だいぶ日が傾く時間が早くなり始め、冬の訪れを間近に感じ始めた夕暮れ時
家までの帰り道にある公園に差し掛かった
子供の頃、この公園で大輔とよく遊んだことが懐かしい
何となく、気が向いて公園内に足を踏み入れると、砂場でしゃがみこんでいる大輔がいた
「大ちゃん!」
声をかけて近づくと、砂まみれの手を挙げてこちらに微笑む
「何してるの?」
「ん?ちょっと、砂山作って、トンネル掘ろうかと思って」
砂遊びをする歳でもないのに、と思いながら必死に砂をかき集める大輔を見つめた
「見てるなら、一緒に!」
と言い、砂だらけの手で手首を掴まれ、隣に座らされる
楽しそうに砂を集めて山を作る大輔の横顔に、吸い寄せられるように砂に手が伸びた
冬を間近に控え、手に伝わる砂の温度が冷たい
けれど、山が大きくなるにつれ、隣にいる男性の瞳が少年のように輝きが増していく様に、自然と作業を手伝ってしまう
だいぶ山が大きくなると「よし!」と声を上げ、正面に移動した大輔が砂山のした部分を掘り始めた
「そっちからも掘って」
と言う言葉に促され、トンネル開通を目指して掘り進めた
「懐かしいよな」
必死に掘り進める向かい側から、話しかけられた
無言で砂山を作り、トンネルを掘ろうとほとんど会話もせずにいた空気を変えたのは、大輔の一言だった
「何が?」
と問いかけると、山の反対側から顔を覗かせ話し始めた
「子供の頃、2人でこの公園で日が暮れても遊んでて……」
何か思い出したのか、くすりと笑い話を区切る
「何?何を思い出したの?」
途切れた話の続きが気になり問いかけると、大輔はくすくす笑った後にこちらに目を向け、視線が合うと山にまた顔を戻してしまった
「何?ねえ、何?」
しきりに問いかけると、顔を見せることなく声だけがする
「昔、ブランコをどっちが高く漕げるかって競争した時、お前、高く漕ぎすぎて怖くて泣いた時あったよな?」
「え、ああ、うん……」
そんな馬鹿なこともあったなと、思い出し笑いをした大輔の気持ちが分かるような気はしたが、そんな懐かしい思い出も何だか馬鹿すぎて恥ずかしいことに思える
「その後、泣きながらブランコから手を放したから、顔面から落っこちてさらに大泣きして」
「忘れてよ、そんなこと!」
恥ずかしさを上塗りする思い出をさすがに覚えていてほしくは無く、恥ずかしさを隠すように大輔に言い放った
だが、少しの沈黙の後、強い口調で大輔が言ってきた
「忘れないよ」
「な!なんでぇ!」
忘れて欲しい記憶をいつまでも大輔は覚えていて、それをネタにからかうようなことはしないと思うが、覚えていてほしくは無かった
忘れてはくれないと言う大輔は、それ以上何も言わずに、ただ黙々とトンネルを掘り続ける
黙々とトンネル堀に着手したため、さほど時間がかかることなく砂山のトンネルは開通
トンネルが開通すると、お互いの手が触れ合う
触れ合った手を大輔が握り締めた
「あの時……」
今までの沈黙をかき消すように、再び大輔が話し始める
「お前がブランコから落ちて泣いた時、泣きながら健一さんのこと呼んでたの、覚えてるか?」
またブランコのことか、と思いつつそんなことあったかな?と記憶が曖昧
自分でさえ覚えていないことを、大輔がしっかり覚えていることが凄いと思えた
覚えてる、と言う言葉が返ってこないので「忘れてるか」と、呟くように言った言葉がどこか悲しげである
その言い方に、悪いことをしてしまったような気になり、慌てて山の向こう側にいる大輔の姿を見つめ、「ごめん」と謝ろうとした
けれど、大輔はこちらに顔を出すことも無く話を続ける
「俺が傍にいるのに、『お兄ちゃんお兄ちゃん』て言って健一さんのこと呼んで、迎えに来た健一さんがお前を抱き上げて宥めながら帰ったんだよな」
それさえも覚えていない
もう、覚えていないことを謝るのさえ気が引ける
ただ大輔の話に耳を傾けようと思った
だが、話を続けるのかと思った大輔は「あの時から」と言って言葉を区切る
そして、握っていた手をさらに強く握り、山の反対側からようやく現れた大輔の顔
何か言いたげで、意を決したように口が微かに動いた
『♪♪~♪♪♪~!』
大輔がまさに言葉を発しようとした時、軽快な音楽が鳴り、その音に驚き慌てて大輔が立ち上がった
「だ、大ちゃん!」
トンネル内で手を繋いだまま立ち上がったため、せっかく作った砂山は崩れ、腕や体中が砂まみれ
「ご、ごめん!!」
繋いだままの手と、砂だらけの服を深くため息をついて大輔は座り込んだ
「こんなんじゃ、いつまでたっても追い越せないよなぁ……」
「追い越す?誰を?」
その問いかけに誰かの名前が返ってくることは無く、まっすぐな瞳で見つめられた
「健一さん」
思いも寄らない名前に、健一と張り合う理由も分からず「何言ってるの?」と笑い飛ばした
しかし、大輔の表情は崩れることは無かった
逸らすことのできないできない眼差し
交わる視線の間を冬の寒さを連れてきた風が吹き抜けるが、その寒さを吹き飛ばすように繋いだ手が熱い
それから立ち上がり、黙って手を引かれて歩き出す
いつの間にか広くなった背中
いつの間にか追い越された背丈
ぼんやり見つめる大輔の後ろ姿
その姿から、強くしっかりした口調で振り返ることなく言われた
「いつか、お前に何かあった時、一番初めに呼ぶ名前は、俺の名前にしてみせるから」
風に吹かれ、服についた砂が飛んでいくが、繋がれた手の間の砂は、いつまでもそこのとどまっていた
はい、終了~!
久しぶりに妄想小説書いたから、なんか訳分からんww
久々すぎて、萌えキュンが分からないwwww
こんなので申し訳ない
そして、今日は小野D誕生日
だから幼なじみの大ちゃんを書いたんだけどなぁ……
苦情は受け付けられませぬ(苦笑