『天国と地獄』ロス・・・なんですね、きっと。

昨日も最終話を見直してしまった。

 

というわけで、『天国と地獄』最終話について考える、の巻。

 

******************************************************************************************************

 以下はネタバラシを含みますので、ご注意ください。

******************************************************************************************************

 

陽斗の涙といい、

彩子の「私はあなたで、あなたは私」といい、

(『嵐が丘』を彷彿・・・「あなたは私以上に私」)

川原の「お兄ちゃんの声なんじゃないですか?!」といい、

もうね、何度見ても滂沱。

 

それから、あまり言及されてないけれど、

個人的に印象に残っているのは、

日高 満(木場勝己)、陽斗の義理のお父さんのことです。

 

ラーメン屋台から叩き上げて社長になった苦労人だけど、

乳飲児の陽斗を抱えた西茜さん(朔也・陽斗の母)に一目惚れして

茜さんに通ってほしくて、努力を重ね腕を磨いた

愉快で人情味あふれる人。

 

陽斗の過去を探る必要もあり、

久しぶりに故郷に戻った陽斗(彩子)に、

「このバカタレが!」

と頭を引っ叩き、

「今夜は飲もう。飲めば全部思い出す!」

と言い放つ豪快な人。

頭を打って記憶喪失・・・と伝えてあるけど、

この対応には、構えた心もほぐれてしまう。

 

サイコパスの父親はどんなかと想像して、

用心していた陽斗(彩子)が

ホッとした様子で、

「お父さん、こういう感じか〜」

と微笑んだのも印象的。

彩子に戻った彩子とも(!)気が合いそう〜♪

 

乳歯を集める、というような、

気質的にちょっとマニアックな陽斗が

真正のサイコパスにならずに済んだのは、

多分、このお父さんのお陰じゃないかと思わせるんです。

 

このお父さんのセリフで震えたのは、

霊安室を訪れて、朔也の遺体につきそう陸に、

「日高です。朔也くんの父親になるべきだったものです。」

と言ったこと。

 

お父さん、そう思ってたんだ・・・。

自分が無理にでもあの時、朔也を引き取っていたら、

こんなことにはならなかった。

きっと、そう思って心の中で茜さんに

詫びていたかもしれない・・・。

 

陽斗を見れば、

それは間違いないこと。

二卵性とは言え双子だし、

サンプルQに対するモニターの感想が

陽斗から見ても「的確」だったことを思えば、

朔也は陽斗同様、教育の機会があり、金銭的に恵まれた環境にいれば、

先進的な企業を立ち上げ、社会に役立つ優秀な人材に育ったはず。

マニアックな性格は、研究者に必要な資質でもあるし。

 

誰にも奪われ続けない、

誰かに与え続ける人生を歩めたはず。

陽斗のように。

それを思うと本当に、

本当に朔也が悲しい。

 

だから、陽斗が

せめて朔也を殺人者として葬りたくなかった

切実な気持ちもわかる。

 

それで、朔也についても、

何度も繰り返して考えてしまいます。

朔也は陸に

「この歩道橋で、俺は道を間違えたんだ」って言ってたけど、

あの歩道橋は、幾度も違う選択ができた場所だったと思う。

 

小学生の頃、もしも、母親と靴を買いに行けていたら・・・。

でも、朔也は実父を思ってそうしなかった。

実父を一人にして、母親と暮らす選択もできたかもしれないけど、

孝行息子の彼には、そんなこときっとできない。

 

痴呆症になった父も死に、

自分が膵臓癌で余命僅かとわかったあとの歩道橋で、

陽斗が外国のいい医者を探す、と言うのを断り、

「空集合」になりたい、と言った時が

朔也の一番の踏み外しだけど、

社会に一矢報いたい彼の怒りや憎しみは、

痛いほどわかる。

 

「おれ、この世に生きていちゃいけない人間知ってんだ。

どうせ、おれ掃除屋だしよ、この世を掃除してから死ぬ」

(セリフは記憶によります。正確にはちょっと違うかも)

 

夜の歩道橋で、

瞳をキラキラさせながらそう語る朔也は、

「瞳の綺麗なテロリストたち」に共通する狂気を宿していました。

 

 

*************************************************************************************************

・・・ところで、

陽斗は陸のこと、好きじゃなかったんですか?

「そっち」ではなかったんでしょうか?

 

映画版に「続く」んでしょうか?

 

映画版はいよいよ(『シグナル』みたいに)

ミスターX(エックスじゃなくて、じつは「カイ」?)

(Φ(ファイ)に合わせるなら、これも「カイ」かな、と。)

が登場する国家的規模の壮大なスケール・・・

の話になるかも。

入れ替わりの謎も、本当のところは解明されてないし。

陽斗のお母さんが、

奄美のユタの流れだったとかなんとか・・・???

 

いろいろ想像するけれど、

映画化、本当に期待しています!!!