その8カ月後、北海道財務局の担当者が杉山弁護士に対してこんな告白をしたのだという。
「告発状まで出てるしやらなきゃまずいと思ったので動きたいという話をしたが、上司と金融庁のほうから動くんじゃないと言われて私は動けませんでした」
財務局の担当者は調査に動こうとしたが、上司と金融庁から止められたというのである。担当者は調査できなかったことに「忸怩たる思いがある」とも語っているという。
いったいなぜ、財務省北海道財務局、金融庁は調査に動かなかったのか。
48HDは、上述のとおり、淡路社長が「桜を見る会」や安倍晋三後援会主催の「前夜祭」に出席し、そこで撮影した安倍首相夫妻や、菅官房長官ら政権幹部との写真を、勧誘に使用していたことがわかっている。
また、淡路社長は安倍首相の地元・下関市で昭恵氏が経営する複合型ゲストハウス「uzuhouse」(ウズハウス)でも、安倍首相とツーショット写真を撮っており、これも勧誘に使われていたという。
さらには、この「ウズハウス」に、淡路社長が出資していたことまで判明している。
「桜を見る会」とマルチ企業といえば、「総理枠」で会長が招待されていた悪徳マルチ商法のジャパンライフに対する消費者庁の立入検査を政治圧力で取り止めていたという疑惑がある。この48HDについても、安倍首相・昭恵氏をはじめとした政界官界人脈との関係への忖度が、行政処分を遅らせ、被害を拡大させたのではないかとも疑われている。
今回浮上した、北海道財務局と金融庁の刑事告発スルーの背景にも、同様の構図はないのか。
以下に、安倍首相夫妻と48HDの関係を報じた記事を再録するので、ご一読いただきたい。
(編集部)