”おーい、水島。一緒に日本に帰ろう!”
この本で、私が覚えていたのはこれだけ。
初めてこの本の存在を知ったのは、小学校の頃でした。
幼い私に、父が何故この本を与えたのか、今でも分かりません。
あの時は、何とか1冊読みきったものの、内容が難しくて全く理解できませんでした。
それが、外国での話だとは分かったものの、果たしてビルマがどこにあるのかも知らず、
ただ竪琴の音色に興味を持った記憶があります。
あれから20年近く経過し、今さらながらもう一度読んでみようと思い、
今日は仕事が終わってから本屋へ行って買って来ました。
不思議なもので、大人になった私はミャンマー人上司の下で働き、
戦争の跡地を巡るという、旅の目的を持つようになり、今に至ります。
隙あらばアジアへ出向き、今やそこで生きて行きたいと思えるほど、
どっぷりと浸かってしまいました。
そんな今だからこそ、少しはこの本のことを理解できるのでは・・・と思ったのが、
再び手にとったきっかけです。
久しぶりに再会したこの本。
こんなにも魅力的な話だったのか・・・と、とても驚きました。
ミャンマーへは行ったことがありませんが、かつてあちこちで感じてきた熱い空気を思い出し、
自分の中に鮮明に物語が飛び込んでくるのが分かりました。
あぁ、どうしてもっと早く読み返さなかったのだろう!!
異国にて生きる目的を見つけ、”もう祖国へは帰らない”と決意した、水島上等兵。
自分にしか出来ない生き方は何か?と普段から考えがちな私は、
水島上等兵の姿を、何故か自分の生き方に重ね合わせてしまいました。
今は、とても清々しい気持ちでいっぱいです。
1時間半程度で、一気に読んでしまいましたが、もう一度じっくり読み返そうかと思っています。
自分の人生に、影響を与えてくれた1冊。
父、ありがとう!!
Ayu