あの日
保育園のお迎えを終え、
門をくぐった時に
見覚えのある白い車があった。
ナンバーを確認する。
赤い斜めの線の入った仮ナンバー・・・
そして、にここ笑った義理の弟が姿をあらわした。
”どうして・・・・・・・・・・”
目を疑った。
あれほど言ったのに・・・・・
怒りが込み上げ、同時に力が抜ける・・・・・・馬鹿やろう・・・うめくようにつぶやいた。
あれほど”乗ってはダメだよ”と注意をしたというのに。
この車には保険がないんだよ。それに免許がないんだから乗ったら絶対にいけないんだよ。と私が家を出るほんの数十分前にも、説明をしたというのに。
乗りたくないという私と子どもを乗せて、彼は得意げに車検のない仮ナンバーの車を急発進させた。
機嫌を損ねている私をビックリさせ、声をあげさせるために。
家に着いた。
義母と義理の妹が音楽をきいていた。ご近所に迷惑がかかるから大音量で聞いてはいけないとあれほど言ったのに・・・私が家を出たのでボリュームをあげたのだろう・・・
そんなことより・・・
”どうして車に乗ることを止めてくれなかった!”のかと怒った視線の私は彼女たちに問うた。
彼女たちは答えた。
”やめなさいっていったのに、言うことをきかないで、行ってしまったのよ”
しょうがない子なのよ・・・と彼女たちは話を終わらせた。
夫に白い車の洗車を頼まれて、夫からも”そういうことをすると思われていた”弟は、車に乗ってはいけないと注意をされていたというのに・・・
このバカにはなんて言ったら、どういうふうに言ったら通じるのだろうか?
あの国で兄の車のキーを探し出し、勝手に乗って事故をおこしたのは何回だろう。
うちの子供たちをのせて大型車と事故をおこしたこともある。
そしてうちの長女と長男をのせて全員負傷したバイク事故。
そして1年後その弟を再び呼びたいと夫は言った。
弟だけは呼びたくないと答えた。
他の誰を呼んでもいいけれど・・・と譲歩条件をはじめから自分でつけても、何をしてもあいつだけは呼びたくなかった。
夜、再び夫は同じ要求をしてきた。
私は涙を流して今までの思いを全部ぶつけた。
おじさんたちと同居することがどんなに気持ちが悪かったか・・・家事が大変だったとかそういうことなんて関係なく、同じ屋根の下に私とは血縁のない男たちが同居することが、1人の女としてはどうしようもなく気持ちが悪くて、別におじさんが何をしたわけでもないのに、ただ、一緒にいるというだけで憎らしくてたまらない気持ちになってしまうということ。
そして、弟の保育園への無免許で無保険車の運転をしたということをはじめて伝えた。夫の言うことさえ聞かない、母や姉や私の言うことなど耳をかさない弟の面倒を見ることはできないと。
夫は言った。
やさしく言った。
理解してくれた。
今までの苦労をねぎらってくれた。
私は涙でくちゃくちゃになっていた。
次の日の朝
夫が言った。
”弟を呼ぶから、書類を書いて・・・・”