特攻花。

私がこの花のことを知ったのは、つい先日の話です。
お盆に実家へ帰省して、新聞を読んでいたら、この花のことが載っていました。
27歳のプロフォトグラファーの女性が、学生時代からずっとこの花を撮り続けていて、
写真集が出版されたようでした。

太平洋戦争末期に、神風特攻隊として出撃した若者たちへ、
地元の女の子たちが、野の花を贈ったそうです。
しかし、若者たちは花も一緒に散ってしまうのは忍びないと感じ、
空から花を落としたり、滑走路にそっと置いたりして、沖縄へ飛び立ったそうです。

その花の種子が、今も喜界島の空港の脇に、毎年花を咲かせているそうで、
それを、いつしか地元の方々が”特攻花”と呼ぶようになったらしいのです。

どうしても、この花のことを知りたくなりました。

早速今日、本屋へ行ってこの写真集を買いました。
家に帰るのもじれったくて、近くのカフェで見ることにしたのですが・・・。

美しい写真と、そこに秘められた悲しい思いが交錯し、
涙が出そうになりました。
これ以上ここで見るのは無理と諦めて、家に帰ってじっくり見ました。

写真には、短い文章が添えられています。
それが、あまりに悲しくて悲しくて・・・大泣きしながら読みました。

写真を撮った仲田千穂さんは、特攻花の写真を撮るために、何度も島へ足を運び、
特攻隊の生き残りの方からお話を聞いたりして、過去の出来事を
一生懸命伝え続けようとしています。

私も、何故自分がそうなってしまったのか分かりませんが、
戦争について考え、それを知るためにあちこち跡地を巡ったり、本を読んだりしています。
もちろん私は、自己満足のためだけにそういったことをしているのですが、
同じような世代の方が、このような活動をされていることを、
何だかとても心強く感じたのです。

私も、喜界島へ行ってみたい・・・。
そう感じました。

以前に知覧を訪れたときに知った、神風特攻隊のこと。
”カミカゼ”と、言葉では知っていたのですが、実際それがどんなものか、
詳しく知りませんでした。

知覧で見たものは、あまりにも悲しく衝撃的で、
あれから2年経った今も、決して忘れることは出来ません。

自分の命を懸けて戦うということが、どれだけ悲しいことか。
そして、どれだけ残酷なことか。

今の私よりも、10歳近くも若い少年たちが、家族への感謝の言葉と共に、
遠く飛び立って行った。
決して戻ることがないと知っていたから、彼らは花をそっと置いて飛び立ったのでしょう。

こんなむごいことって、あるでしょうか・・・。

いつか必ず、私も特攻花を見に行きます。
若くして散った、たくさんの少年たちの命に手を合わせたい。
今の自分が平和に暮らせているのも、そうやって亡くなっていった方々のお陰だと思うから。


Ayu

*特攻花 仲田千穂/ポプラ社
 ISBN978-591-11066-9