池袋・神戸・四ッ谷暴走殺人事件の奇妙な相違
植草一秀 2019年12月28日 (土)
刑事司法、マスコミ、羊の大群
腐った状況
がわかりやすい
植草一秀さんから全文転載します
上級国民・下級国民という言葉が浸透しているが、これは単なるやっかみの言葉ではない。
日本の刑事司法のゆがみとリンクする言葉なのだ。
2019年4月19日、東京池袋では87歳の男性が運転する乗用車が暴走。
30代の女性と3歳の娘がはねられて死亡した。
わずか2日後の4月21日、神戸で市営バスが暴走し、巻き込まれた20代の男女2人が死亡した。
ともに歩行者が青信号で横断歩道を歩行中に起きた事故だったが、池袋の暴走事故を引き起こした飯塚幸三氏は逮捕されず、事故発生当時の報道では「さん」という敬称付きで報じられた。
他方、神戸の事故を引き起こした64歳のバス運転手は自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で現行犯逮捕され、「容疑者」という呼称付きで報道された。
同じく横断歩道を青信号で歩行中に起きた死亡事故がもう1件ある。
本年8月18日、午前10時40分頃、JR四ツ谷駅前の交差点の横断歩道を青信号で横断していた4歳の男の子が、警視庁新宿警察署のパトカーにはねられて重体になった。
男の子は9月13日に死亡した。
4歳の男の子が交差点の横断歩道を青信号で歩行しているときに、警察車両によって跳ね飛ばされて死亡した重大事件だ。
報道は、警察車両が時速40キロのスピードで交差点内を走行したと伝えている。
警察車両は警視庁新宿警察署のパトカーで、薬物事件容疑者の尿検体を運搬するために緊急走行していた。
横断歩道上を青信号で歩行している4歳男児を跳ね飛ばした緊急自動車は警視庁新宿警察署のパトカーだったが、道路交通法第38条および第41条は、緊急自動車であっても、「横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。」と規定している。
新宿警察署パトカーは道路交通法に違反して4歳男児を跳ね飛ばして死亡させた。
暴走殺人事件と表現して過言でない。