クルーズ船を「第二の感染源」に変えた安倍政権の科学軽視
木村 正人 2020/02/19 18:15
森友学園、加計学園、「桜を見る会」問題で繰り返されてきた安倍政権の隠蔽(いんぺい)体質がクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で新型コロナウイルスの感染を拡大させてしまったようだ。
感染症のプロ、岩田健太郎神戸大学教授が18日「ダイヤモンド・プリンセス」の船内に入り、ユーチューブで信じられないような内部告発を行っている。これが安倍政権の体質だと言われても仕方あるまい。
「日本環境感染学会が入り、実地疫学専門家養成コース(FETP-J)が入ったが、あっという間に出て行ってしまって中がどうなっているかよく分からない状態だった」
「しかし自分が感染症にかかる恐怖というのはそんなに感じたことはない。僕はプロなので自分が感染しない方法、他の人を感染させない方法、施設の中でどういうふうにすれば感染がさらに広がらないかということも熟知している」
「悲惨な状態で心の底から恐いと思った」
「これは自分が新型コロナウイルスに感染しても仕方ないと本気で思いました」
「そもそも常駐しているプロの感染対策の専門家が一人もいない。やばいなと思って箴言しても何も聞いてもらえない。やっているのは厚労省の官僚たちで、聞く耳を持たない」
「アフリカや中国に比べてもひどい感染対策をしている」
「日本はダイヤモンド・プリンセスの中で起きている情報を全然出していない」
最大の問題はやはり安倍晋三首相→加藤勝信厚労相→厚労省官僚・医系技官という指揮命令系統の中に感染症のプロが全く入っていないことだろう。
日本最大の問題は組織から岩田教授のような職人気質の専門家を排除してしまうことだ。
米紙ニューヨーク・タイムズは「日本政府の対応は公衆衛生危機の際に行ってはいけない対応の見本」
感染症の専門家ナタリー・マクダーモット博士は「明らかに検疫は機能していない。この船は現在、感染源になっている」
総合医ホプランド氏は「私が感染していなかったことが驚きだ。ウイルスは野火のようにこの船に広がった。彼ら(日本政府)はわれわれを感染させるために培養皿の中に閉じ込めたというのが私の推論だ」
日本では「科学」が「政治」と「官僚」に埋もれてしまっている。
今からでも遅くはない。科学者が先頭に立ち、官僚が支えるシステムを大至急、整えるべきだ。