

〈病院の待合室で国会中継流れています。音は聞こえにくいですが夫の手書きの遺書が大きく映し出されています。うまく聞こえないのにみんながテレビに釘づけになりました。一生忘れられない光景です〉

 ……なんて素敵な描写だろう。雅子さんのLINEは続く。

〈今日の麻生さんの答弁テレビで取り上げられているそうです。友達からたくさん連絡が来ます〉

 みんなが赤木雅子さんを応援している。夫と二人、幸せに暮らしてきた女性の人生を暗転させた夫の心の病と死。夫はなぜ命を絶ったのか? その無念を晴らすため、真相を知ることが自分の使命と裁判を起こし、夫の手記を公表した女性を、みんなが支援している。


森友公文書改ざん「亡くなる前の晩に電話があったんです」赤木俊夫さんの義母が語ったあの日のこと へ続く

相澤 冬樹/週刊文春出版部)