あの有名な、沢木耕太郎さんの”深夜特急”を初めて読んだのは、
今から8年くらい前のことだったと思います。
 
友人から”絶対好きだと思う!”と勧められて、手に取ったのがきっかけです。
その時は、こんなにも有名な本だとは知りませんでした。
以来、何度となく繰り返し読み続けています。
 
その深夜特急の”最終便”が出ると聞いたとき、すぐに読んでみたいと思いましたが、
出来れば文庫になるのを待ちたいな・・・という気持ちがあり、しばらく手を出さずにいました。
カフェや旅先など、どこへでも本を持ち歩きたい私は、携帯に便利なように
文庫を選んでしまうのです。
 
最近、雑誌を眺めていたら、たまたまこの本が掲載されており、
文庫化されたことを知りました。
いてもたってもいられなくなり、すぐに本屋へ急ぎ、買ってしまいました。
 
今や、バックパッカーのバイブルとも呼ばれるほどの”深夜特急”。
最終便の”旅する力”には、深夜特急の中には出てこなかった、
エピソードが記されています。
 
沢木耕太郎さんの、旅に対する考え。
自分の旅を続けるにあたって、影響を受けた本。
自称・旅人の私は、そういうお話を興味深く読みました。
 
”やはり旅にはその旅にふさわしい年齢があるのだという気がする”
”二十代を適齢期とする旅は、やはり二十代にしかできないのだ”
”だからこそ、その年代にふさわしい旅はその年代のときにしておいた方がいいと思うのだ”
 
この本の中で、とても印象深かった言葉です。
 
旅に目覚めた、二十代の頃。
出発する飛行機の中で、次はどこへ行こうかと考えるのが習慣でした。
私の中で、始まってしまった旅は、その時点で少しずつ過去のものになっていたのでしょう。
 
旅先では、本当によく歩いて、ひたすら街を眺めていました。
自分のための買い物は、ほとんどしない。
知らない街に降り立っただけで、知らない土地を歩いているだけで、
心から満足出来て、楽しいと思えた。
 
そういえば、ここ最近はそういう気持ちが少なくなったなー・・・と感じていた矢先のこと。
この本を読んで、自分の気持ちの変化について、何となく納得できたのです。
 
旅のスタイルが変わってきたのですね。
私も、知らないうちに旅慣れしてきたのですね。
 
時々、自分の二十代を振り返って、ちょっと後悔することもあります。
あちこち出歩く前に、もっと他のことが出来たのではないか?と。
本気で頑張るべきことが、他にあったのではないか?と。
 
うん、そうかもしれない。
けど、私は自ら選んで、その時にしか出来ない経験を手に入れたんだ。
 
この本は、そんなふうに私の気持ちを救ってくれた気がします。
 
何でもそうだけど、無駄な経験は一切ないと思う。
仕事も遊びも、その時にしか出来ないことがあるんですよね。
一人でたくさんの人生を歩めるならばいいけれど、それは無理な話で^^;
 
だったら、自分が選んだものに、最高の価値を見つけたい。
 
久しぶりに、本から元気をもらいました。
もう一度、第一便から最終便まで通して、深夜特急を読んでみよう。
 
 
Ayu
 
*旅する力 深夜特急ノート 沢木耕太郎・著 新潮文庫
*ISBN978-4-10-123518-9