イスラムの風が吹き荒れる。
夜10時過ぎまで見ていたテレビを帰宅したばかりの夫が、
足でスイッチを切った・・・そのときから、
不穏な風が吹いていた。
クルァーンが一番大事なんだ!
昨夜のモスクで影響された彼の凝縮された朝の一言に、
私の心は頑なになる。
クルァーンが読めれば、なんでもいいんだ???
さまざまな思いを巻き込んで、
私の心の中で不満の風が渦を巻く。
北風と太陽のよう。
車の中では、
クルァーンの声が響いてる。
買ったばかりのMP3を使うのには絶好のチャンスなのに、
それは、危険。
せめて視線を合わせない。
すぐに答えないが、私の戦法。
助手席の景色を石ころの目玉で眺めていなければ、
この時空からは逃げられない。
ウルドゥー語のみで話しかける彼に、
日本語だけで言葉少なに答える私。
あなたたちが行きたいという天国に、
私の居場所はいらないよ。
あなたたちのしがらみから離れられるのなら、
そこがどこであろうとも
私の心は穏やかになれるから。
信仰心のない私を
軽蔑してもいい。あきれてもいい。
でも、
蔑んだりしないでね。
憐れんだり、ドゥアーもしなくていいからね。