厄介なのは、

外部からは人間の本質が見えないことだった。


彼らの武装は徹底的で、

本当のことを話してしまう自分など無邪気というより馬鹿なのかもしれない。




たとえば私は娘の結婚相手は、親戚関係のない、すてきなパキスタン人だったら良いな・・ と思っていたのだけれど


容姿、学歴、年収よりも

私が知りたいのは、


何時間も風呂に入る人間なのか?

時間にルーズな人間なのか?

異常に眠る人間なのか?

潔癖症なのか?

DV男は絶対にだめだし、

それともモラハラ男なのだろうか?

一日中鏡を見ているナルシストなのだろうか?


そんな大事なことが見えてこない。





誰にだって癖はあるけれど、

それは彼らに限ったことではないけれど。

けれどここではあえて癖(へき)と読んでもらえれば、

ニュアンスがわかってもらえるかもしれない。

ついでに言ってしまえば、個性はアクと言い換えてもいいのかもしれない。




5歳の男の子は大勢の大人に愛されながら育っていた。

欲しがるものは何でも買ってもらえてた。

彼は女の子のように身をくねらせ、気持ちの悪い甘え方をした。

夜は哺乳瓶をくわえて眠っていた。

手が汚れるから、ロティで肉や野菜をつぶせなかった。

誰かに口元まで運んでもらわないと、彼は食べようとはしなかった。

洋服が汚れる遊びはしなかった。

気に食わないとゲーム盤をひっくり返した。



そんな風に育てられた子供はどのように成長するのだろう。


私の視線は冷たかった。