私の一番苦手な人は末の妹。


彼女が私のパキスタン嫌いの原因のおおよその部分を担ってる。

かなりの暴君の夫までもが、

”彼女は特別だよ”と言うのだから・・・彼女の女王さまぶりは、他の追随を許さない。


長女を1人あの国に置いていた時に、夫が長女を連れ帰った理由は彼女だった。

長女が彼女のようになって欲しくなかったから。


世界は彼女を中心に回っていて、

彼女には誰の意見も届かないというまさに彼女の独壇場。


出かけるよ・・・とのお声にも彼女のシャワーとメイクとお洋服選びの時間は、

絶対に短縮されることはないのだから、

彼女1人のために、車を運転する兄やその他同行する予定で身支度を整えたその他大勢は延々と待たされるのは当たり前の光景で、

彼女の”今日は私がお昼ごはんを作るから”の一言で、

いつもは午後1時にありつけるはずの昼ごはんは午後3時にずれ込んだって、

彼女は自分のペースで、納得のいくように調理をする。


時には普段自分の仕事をさぼって、雑誌を読みふけったり、趣味に没頭している彼女の思いつきで台所をひっくり返しての大掃除が始まってしまったこともあったし、

いつもは頭をドゥパタ(ショール)で覆うことはないのに、頭と顔をぐるぐる巻きにして、ベランダの掃除をしていたこともあった。

向かいの家の人たちに召使だと思われたくないがために、顔を隠すようにぐるぐる巻きにしたんだって。

掃除をすることは恥ずかしいことではないのに・・・・彼女の発想がわからない・・・


その彼女が日本を訪れた時に勃発したのがちくわ戦争だったし、

彼女が婦人科の病気で、いつもはパキスタンの医療をすばらしいと絶賛している彼女が、

どういうわけか日本での診察を希望し、

女医さんのいる病院で問診表を書いたのは私なのだけれど、

年齢の詐称をするから、初潮年齢までもがめちゃくちゃで、

ホントの年齢を聞き出すのにも時間がかかって、

でもやっぱりそれでも一歳はごまかしていたし、

”私の目は昔はもっと切れ長で大きくて美しかったのに・・・とても太ってしまったの・・・お腹に肉が・・・腰が・・・髪の毛が・・・・爪が・・・・・・”

私が  ”それは婦人科とは関係がないから”  と問診表に書くのを渋るとそれも許してくれず、

問診表を受け取った看護婦さんには ”何科にかかりたいのですか?” と聞かれて返答に困ってしまったのはこの私。

女医さんのおっしゃるには、早急に治療が必要なものではないから、

保険の利かない日本で治療をすることよりも自国に帰ってからの治療を英語で勧められたのに、

それを私のつたないウルドゥーで説明もしたんだけれど、

彼女はきっと”ケチ”としか思っていないのかもしれない。


家に帰って彼女は母に泣いて言った。

怒って言った。

”あなたが早く病院に連れて行ってくれなかったから、私が病気になったのよ!!!”

ふすまを閉めただけの部屋だから、はじめは抑えていた声も、筒抜けになった。

”ごめんね”と謝る母がかわいそうだった。

母はどうせならいい病院をと思っても、外に出たことのない母だから情報は限られていたし,

婦人科系の病気だから、夫や息子に連れて行ってということに抵抗があった事情もあったらしいのに。

それでも女王さま母をなじっていた。


散歩がてらに下の子2人と行った100円ショップで、彼女は誕生日カードのビニールを破って中身を確認したのだと、

そしてそれをそのまま棚に戻したことを娘2人が教えてくれた。

娘はビニールを破ろうとするおばさんに ”だめだよ” と言ったのに、

彼女は ”どうしても中身が見たかったのだから仕方がない” と私ではなく長女に説明をしていたっけ。


古い農家や武家屋敷のある観光施設で、農家の見学を終え、サンダルを履こうとした時に、砂埃が彼女の足を汚したことがあった。

足を拭きたがる彼女。私の足は繊細だから砂埃を拭きたいのだと主張する。

だから、お弁当を食べるときのために用意した手拭タオルを彼女が使いたいと

長女を通して私に伝えた時に、私は断った。

”このタオルは絶対に使わないでね。足を拭くタオルではないから”

隣りにいた夫にも釘をさした。夫も賛成してくれた、そして彼女に同じことを言った。

”それぐらい我慢しろ”と。

せめてこんなことからでもいいから、

私は彼女に我慢させたかったから。

でも・・・・やっぱり・・・・使ったの。

端っこだけだから・・・大丈夫じゃないって・・・

長女に頼んで彼女はそのタオルを手に入れた。


でも、足の裏が敏感な彼女が裸足で公園を駆け回る姿もその数日後には目にすることにはなるんだけれど・・・


ま・・・そんな彼女でも・・・とフォローをしたいのだけれど、


関わらざるおえない私としましても、フォローの言葉が見つからない。


下々の声が届かない女王さま


ああ・・・あなたは私の悩みの種でございます。