昨年、浅利先生に偶々ご挨拶出来る機会がありました。
「10年ほど前に退団したので覚えていらっしゃらないかもしれませんが…」
もっと明るいとこで顔見せてくれ、と通路に出てもう一度名前をいうと、覚えてるよ、と言ってくださった。
誰かともしかしたら間違えてるかもしれない、
それでも、笑顔の先生とお話できたこと
本当に嬉しかったです。
教え子が浅利先生プロデュースの「オンディーヌ」「夢から醒めた夢」に出演することがきっかけで、
この時、偶々ご挨拶出来る機会ができたこと
ある意味、教え子が繋いでくれたご縁でした。
22歳で劇団に入った時から
ああ、今日まで道は繋がっていたんだと、
この時なんだかものすごく、感慨深かったのを覚えています。
南十字星の初演時、
先生の歌詞制作の貴重な現場に
私なんかを使ってくださった事、
在団中の色んなお話。
日本の演劇界の歴史の中心にいた方と同じ時間を過ごせていたことが人生の誇りです。
在団中のみならず、退団してからも劇場でお姿をお見かけするたび、
身体が強張るほど緊張してしまうような
存在の大きさ。
あの頃は、その大きな存在がとてつもなく恐ろしくもあり
悔しい思い出や苦しい経験、
一言では言い尽くせない記憶。
それでも、
劇団四季に関わった全ての人が
今おそらく、
同じ《感謝》の想いを抱いていると思います。
日本の演劇界に残されたもの
関わった全ての人の人生に残されたもの
苦しみや悔しさが、こんなにも感謝や尊敬の念に変わる経験は
人生で、もう二度と無いかもしれません。
浅利慶太先生、本当にありがとうございました。