漠然と嘘つきは一人だと認識していた。

夫の友人の馬鹿息子は、ろくに仕事せずに、父親に送金してもらっていた。

日本に移住出来ないなら、家を買ってとねだった。
家を買えないなら、車を買ってと、またねだった。

辟易した父親は連絡を断った。

馬鹿息子の嫁はそれでも甲斐甲斐しく毎日のように
義父に子供たちのことや近況を知らせてくれていた。

嫁からの電話内容が変わったのはこの1年。
馬鹿息子は生活費を渡さなくなったと。

父親からの送金は嫁あてになっていたが、
馬鹿息子はその金をも狙うようになり、
嫁が拒むと子供を殴った と。

その口座以外の送金方法を父親と嫁は考えていた。

父親はとりあえずの10万円を山猿に一時的立て替えてもらうことになったと
嫁に伝えた。
嫁に、馬鹿息子には内緒で、取りに行け   と。

カラチに住む夫の家族に馬鹿息子から電話があった。
山猿の電話番号を教えてもらうために。

甲斐甲斐しいDV被害者の嫁は、馬鹿息子の共犯でした。

嘘は恥ずかしいことだから、一人でこそこそするものだと漠然と思ってた。
利害のためなら、総動員の劇場にもなり得るのですね。