ほら、始まった!!
今度は妹と妹の夫の呼び寄せだ。
名目は彼らの新婚旅行。
仕事もない教養もないの山猿男に、航空券代なんてあるわけない。
体の悪い妹と結婚してくれる唯一の親戚である彼に、
"俺が生活の面倒をみる”とまで結婚前の夫が言っていたっけ。
だから、ただの3ヶ月の観光であるわけがない。
3ヵ月後には偽の書類を使って、彼のビザは切り替えられる。
うまくいったら、正式に妹を呼び寄せる。
そして、次は誰?なんだろう。
私の耳は言葉を拒否し、視線をそらし、同じ空間を拒んでいた。
夫の言葉に、ひとことひとこと、心の中で毒づいた。
だから、自然と返事はゾンザイになる。
それでもゾンザイすぎると、キレられる。
感情を押し殺す頃合をどこかでさぐり、
仮面をかぶった私の表情は、まるで能面。
それでも、
私がこの家で子供たちと住み続けるため。
飯を食べるため。
投げやりな文字で書いた呼び寄せの書類の行間をどうか読み取ってほしいというのは、
ただの弱虫の遠吠えです。