突然の電話は、入管からだった。


弟さんのビザの更新の件で、

40分後にそちらに伺います。




寝てばかりの弟は、今日に限って、しぶしぶの現場仕事のアルバイト。





仕事もせずに毎日寝てばかりの弟に一番ぶち切れていたのは、夫だったし、


あんなやつの顔は二度と見たくない!!!


は、口ぐせで、


弟の話をするだけで血圧が上がるのが見てとれる。






それなのに、あいつは弟のビザために必死だった。


嘘を隠すためにあいつは饒舌だった。

滑稽なまでに。




ふすま越しの私はあいつの嘘に心の声でつっこみを入れている。


弟は他の会社で働いていたんですよ。

もちろん、お金はもらっていますよ。

自営の仕事のビザで来日してるのに、よその工場で働いていましたよ。

入管はそこで何人かのオーバースティの外国人を摘発したでしょう。

彼はたまたまその摘発の日、交通事故を起こして、その処理のために遅刻したんですよ。

行きつけのスーパーは牛乳とヨーグルトが安いんですよ・・・・なんて口走っちゃって・・・

なにをそんなにあわててるのかしらん。



あいつのとなりの弟は、あいつに促される時だけ”はい”と答える。




それを絆というのなら、愛情だとぬかすなら、

まちがった愛情のかけかたは、そいつのためにはならないよと

私は吐き捨てるように言い続けてきたのに、


妹たちの結婚も私はあれだけ反対したのに、

女王様は結婚式の翌日から別居状態じゃない。




入管はあいつの嘘を見破れるのかしら。

クロ の弟に、何色のビザをくださるのかしら。