オーバースティ歴19年になる
夫の友人のもとにとどいた
入管からの出頭要請書は簡易書留だった。
入管は彼の所在を知った上で、
彼を強制送還すべく、踏み込むのではなく、
期日を決めて、
パスポートとその紙切れを持参し、出頭するよう と書くだけだった。
彼は夫に言った。
”お金がひつようなんだ。もう少し日本で働きたい”
そういう選択ができる立場ではないであろうに。
有無を言わさず、強制送還されるべきなのに。
彼に選択権があることが不思議だった。
彼に逃げるチャンスを与える入管の行動が不思議だった。
入管はどこまで法律違反者にご親切なのだろう?
入管は日本の法律を知らないのだろうか?
所在を知られた不法滞在者が紙切れをもって出頭するという善意をどのくらい信じているのだろう?
彼の妻から連日の国際電話。
彼女も必死のようだった。
夫が不在の電話口で私にまで懇願したのだった。
お金が必要なの。
まだ帰らせないで欲しい。
(日本人と)結婚させてほしい。
あなたたちと子供たちのためにドゥアーをするから。
女もクズだった。
自分の息子の顔も見ずに、
工場で働きつづける出稼ぎ男には、
ふさわしいのかもしれないけれど。