その次の日にはお葬式でした。
私は妊娠7ヶ月で当然のように喪服などは
用意出来ていませんでした。

仕方なく主人の黒のセーターと黒のズボンを履いて
化粧は薄くしていけと主人に言われました。

お葬式の場所は家から電車で1時間程の所でした。
私は電車に乗っている間、何故こんな遠いところに
向かっているんだろう、きっと兄は死んでいない
行っても兄はそこにはいないと思い込んでいたのです。

そして葬式場に着き部屋を開けるとすぐに
目に入ってきたのが兄の眠っている顔が少しだけ
見える棺でした。
それを見るなり私は、これは夢じゃなかったんだ
兄はここで死んでいるんだ、と夢から覚めたような、
深い絶望感に陥りました。
この時の事は鮮明に覚えています。

兄の眠っている横で悲しそうに微笑みながら
冷たくなって…と呟く母の姿を見て私は
兄が死んでから初めて涙を流しました。