働き出してすぐ、職員旅行があった。

行き先は既に決まっており、9月の連休を使って行くことになっていた。


私も8月中に総務課長のトノダさんから連絡があり、参加することを伝えていた。


昼食をとっているときに、モトシロさんに聞かれた。

「ポるさんは人見知りしないタイプなの?」


私はどちらかと言えば、人見知りするタイプだ。

仲のいい人とはいくらでも喋っていられるが、そんなに親しくない人とは何を話したらいいのかいつも困る。だから、モトシロさんには人見知りする方だと伝えた。


なぜ、モトシロさんがこのような質問をしてきたかというと、働き始めて間もない私が職員旅行に参加するからだったそうだ。


「モトシロさんは参加しないんですか?」

何気なく質問した。


「最初は参加するつもりだったんだけど、私…」

モトシロさんは少し嬉しそうに言った。

「妊娠してることがわかったから…、安静にしてなさいってお医者さんに言われたんよ」


モトシロさんは結婚をしていた。

後に聞いたことだが、子どもが欲しかったモトシロさん夫婦はなかなか子どもができないことに悩んでいた。そこで不妊治療をし、ようやくできた子どもだったらしい。


「じゃあモトシロさん、来年ぐらいで育休に入られるんですか?」

なんの迷いもなく聞いた。


「あっ…、それが…」

モトシロさんの少し困ったような表情でわかってしまった。

学校を辞めるんだ。


モトシロさんは今後ことを話してくれた。


予定日は3月ぐらい。

だから2月から産休に入って、3月末で退社しようと思っているらしい。

だから、私と一緒に仕事をするのは半年ぐらいしかないと。


まだ、ほとんど教務の仕事をわかってない私だが、

モトシロさんと一緒に仕事をする半年を大事にしようと

この時、強く思った。


半年後のことを考えても

なんの想像もできなかったけれど、

教えてもらったことをもらさず記録に残し、モトシロさんがいなくなっても、教務を回していけるようにならないといけないと思った。


半年間、新人という気持ちではなく

引き継ぎをするんだという気持ちで業務に努めようと思った9月初旬であった。