小さな幸せを見つけながら生活していた、この頃だった。
何も知らない日本人は感嘆した。
”それは、立派なことですね。なかなかできることじゃない”
”そんなことはないですよ。当たり前のことじゃないですか”と夫は胸を張る。
”僕を産んで育ててくれた親なんですよ。仕送りをするなんて当然です。いくらあげたってかまいませんよ”
でも、私の母親への借金はまだ返していなかったよね。
母のはじめての海外旅行だって、
支払いの申し出すらもしなかったことはどうでもいいけれど、
同行する娘の旅行費だって、おんぶに抱っこだったよね。
でも、最近は目に余ってね。
貧しい親戚と結婚するかもしれない妹に、
彼女の生活費を一生工面すると申し出たらしいけれど、
初耳の私はびっくりだよ。
パキスタンへの仕送りも定期的じゃなかったから・・・を理由にして、
外国送金の払込書も見なかったこととして振舞っていたことや、
貧しい親戚への援助に、兄への貸し金も、
たいしてことではないのだと、飲み込んでしまおうと努めていたことに、
いまさらながら気がついた。
たとえ土嚢を積んだって、
日本のお金は流れてく。
逆流することは、ないだろうな。