行って来た。
気仙沼と、南三陸町へ。
正直、行くのをやめようかと、何度か思いました。
昨日の夜中の地震が、余計にも私の決心を鈍らせた。
やっぱり、怖かったから。
やめる理由はいくらでもあった。
天気予報を見たら、あまり天気が良くないと出ていたし、
仕事が忙しい時期だから、朝起きられるか心配だし、とか。
行って疲れてしまったらどうしよう、とか。
でも、行かなかったら後悔すると思いました。
ほんの少しの恐怖心に負けて、大きな後悔をする。
現実から逃げるのはやめようと思いました。
そして、自分で決めた約束や決まり事は、妥協せずに実行したかった。
言い訳せずに、実行したかった。
バス乗り場へ着いたら、日曜の早朝なのに大勢の人がいました。
喪服を着た人、花束を抱えた人。外国人の方も、何名か。
目的は、恐らくみんな同じ。
次のバス停では満席になって、1台増便されました。
3時間後、気仙沼駅前に着いたとき、案外と街がきれいでホッとしました。
駅舎も線路もきちんと残っていて、今もきちんと機能していました。
駅まで迎えに来てくれた友達の姿を見つけたとき、涙が出そうになったのを必死で堪えました。
それから、1時間半程度。
気仙沼の街を、海沿いから歩いてみました。
電柱らしきものが倒れていたり、フェリー乗り場が落ちていたり、
家が潰れてしまっていました。

こんな感じで、船が道路脇にゴロゴロ転がっていた。
そう、転がっているって表現がぴったり。
ここ、リアスシャークミュージアムは、何年か前にサークルの旅行で来た事があります。
ここの前に、口を開いたサメの置物があって、
そこに頭を突っ込んで写真を撮ってもらったんだった。
物産展があって、楽しい場所だったんだけど・・・。
あれから1年も経つと、やはり更地になっている場所も多くて、
自宅があったであろう場所に、お花をお供えしているところがたくさんありました。
道も、だいぶ整備されてはいるものの、舗装されていないところも多くて、
何だか、アジアのどこかみたいな雰囲気でした。
大勢の方々が命を落とされた場所に、土足で踏み入れるのは勇気のいることで、
舗装されていない道を歩くときには、とても複雑な気持ちだったけど、
自分が多くの方々の犠牲の上に、今生かされていることを肌で感じた気がする。
今日は、友達のダンナさまが車を出してくれて、気仙沼から南三陸町へも行けました。
ダンナさまは災害復旧に関わるお仕事をしていたから、本当に最前線で働いた人。
”あそこの線路の上にも、家があったよ”とか、”こっちから水が入って、ここまで浸水したよ”とか、
あの時の様子を話してくれました。
道端には、ブイや網なんかの海洋製品がゴロゴロ。
山は木が軒並み倒されていた。
もちろん、家なんか残っていなかった。

南三陸町。
それでも、三陸の海は青くてとてもきれいだった。
あんな穏やかな海が、この街をメチャクチャにしたなんて、考えられなかった。
何もないんだよ。
この辺りは、小さい頃に海水浴に連れてきてもらった場所。
学生の頃は、みんなで初日の出も見に来たよね。
色々な思い出が詰まっている場所。
今日の午後2時46分。私たちはここにいました。

ニュースでご覧になった方も、多いかも知れません。
南三陸町の防災対策庁舎。
ここで、最後まで防災無線で呼びかけていた、市の職員の女性が、津波に呑まれて亡くなりました。
まだ24歳。結婚目前だったそうです。
この場所で、追悼放送を聞き、1分間の黙祷をしました。
たくさんの想いが伝わってくるようで、涙が止まりませんでした。
生きたかったでしょう。
怖かったでしょう。
黙祷が終わった後、足早に立ち去った人が数名。
亡くなった方のご家族だったのかも知れません。
確かに、辛すぎて長居出来ない気持ちは分かります。
1年経って、何が変わったのだろう。
正直言って、私には分かりません。
街はまだメチャクチャだったし、そこに住む人たちの悲しみも、全く癒えていないように見えました。
それでも、前へ進んでいかなければいけないし、毎日生きていかなければいけない。
でも、ゆっくりでいいのかな・・・と思いました。
自分の感情に蓋をして、強がって頑張ることだけが復興ではない。
上手く言えないけれど、悲しみと共存して行くしかないのかなと。
自分の心の整理がついたとき、人は前よりも強さと優しさを身に付けていけるのだと思う。
東北の人たちは、忍耐強いです。
言葉少なに、黙々と努力をする人たちが多いです。
だから、自分のペースで進んでいきましょう。
私も、焦ることをやめます。
今、会えなくなったら後悔する人はいますか?
叶えたい夢はありますか?
明日があるかどうか、なんて誰にも分からない。
私は欲張りな人間です。出来る限り、たくさんのことを知りたいし、見たいと思っています。
たくさんの人に出会いたいですし、話したいこともたくさんあります。
それらを諦めるつもりはありません。
全部は無理だろうけど、全部やる!くらいの気持ちはある。
後悔したくないのです。悲しみを増やしたくはないのです。
だから、出来ることを出来るだけ早くやりたい。
東北を元気にしたいから。
最後に、印象的な写真を。


どちらも、防災対策庁舎のすぐそばにありました。
いつだって、笑顔は人を幸せにします。
この置物を見た人たちが、一瞬笑顔になったのを、何人も見ました。
苦しい中でも、笑顔で心を満たしていきたいですね。
Ayu