雨の日に。

数週間前から車道に出没する犬を夫が捕まえた。


張り出されている迷い犬だと勘違いして捕まえた犬は、

私たちからナナちゃんと呼ばれても、

不思議な顔していたっけ。

顔は似ているんだけれど、体が小さいんですって。

迷い犬のナナちゃんと同じテリアの血が混ざっているらしいその犬は、

やっぱり前髪が長かったんだけれどね。

ナナちゃんと同じベージュの首輪だったんだけれど、

鈴はついていなかったんだって。

それにナナちゃんはメス犬なんですって・・・


50分後ナナちゃんの飼い主が到着するまでの間、

小雨降る中、その場で次男と三女が犬に付き添っていてくれた。

だって、家では飼えないから、家には連れて行けないの。

私は自転車で家を往復。

家にあったシーチキンを3缶持って来ては食べさせた。

牛乳もお水も飲んでくれなかったけど。

しとしと雨も体を冷やすから、傘を持ってきたり、ジャンパーを持ってきたり。


ナナちゃんではないけれど、

ナナちゃんの飼い主の方はその犬にソーセージを食べさせて、

子供たちに「こんなものしかないけれど」とコンビニで買ったお菓子を袋にいくつも詰めて持って来てくれていた。


ナナちゃんはどこに行っちゃったんだろう。


ナナちゃんではないその犬を、

元いた場所に連れて行って、ロープを放したととたんにね、

ウ~~って低く唸ったり、

飛び掛ったり、追いかけたり・・・・

犬を飼ったことがなかったから、

犬の習性なんてわからないから、

次男はサンダルを脱ぎ散らかして、路上を逃げた。

私たちは困惑してた。

だって、車道に平気で飛び出すんだもの。


仕事を終えて帰宅途中の夫が通りかかって、

ナナちゃんではなかったことを悔しがり、

その犬のはしゃぎぶりに、

携帯で友人に飼ってもらう約束を取り付けて、

その犬を捕まえようとしたけれど、

追えば逃げる。

逃げれば後をついてくるのくりかえし。


そして夫が友人に応援を携帯で頼んでいる途中に、

その犬は、車にはねられたのだと。


幸い車にぶつかり、運良くタイヤの下ではなく、車体の下にもぐりこんだから、

カレはキャン、キャンと鳴きながら、

元いたこんもり山の森の中に逃げ込んだんだと。


==走れたといってもきっとどこか痛いはず==


たった一時間ロープにつないでいた、ナナちゃんではない犬のことが、心配でたまらない。

せっかく新しい飼い主が見つかったというのに。


夫はその後も友人と森の中を探したらしいけれど、見つからなかった。

今朝はシャケを袋に入れて、ナナちゃんではないその犬を、「ナナちゃ~ん」と呼びながら探したけれど、

見当たらない。


その森の近くの人気のない場所にある、犬小屋は物でふさがっていて・・・

ナナちゃんの首輪についていた噛み千切られた青いロープに似たひもが、

犬小屋の近くのプレハブにくくりつけられていただけだった。

  


私たちのナナちゃんはどこに行ったんだろう。

元気でいてくれればいいんだけれど。

車には気をつけるんだよ。