・生卵ぶつけるべきか食うべきか 蘭綺麗
→貧困者にとって卵は、大事な食糧源。それをぶつけたいほどの怒り。
・死刑囚一日一生今日を生き 乱鬼龍
→『救援川柳句集』からの発想
・スマホより祖母に教わる生きる知恵 やんちゃん
→ため息の出るような句の中で、ほのぼのとし気持ちになる。
・一生をマスクで終わる予感もし なずな
→実感。コロナ下で人生の有限性を考えるとこうなるのかと思う。 「予感もし」は座りが悪い。
・AIもきっと解けない生きる意味 一志
→AIの神格化を撃つ。人生の迷いはだれでもあるが、AIを持ってきたことがいい。
・原発の生涯コスト底知れず 木根川
→煮ても焼いても死なない核、中七の穿ちに〇。 原発に「生涯コスト」というところが川柳的。
・出社して生首抱いて退社する 坂巻フミエ
→表現が卓抜。コロナ不況でこういう人が増えている。派遣社員の実態がよく見える。「出社」「退社」の対の言葉、「生首」という表現。
・辞任した亡霊スカに生きていた 里見羊
→安倍からスガへの交代を句にしたかったが、これはよくできていると思った。「アベ」を使わず亡霊としたところがいい。