えきたゆきこ著『マコの宝物』評者:光本敏子 B | 社会の裏を晒すブログ

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浴田さんは、1974年に東アジア反日武装戦線大地の牙に連絡員として参加し、1975年に逮捕されている。1977年に日本赤軍が、ハイジャック闘争で拘留者の釈放を要求し、その一人としてアラブへ渡る。1995年にルーマニアで拘束され日本へ強制送還。20年の刑期を終えて出所。現在は、働きながら生活保護を受け、自称世界浪人の感を取り戻しつつあるという。
 一緒に暮らしていた大地の牙の齋藤和さんは連行された警察署に着くや、青酸カリを服毒して自死した。狼の大道寺将司さんは、三菱重工爆破事故で亡くなった人々に対し、生きて責任をとることを自身に課し、2017年5月に東京拘置所で病気で死去している。こうした流れのなかで、浴田さんは出所した。
 沖縄の自衛隊基地の拡充や、韓国の徴用工への賠償問題と日本による輸出規制、憲法改悪、自民党一党独裁による世の中の右傾化、アメリカによる日本支配などなど、見るもの聞くもの憂鬱の種は尽きない。自立した運動が問われるし、70年代を知らない若い人への訴えが広がりをもてない現状の中で、若い人にとって70年代の闘いはどう映っているのかを知りたいと思う。           *「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美、根岸恵子ほかです。