先日、家出をしました。

とは言え、元々一人暮らしなので、家出になるのかならないのか、微妙なところですが。
とにかく、全てが面白くなくて、半ば衝動的に家を飛び出したのです。

そんなことをしても、行き先なんて限られている話。
どこに行こうか迷ったのですが、結局本屋へ行くことにしました。
フラフラと本屋をさまよっていた私が辿り着いたのは、宗教書のコーナー。
宗教は、幸せになるための手段のひとつと考えている私は、
どんな宗教かに関わらず、それ関係の本を読むことがあります。
(でも、やっぱり仏教関係が多いですが)

この日も、自分のざわついた気持ちを静めるために、手当たり次第本を眺めていたのですが、
その中で、手に取ったらどうしても全て読みたくなった本がありました。

『ゆっくりしいや』

清水寺元貫主の大西良慶さんのインタビューをまとめた本です。
柔らかい語り口と、分かりやすい文章、そして少し大きめの字が、
とても読みやすいと感じました。

ガサガサしていた自分の気持ちが、少しずつ穏やかになるのを感じ、
読み進めて行くうちに、何とも言えず涙が出そうになりました。

このままでは危険!と判断した私は、結局この本をお買い上げ。
今、大事に読んでいる最中です。

今の私に、的確なアドバイスをもらえたような気がして、
自分の中にあたたかい言葉が染み込んでいくのを感じるのです。

素晴らしい本に出逢えました。

実は、この本を手に取った理由は他にもあります。
私の父も、読んでいたんです。
私がまだ幼い頃、父の枕元にこの本が置いてあったのを何故かよく覚えていて、
懐かしいなと思ったのです。

東北の田舎出身の私は、当時関西の言葉に全く馴染みがなかったので、
この本のタイトルの意味も、よく分からなかったのです。
あれから何年も経って、父と同じ本を手にするようになるとは。

全く、似た者親子ですね^^;

私がこの本を読んでいると知ったら、きっと父は喜ぶでしょうが、
恥ずかしいから内緒にします。
少しずつ父に似てきていることを、受け入れたくない娘の心境・・・なーんて。

きっと、この本とは長く付き合っていくことになると思います。
迷ったとき、悩んだとき、度々開くことになるんじゃないかな・・・。

昨年復刊されたことを、とても嬉しく思っています。



Ayu

*ゆっくりしいや 百年の人生を語る*
・PHP研究所 発行
・ISBN978-4-569-70269-8