ずっとずっと、読んでみたいと思っていた本でした。
 
仙台の書店では、山積みになっている”河北新報のいちばん長い日”です。
一度、ほんの少しだけ立ち読みをしたことがあったのですが、
涙が出そうになってしまい、そのまま読み進めることが出来なかったので、
先日ようやく購入しました。
 
河北新報は、地元の新聞です。
私の実家で読んでいるのも、もちろん河北。
あまりに身近にあるもので、世の中に新聞は河北しかないのだと、
本気で思っていたこともありました。
 
1897年の創刊以来、休刊日を除いては無休で発行することをモットーにしているそうです。
そう、あの日もやはり河北新報は発行されていました。
 
新聞のある光景が当たり前すぎて、あの時は全く疑問にも思わなかったのですが、
街中で新聞を持っている人がたくさんいたのです。
大きな写真とともに、震災の様子が掲載されていました。
 
残念ながら、私は入手することが出来なかったのですが、
あちこちで新聞を開いている人がいたので、大きな見出しは自然と目に入りました。
 
今思えば、あの状況の中で新聞を発行出来たことは、奇跡に近いと思います。
 
この本は、あの日河北新報社で何が起こったか、
どうやって新聞を発行することが出来たのか、ドキュメンタリーのように記載してあります。
 
私が想像つかないほど、多くの苦労があったことを知り、
情報を発信し続けてくださった河北新報社の方々に、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 
被害の大きかった地域では、徒歩で200軒近く配達した販売店の方もいらっしゃったそうです。
 
もちろん、あの状況では自社で新聞を作成することは出来ず、新潟日報の方の協力を得て、
作成された新聞だったということも、この本を読んで初めて知りました。
 
停電し、テレビもインターネットも使えなくなり、情報が全く寸断されてしまった人たちも、
大勢いたと思います。
そんな時、新聞を手にすることが出来たら、どんなに心強かったか。
 
たとえそれが自分の仕事であっても、あの状況ではそれを全うすることは、
本当に難しかったと思います。
精神的に、とてもとても苦しかっただろうなと・・・。
 
その昔、物書きになりたかった私は、報道関係のお仕事に憧れたこともありましたが、
今回この本を読んでみて、私では全く務まらないと思いました。
私はここまでタフじゃないし、根性もない!!
 
今になって気づく、いろいろなこと。
大勢の方々が、それぞれの場所で頑張っていたのですね。
 
 
Ayu
 
*河北新報のいちばん長い日 河北新報社・著
*文芸春秋
*ISBN978-4-16-374470-4