こんばんは!

最近まとめて本を買ったりDVDを借りたりとやたらと誘惑が多い中、

やっとこちらの本を読み終えました本

 

 

 

 

幕末の青嵐を読んでからすぐに読むはずだったのですが

 

大分時が経ってしまいました(´□`。)

珍しい新選組の主人公(隊士)達に興味津々だったんですけどね~

 

地虫鳴くでは

 

 

阿部十郎(高野十郎)

 

篠原泰之進

尾形俊太郎

 

といった、普段は脇役としてしか名の上がらない3人の

 

隊士達が代わる代わる話を紡いでいく感じで話が進みます。

 

篠原さんは伊東先生が新選組に加わる前からの盟友です。

 

真っ直ぐに理想を追い続ける伊東さんの姿や

兄弟なのに言葉を交わすことも少なく、

それでいて理想に突き進む兄の大業を叶えるべく

裏に裏に動いて根回ししようとする弟三樹三郎の姿を

時にちょっと距離を感じながら、時に賛同しながら、

篠原さんの目線で伊東派の様子を伝えてくれました。

 

一方尾形さんは、新選組の監察方。

 

見た目も飄々として物腰も低く武より文にたける彼は

同じ監察の山崎さん同様、土方さんに見込まれ任をこなします。

 

監察という仕事柄、情勢がいち早く耳に入り幹部と話し合う場も多い尾形さん。

 

義を貫き真っ直ぐで徳川が亡くなることなど信じていない近藤さん

汚れ仕事をすべて請け負いやれるだけのことをやる土方さん

危険な橋を渡り続けてるのに悲愴感を全く見せない山崎さん

そんな彼らを傍で見ながら、ふと、徳川がなくなったらどうするのだろう?

などと先が見えないことを不安に思う一面を見せる尾形さんが

より人間らしくそれが普通だよなと感じてしまう自分がいました。

 

そして、私が一番印象的だったのは阿部十郎という人物の物語でした。

 

 

自分を信じることもできず、わざと悪ぶって人を遠ざけ

 

一ヶ所に留まらない事で己の器の小ささを認める時間を作らないようにしてきた。

新選組も一度抜け出したが、石蔵屋の一件で局に戻ることとなり、

戻ったものの、特に強い思い入れもない。

 

そのくせ・・・他人の目を気にする。

 

田舎侍と思っていたがいつの間にか風格が備わっている近藤に平伏し、

脱走したことについて何も言葉を発せず、

まるで亡き者かのように扱う土方に心を暗くし、

沖田が投げかけたたわいのない言葉の裏を考えて恐れていた。

 

それでも阿部に気兼ねなく話しかけてくる浅野という隊士には

 

どこか心を開きかけている部分もあったのですが、

浅野もある事件の不始末で除隊されてしまい、

阿部はさらに自分の居場所を失ってしまいます。

 

そんな阿部をいざという時に使えると思ってか、

 

三木が御陵衛士として迎える事となります。

阿部にとって二度目の除隊です。

しかし、唯一阿部が大切に思える友となっていた浅野が、

阿部の口利きで御陵衛士への参加を認められた直後に殺害されてしまうのです。

 

流れで入った御陵衛士。

 

だけど、浅野の入隊も許され心からありがたいと思った。

二人なら御陵衛士で勤王の為に働けると思った。

そう思った直後の浅野の死。

 

信じようと思った瞬間に裏切られた・・・

 

 

阿部の物語を読んでいて、本当に人の抱えている闇とは

 

次々と重なって深く迷宮入りしてしまう事もあるのだなと感じてしまいました。

 

 

理想があってそれを成功させる者は本当に一握りの人だと思います。

 

 

作者の木内さんは、伊東さんの攘夷思想に突っ走る姿であったり、

近藤さんの徳川に忠義を果たそうとする義に満ちた姿であったり、

開国論者や攘夷論者など、すべての思想をもって動いている人々を

善も悪もなしにいきいきと描いている印象をうけます。

 

今回の地虫鳴くは、そんな行動派のサクセスストーリーとは違うのですが、

 

自分なりに苦悩し、傷つき、行動し、何かを掴み・・・

そうやって時代を駆け抜けた多くの人達が確かに存在し、

同じように時代を歩んでいたんだなと教えてくれたように思います。

 

それゆえ、希望だった友人の死に直面した阿部さんが、

 

そのまま絶望し、朽ち果てていくのではないかと思った私の意に反して

ある行動をきっかけに(これが近藤さん暗殺未遂事件だったんですけど)

物事からすぐに目を背けてきた過去の自分と決別する糸口を

見つけ、闇から抜け出すことができたことにホッとしました。

 

明治の世まで生き続けた阿部さん・・・

 

京の孤独だった時代から離れて何か希望を見つけられたのかな?って

ちょっと聞きたくなってしまいました。