彼女は隣で話し出した。


なるべく平坦に。


過ぎ去ったことを話すことで、

それらが力になるとでも、

思っているの?



頭を低く。

こぶしを膝に。

身体を丸め。

耳を赤く。

緊張したのは私だった。

認めたくないのは私だった。



辛い事実を話すことであなたの逃げ場所がなくならないように。

あなたの傷口が広がりませんように。


弱虫の私はそれでもあなたを守りたいと思っている。






ご主人が彼女に子供ができないことを理由に、

新しい奥さんをもらったことを告白した。


子供も生まれているんだって。


重婚話が持ち上がった時から、

死んでしまいたいほど悩んで苦しんだんだって。


彼女が苦しんでいる最中にご主人は重婚したんだって。



それでもあなたは私には笑いかけていてくれたんだね。



私に何ができるわけじゃないけれど、

私があなたの痛みを想像することで、

あなたの苦しみを減らしてあげることもできないことが、

申し訳ない。



そして今

たくさんの努力をしてきたから、

ご主人とご主人を取り巻く全てを愛そうという気持ちになったんだって。




タイヘンダッタネなんて言えるほど

私は大きくなんかない。

あなたを抱きしめてあげられるほどの

度量もない。




言葉と一緒に飲み込んで、

ガラスの目玉で念を送る。



話したことで、逃げられないとは思わないで。

もし、この先、許しきれない時が来たら、

自分を追い詰めてまで我慢はしないで。

あたしで良かったら、打ち明けて。






参考までに

http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/law2rivisa.html


国際離婚に関するいくつかの相談・事例が載っています。