「水源」167ページ下段 より引用開始
ハワード・ロークは自分の設計事務所を開いた。古いビルの最上階にある広い1室である。大きな窓がひとつあり、家々の屋根を高く見下ろしている。事務所の窓の手すりから、ハドソン河が遠く帯状に見える。ロークが窓ガラスに指を押しつけると、指の下を河をすすむ船の小さな航跡が縞のように見える。
***中略***
「水源」169ページ下段 より引用開始
ロークの事務所に来た最初の訪問者は、ピーター・キーティングだった。キーティングは、ある日の昼に、ことわりもなしにやってきて、部屋をつっきって、ロークの机の上にこしをおろした。陽気に微笑みながら、部屋をさっとはらうように両腕を大きく広げながら。
「さて、さて、ハワード!大したものだな!」とキーティングは言う。
キーティングは、1年ほどロークに会っていなかった。
「やあ、キーティング」とロークは答える。
「君自身の事務所だぜ!君自身の名前で、何もかも君自身のものだ!もう、すでにして!すごいじゃないか!」
「ピーター、誰に聞いた?」
引用終わり